東邦音楽大学 ピアノ専攻 演奏家コース 塚越さん

研修期間2014年9月1日(月)〜9月10日(水)

9月1日、日本を出発。約12時間のフライトを経てウィーンへ。空港内でも感じられた、空気の豊かさ、潤い、透明感は、フライトの疲れを一瞬にして忘れさせた。


9月2日、今回の研修は様式学の授業で幕開けした。様式学は、2日、6日、8日の全3回行われた。授業では様々な様式における音の響き、和声の響き、その時代の楽器の響きや、フレージング、アーティキュレーション、装飾音といった譜面上から読みとらなければならない”きまりごと”を中心に学んだ。
どの作曲家も音にメッセージを託している。そのメッセージを忠実に読みとり、それを音に再現し、表現することこそ、演奏家に求められている能力だということを深く考えさせられた。


9月3日、いよいよピアノのレッスン初日。レッスンは、3日、5日、8日の全3回行われた。レッスンでは、響きのある音とは一体どういう音か?といったことの探求、どの時代の作品を演奏する際にも求められる、和声感や音のバランス感、譜面からたくさんのイメージを膨らませ、作品の面白さをひきだし、それをどのようにして聴いている人に伝えるか?といった音楽のもっている本質を見抜き出していくようなそれぞれに魅力のあるレッスンであった。音楽のつくりや、音の響きにおいても、先生から学ぶことは、先生の中にしっかり根付いておられるヨーロッパの音楽の伝統というもので、東洋人の私が西洋の音楽を学ぶということのギャップをも感じた。


9月4日、ウィーン市内をツアー。門を抜け、木々が爽やかな風に揺れた、陽の光が穏やかに差し込める開放的な通りを抜けると、壮大なスケール感に満ち溢れたシェーンブルン宮殿が目の前に現れた。宮殿内は、全体的に煌びやかで華やかというよりかは、高貴で気品に溢れた印象を持った。丘の上に立つグロリエッテから望むウィーンの街並みはあまりの芸術的な風景にどんどんひきこまれていった。ゴシック様式の荘厳で堂々とした風格をもった佇まいのシュテファン寺院は、時空を超えて、まるで時が止まったかのような感覚をおぼえた。
夜はフォルクスオーパーにて、ヨハン・シュトラウスの傑作”こうもり”を鑑賞した。歌い手の圧倒的な歌唱力、卓越した演技力から繰り出される”こうもり”の世界にひきこまれ、舞踏会のシーンで奏でられた本場の”ウィンナ・ワルツ”のリズム感には、興奮が抑えられなかった。


9月6日、様式学の授業後にウィーン市内をツアー。市立公園ではヨハン・シュトラウスを始めとした様々な偉人たちとの対面、ブルク公園では、緑が生い茂った広場でウィーンの空気をたくさん吸い、モーツァルトと感動的な対面を。


9月8日、今回の研修の大フィナーレとして、オペラの殿堂シュターツオーパーにてプッチーニの名作”トスカ”を鑑賞。6階にも及ぶ立派な劇場を包み込む、倍音を十分にふくんだ基音はとてつもなく美しい弱音から紡ぎ出される歌い手、オーケストラの団員一人一人の音の響きが会場全体を至福の空間へと変え、私は思わず息を呑んだ…。


9月9日、また訪れる感動体験の日々を待ちわびて、ウィーンを後にした。
この研修において、ご尽力頂きました、学校関係者の皆様、先生方、友人、家族、自分のピアノ、練習室のピアノ全てに、絶大なる感謝を込めて…。


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