晩秋の川越キャンパス

秋も深まりました。冷え込む日も多くなりましたが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。広々とした川越キャンパスでは、季節の移ろいを肌で感じることができます。
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16号館西側には、細長い窓の並んでいる一角があります。ここにはグランドピアノのある練習室が並んでいます。秋晴れの空の下、学生たちは後期試験に向けて準備を進めていることでしょう

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12号館・図書館棟です。秋風とともに落ち葉が舞い降りてきます。大学4年生は、卒業試験曲について詳しく調べて「作品ノート」をまとめますので、この時期は図書館で過ごす時間も多いです。(「作品ノート」については、こちらの記事もごらんください。)

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川越キャンパス東側の一角には「東邦音楽学校三室戸記念館」があります。これは昭和14年(1939年)に現在の文京キャンパスの地に落成した校舎で、あの悲惨な東京大空襲でも奇跡的に焼失を免れました。昭和43年(1968年)に川越キャンパスに記念校舎として移転復元され、内部は小ホールとして今でも演奏会や授業に使用されています。歴史的建造物としての価値も高く、川越市の都市景観重要建築物の指定を受けており、「川越景観百選」にも選ばれています。

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写真:出典「三室戸学園50年の歩み」P.56 より


こちらは、この校舎が現在の文京キャンパスにあったころの写真です。高い建物がほとんどなく空の広い春日通りには都電の軌道も見られます。内部には当時としては非常に貴重なフルコンサイズのグランドピアノがあり、数々の素晴らしい演奏会が開催されて日本の音楽文化の発展に寄与したと言われています。東邦に学んだ多くの先輩たちの心とともに、この校舎は今も学生たちの成長を温かく見守っていてくれます。

ピアノ公開講座が開催されました。


9月28日(月)、川越キャンパススタジオBにて、藤井一興先生によるピアノ公開講座が開催されました。藤井一興先生は本学大学院、大学、短大および東邦音楽大学総合芸術研究所教授を務め、ピアニスト、作曲家として世界的に活躍していらっしゃいます。
今回の題材曲は、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルというフランスの巨匠たちの作品です。

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最初のG.フォーレ作曲《夜想曲第6番》では、フォーレ独特の和声進行について瞬く間に曲冒頭の分析をホワイトボード上に展開され、しかもそれをご自身の演奏によって即座に表現されました。その鮮やかさに学生たちからは感嘆の声が上がりました。
ペダリングの素晴らしさも間近で体感することができました。ヴィブラート・ペダル(細かく震わせるような足の動きによるペダル。ヴィブレーティング・ペダルともいう)や、ソステヌート・ペダル(グランドピアノの3本ペダルのうち真ん中のペダル。特定の音のみ保持することができる)の効果を解説しながら披露してくださり、ピアノという楽器が持つ響きの限りない可能性と表現技術の奥深さに驚かされました。
藤井先生は時にユーモアも交えながら楽曲分析、奏法の解説、演奏を次々と展開され、予定の90分があっという間に感じられました。本当に名残惜しく、貴重な時間でした。
終了後学生たちの中には、目の前で繰り広げられた響きの創造に興奮気味のものもおり、実技試験で自分たちが弾いている同じ楽器からあんな音が出るとは、という感動の声も聞かれました。

後期授業が始まりました。


前期実技試験期間が終わり、キャンパスにほっとした空気が流れたのもつかの間、大学、短期大学とも9月14日から後期授業が始まりました。

今回は、本学で導入されている「セメスター制」について簡単にご紹介しましょう。

「セメスター制」とは、1年間を2学期に分け、半期ごとに独立した単位とする制度です。大学の4年間は「8つのセメスター」、短期大学の2年間は「4つのセメスター」で構成され、それぞれの学期を明確な目標設定のもと、集中して学ぶことにより学修効果を高めます。今日では世界の多くの国々が大学教育に取り入れており、国際スタンダードになりつつあります。

専攻実技もこれに基づいてレッスンが行われており、たとえばピアノ専攻では1年次前期は「古典期の作品」、後期は「ロマン期の作品」など、時代様式に基づいた選曲により実技試験が行われます。後期の最初のレッスンでは、それぞれの学年の課題に応じて目標を立て、今後のレッスンレパートリーなどの計画を練っているところです。

