東邦ピアノセミナー分科会その1


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東邦ピアノセミナーでは、午前中の全体会に引き続き、午後はテーマ別に3つの分科会が開催されました。

分科会のひとつは、ピアノ指導に携わっている方々にとっては特に関心の深い、ピアノ指導法や教材に関するセミナーです。
今年は「児童期におけるピアノ指導教材の研究~音楽性と表現技術を育てるレパートリー」と題して、國谷尊之専任講師が担当しました。

この分科会は、多くの資料を参照しながら進められていくため、机のある講義室が会場となりました。受講者には様々なピアノ指導教材に関する資料が配布され、レクチャーを聞きながら熱心にメモを書き込んでいる方が大勢いらっしゃいました。

日本の旧来のピアノ指導教材は古典期の曲(たとえば「ソナチネ・アルバム」等)が支配的です。

かし今では、古典期のみならず、ポリフォニーに特徴のあるバロック期の曲や、ピアノの機能が飛躍的に発達したロマン期の曲、良質な教育的作品が多数書かれ
た近現代期の曲を有機的に組み合わせて行く「四期別指導」が世界の主流となっており、日本でも近年その良さが広く認められるようになってきました。

また、古典期の作品を集めた「ソナチネ・アルバム」も、長らく使われてきた版は古典期のスタイルに全く合わないスラーや強弱記号などが多数書き加えられているのに対し、最近は古典期のスタイルそのものの魅力を伝えてくれる良い版が容易に手に入るようになってきました。
今回はこの2種類の版の指示に従ってクレメンティのソナチネが比較・演奏されましたが、受講生の中からはそのあまりのキャラクターの違いに驚きの声が上がっていました。

昨年の「導入期指導教材の研究」に引き続き、大勢の受講生の皆様にお越しいただき深く感謝申し上げます。
次回も分科会のレポートを続けます。