日本管弦打楽器ソロ・コンテスト

文化庁後援
埼玉県芸術文化祭2022・埼玉まなびぃプロジェクト協賛事業

中学生・高校生のための第19回 日本管弦打楽器ソロ・コンテスト

全部門審査統括委員長メッセージ~各予選審査を終えて~

ファゴット奏者
東邦音楽大学特任教授
演奏部長

Kouei Asano
浅野 高瑛

青森予選を終えて
10月30日(日)、青森予選が弘前市・中三スペースアストロにて無事に終了致しました。青森県をはじめ、東北地方各地からご参加いただき大変うれしく思っております。 ありがとうございました。 コロナの影響もあり、参加人数は昨年と同程度でしたが、皆さんの熱演に審査員もこころがとても温かくなるひとときでした。 今回も昨年に引き続き、コントラバスの毛内裕三先生を審査員にお迎えし、私と二人で審査を致しました。 コロナ禍での練習不足が、技術的な部分で苦しい結果となってしまった人もいましたが、本質である音楽や音色は素晴らしいものでした。 それと同時に、皆さんの演奏の向上にはやはり、個々にあった実技の指導を受けることが必要であるとも強く感じています。コロナ禍で発展したオンライン環境を駆使し、オンラインレッスンを受けることもぜひ考えてみてはいかがでしょうか。 また、皆さんが日々取り組んでいる吹奏楽においても、一人ひとりの演奏技術や個性が確立されていくことで全体の演奏レベルが格段に高まっていきます。 このソロコンテストが音楽の素晴らしさを共有し、喜びを感じられる場であってほしいと願ってやみません。 今回の開催にあたり、地元の方々にたくさんサポートしていただき感謝しかありません。 来年は、より多くの参加者を期待するとともに、若い人たちの未来のために、青森県そして東北地方の音楽発展の一助になればと強く願っております。

福岡予選を終えて
11月6日(日)、九州地方での予選が無事終了致しました。 3年前より鹿児島県にて開催してまいりました九州での予選は、コロナ禍にも関わらず毎年多くの方にご参加いただき、今年は福岡にて4年目の予選を迎えられましたことを嬉しく思っております。 また、福岡工業大学のご厚意により素敵なPITホールをお借りし、大会運営にご協力を賜りましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。 今回、審査員には吹奏楽アドバイザーの武田邦彦先生をお迎えし、私と2人で審査を行いました。 総評としましては、皆さんの新鮮で若々しい演奏に、コロナを吹き飛ばすエネルギーを感じました。 しかし元気がいいのはとても良いのですが、音色や音程を無視してしまっていたり、各々の楽器の特質を十分把握できずに苦しんでいたりする様子が見受けられました。こういったことに関しては、練習不足や楽器ごとの基本練習の必要性を改めて理解してもらいたいと強く感じています。 皆さん一人一人には、持って生まれた「音色」があります。それを大切に育て上げることこそが、その人の演奏の伸びにつながります。 練習時間が制限されるなど、コロナの影響は大きいと思いますが、短時間でも有効な基礎練習法を見つけ出すことなど、いまの苦労や創意工夫はきっと将来の素晴らしい演奏につながるものと確信しています。 このソロコンテストを通じてより素晴らしい個人の技を身につけ、アンサンブルである吹奏楽やオーケストラに繋がることを期待してやみません。 また次回、皆さんの演奏を聴くことが出来ることを楽しみにしています。