都心部にある文京キャンパスにも、秋の気配が濃くなってきました。写真は文京キャンパス2号館からの景色です。晴れた日にはスカイツリーが良く見えます。


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文京キャンパスより撮影

夏の風物詩 ~夏の音~

猛暑の続く毎日、皆さま如何お過ごしでしょうか?朝早くから元気いっぱいの蝉の鳴き声で目覚めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。夏を代表する音である蝉の声は今年も絶好調のようです。文京キャンパスのお隣、大塚公園でも「ミーンミーン」「ジージー」と蝉の大合唱が木々や葉にこだまし、心地よい響きとなって聞こえています。暑さもだんだん和らいで、アブラゼミの鳴き声も次第に聞こえなくなってくると、「夏の終わりを告げている」というツクツクボウシが目立ってきます。その頃になると、残り少なくなった夏休みを惜しみつつ、9月1日から始まる前期実技試験に向けての気持ちもクリアになってくるでしょう。こころなしかツクツクボウシの鳴き声が、その心情を代弁し応援してくれているように聞こえるかもしれません。蝉の声は、私たち日本人特有の感性を呼び起こしてくれるようです。


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卒業生の講演が行われました。

7月も半ばを過ぎ夏空が広がる季節となりました。

大学・短大では前期の講義、レッスンの終盤にさしかかっています。学生たちは試験曲の練習、学科試験の勉強、レポート作成などを頑張っている様子で、連日練習室や図書館は大賑わいです。

  

7月15日(水)東邦音楽短期大学では、卒業生を招いての講演会を行いました。

これは、必修科目「東邦スタンダード」の一環として、大学・短大とも毎年開催しています。

今回は、音楽教室講師として活躍中の内田早紀さんをお招きしてお話を伺いました。内田さんは音楽家の登竜門の一つである読売新人演奏会に出演する等、素晴らしい経歴をお持ちです。現在、グループレッスンを全国で展開しているヤマハ音楽教育システム講師として多忙な日々を送っていらっしゃいます。

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音楽を始めたきっかけ、音楽大学を目指すに至った過程、学生時代の過ごし方、講師採用試験に向けての取り組み、現在の講師としての仕事内容や今後の目標、在学生たちへの励ましのメッセージなど、貴重なお話をたくさん伺うことができました。

学生たちのなかには音楽教室講師を目指しているものも多く、時折メモもとりながら集中して熱心に耳を傾けていました。

   

終了後は何人かの学生が内田さんのそばに来て、名残惜しそうに会話や質問をする姿が見られました。

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いろいろな分野で活躍中の卒業生の話を直接聴くことのできる機会はとても貴重で、学生たちへの素晴らしい刺激になっています。本学から羽ばたいた卒業生がこうして力になってくれることも本当に嬉しいことです。

  

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「ウエスタ川越」大ホール開館記念事業に本学が参加します。

 関東甲信越地方も梅雨入りしました。この時期は、わたしたちの体調にはもちろんのこと、楽器のコンディションを良好に保つことにも気を遣います。ご存知のように、ピアノは、美しいカーブを描くリム(側板)や楽器の命である響板をはじめ、多くの部分が、天然由来の木でできており、湿度の影響を受けやすく、また、フレームや弦などの金属部分は、温度の変化に敏感です。ですから、日本の梅雨時のように、気温や湿度が急激に変化する中では、ピアノも体調不良を起こしてしまうことがあり、注意が必要になります。

一般に室温20度、湿度50%が理想と言われていますが、一番わかりやすいのは、ピアノにとってよい環境とは、人間が心地いいと感じる環境と同じだということです。ピアノは生きています。長く美しい音を奏でられるように、楽器には愛情を注ぎ、自らの技術には厳しく日々磨いていきましょう。


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さて、ピアノつながりの話題です。来る6月28日(日)、大学の所在地である川越市に、「ウェスタ川越」という客席数1700の大ホールがオープンします。川越駅西口徒歩5分という好立地に、なんと、スタインウェイD型(フルコンサートピアノ)2台と、ヤマハCFX(フルコンサートピアノ)1台を常備し、さらに、客席は、新幹線のグリーン車並みのゆったりとした設計、そして最新の音響設計といった、まさに夢のようなホールです。

オープン当日は、オープニングセレモニーとともに、17:30より開館記念事業として、「スタインウェイピアノ開き」のコンサートが開催されます。

演奏は、本学演奏家コース4年生の纐纈健太君(ピアノソロ)、本学教授の國谷尊之先生と中島裕紀先生(2台ピアノデュオ)のお二人が行います。お時間のある方は、ぜひお越しください。

これを機に、川越市が文化の街として情報を発信し、さらに発展してゆくことを願ってやみません。

第48回東邦祭が行われました。

去る2015年4月29日(水・祝)30日(木)、川越キャンパスにて「第48回東邦祭」が行われました。

今年度の東邦祭は天候にも恵まれ、両日とも多くの方々にご来場いただきました。いつも様々な場面でお世話になっている地域の皆様、東邦を巣立った卒業生も大勢お越しくださり、キャンパスは終日にぎわいをみせていました。

卒業生同士や、在学当時の先生と学生など、懐かしい顔にたくさん出会うことができるのも東邦祭の楽しみのひとつです。

今年もピアノ専攻の学生たちは、多くの演奏企画、模擬店企画で積極的に活動しました。また、東邦祭実行委員会にも多くのピアノの学生たちが名を連ね、獅子奮迅の活躍を繰り広げました。

演奏企画では、東邦祭ならではの連弾や2台ピアノによる華やかな演奏が数多く行われ、各会場とも満員のお客様で大いに盛り上がりました。このようなステージで演奏できたことは、学生たちにとっても大切な思い出や財産になったことでしょう。お越しいただいた皆様、東邦祭にお力添えくださった皆様に心よりお礼申し上げます。

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地域貢献活動

学期末試験を終えて、新学期が始まるまでの期間は、学生たちにとっては束の間のリフレッシュ期間です。この時期に東邦音楽大学・東邦音楽短期大学では、地域貢献活動の一環として市・区役所、病院等でボランティアコンサートを行っています。

先日は、文京キャンパスお隣の都立大塚病院にてコンサートを開催しました。F.ショパン、J.シュトラウス、S.ラフマニノフ、A.ハチャトゥリアン等の、華やかでロマンティックなプログラムが、ソロおよび連弾によって披露されました。

大勢の聴衆の方々が熱心に聴いてくださり、温かい拍手や励ましのお言葉を演奏した学生たちにかけて下さいました。学生たちにとっても、このように大学の外で一般のお客様の前で演奏できることは、大変得難い、有意義な経験となることでしょう。

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卒業代表演奏会が開催されました。

去る2015年3月8日(日)東邦音楽大学川越キャンパスグランツザールにて、「平成26年度 東邦音楽大学・東邦音楽短期大学卒業代表演奏会」が開催されました。

季節の変わり目とあって当日は天候が心配されましたが、思いのほか穏やかな天気となり、多くのお客様にお越しいただき無事開催することができました。

ピアノソロ演奏では、短期大学よりピアノコース1名、ピアノレスナーコース1名、大学ピアノ専攻より3名の計5名が出演。
E.グリーグ:ピアノソナタOp.7、F.ショパン:舟歌Op.60、F.リスト:超絶技巧練習曲第4番”マゼッパ”、G.フォーレ:主題と変奏Op.73を演奏し、学生生活のしめくくりにふさわしい心のこもった熱演を聴かせてくれました。

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E.グリーグ:ソナタ  ホ短調 作品7 第4楽章

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E.グリーグ:ソナタ  ホ短調 作品7 第1楽章

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F.ショパン:舟歌Op.60

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F.リスト:超絶技巧練習曲 第4番 ニ短調 “マゼッパ”

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G.フォーレ:主題と変奏   作品73 

また、ピアノ専攻の学生たちは、他の楽器や声楽、作曲の新曲演奏などでも大活躍しました。客席からは、短大の2年間と大学の4年間の思いを込めた大きな拍手がおくられ、忘れがたい時間となりました。

思いつくままに

 今年も1月30日から後期試験が始まります。(厳密に言えば29日の副科試験からです。)2月10日まで各学年にわけて行われますが、この時期の試験というのは自分にも覚えがありますが、朝も暗いうちから家を出て重い気持ちで学校へ向かう、一種独特な重苦しい気分が続きます。次号のこのページはもっと明るい気分が踊り出てくるでしょう。

  
 この学校は川越校舎も文京校舎も冬の中に包まれます。昨年2月は未曾有の雪が降り、オペラと入試を直撃しましたが、今年もかなりの寒さです。このような特に文京校舎の近くの大塚公園に行くと冬のたたずまいというものが身近に感じられて、日本の四季の断片を見せることができます。試験などの合間には外に出て、これら自然を身近に感じるのもいいものです。

  
久邇 之宜

 

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