埼玉予選 弦楽器・打楽器の部を終えて
10月23日(日)に弦楽器・打楽器の部の予選が行われ、今年、弦楽器の部は文京キャンパス、打楽器の部は川越キャンパスと別会場での開催となりました。 辞退者もなく、無事に今大会の予選を始められたことに、関係するすべての皆様に感謝の思いでいっぱいでございます。 まず弦楽器の部についてです。 昨今、弦楽器を演奏する中高生の人数は減少の一途をたどっていますが、部活動の影響かコントラバスだけは一定数を保っているようです。 オーケストラや吹奏楽などの大編成アンサンブルはコロナの影響を強く受け、思うように練習が出来ない日々が続いてきました。 そうした影響が今回の予選での演奏から感じられる、という意見が審査員から聞かれました。特に楽器を始めたばかりの中学生にとって、練習や演奏の機会が失われてきたことが大きな影響を及ぼしているのではと懸念しています。 高校生においては、昨年以上にレベルが向上し、甲乙つけがたいほどだったとの意見が相次ぎました。 来年の第20回大会も、地の利も重視し弦楽器の部の予選は文京キャンパスでの開催を考えています。このソロコンテストを皆さんの演奏の場の一つとして、ぜひ活用してほしいと改めて願っています。 一方の打楽器の部では、参加人数も多く、盛大な予選会となりました。 皆さんの演奏は一生懸命ですばらしく、まずそこに拍手を送りたいと思います。その上に立って、審査員の先生方のご意見でお伝えしたいことが2点あります。 1つ目は、楽器の奏法やその曲についての知識を深め、音楽的に聴かせる演奏を目指してほしいということです。機会があれば、ぜひ楽器のレッスンを受けて、より良い音を鳴らすコツを教わってほしいと思います。 2つ目は、誰かに教わったことをそのままコピーして演奏するだけではなく、自分の表現を探し求めてほしいということです。 技術が高まってきているからこそ、皆さんの中にある音楽を、楽器を通して表現して聴かせてほしいと、より高いレベルへの成長を期待するご意見が相次ぎました。 いずれにしても打楽器の演奏人口が増えてきたことはとても嬉しいことです。 自分の楽器への理解を深め、楽器を通して皆さんの心を自由に表現してください。また演奏を聴かせてもらえることを楽しみにしてやみません。

埼玉予選 木管楽器の部を終えて
11月3日(木・祝)、東邦音楽大学 川越キャンパスにて木管楽器の部の予選が無事終了致しました。 今年も多くの熱い演奏が繰り広げられ、審査員一同うれしい思いで審査を致しました。 どの部門でも共通することですが、コロナにより練習時間が制限される日々が続く中、皆さんが大変頑張ってこられたのが第一印象でした。 特に、中学生は楽器を始めたばかりの生徒さん達も多かったでしょうが、素晴らしいものでした。 中学における部活動のあり方の転換期にあたる昨今、学校での合奏指導だけでなく、個人の練習や楽器別指導の必要性がより一層問われるようになっていくのではないかと思います。 高校生は、他部門と同様に個々人の取り組みの成果が伺え、実際の演奏においても技術的にとても高いものが見て取れました。これはしっかりした練習法や楽器指導からくるものではないかと察します。 楽器ごとの特徴を理解し、自分の身体に合った奏法を見つけ、練習に取り組むことで、皆さんはさらに大きく成長していけるはずです。 ソロ演奏を通して自分のいまの状態を知り、表現する楽しさを感じてくれたらこれほどうれしいことはありません。またレベルアップした演奏を聴かせてくださることを心待ちにしています。 そして、本選に進まれる皆さんには、素晴らしい演奏を大いに期待しています。

埼玉予選 金管楽器の部を終えて
11月13日(日)、金管楽器の部の予選が川越キャンパスにて終了し、これをもって全部門の予選を滞りなく終了することができました。ご参加、ご協力いただきました皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。 今年の金管予選は前年に比べ参加者が少なく、コロナによる部活動の時間制限や演奏機会の減少などの影響が、コロナ禍3年目の今になって大きく出てきたのではないかと懸念しています。 審査員の皆さんからは、中学生の素直さや面白さ、高校生の技術の高さをそれぞれに賞賛する声が上がりました。 中学生はエネルギーがみなぎり、その人らしさが見える演奏が多くみられました。その意気込みや音楽への向き合い方はそのままに、着実にテクニックを身につけていってほしいと思います。 高校生は、音がきちんと並び、教わったことを着実に演奏に活かせていることが感じられました。テクニックが備わってきているからこそ、ここで満足せずにその先を目指してほしいのです。 それは、目の前の楽譜から感じ取れることや先生から教わったことを咀嚼し、自分の言葉として発信するということです。皆さんのエネルギーをもっともっと演奏に表出させてください。 中高生の皆さんには、音楽を通して「感じとる力」を養ってほしいと思います。 日々の生活の中から、五感を研ぎ澄ましてみましょう。それは音楽だけでなく、日常の学業や生活にも生きてくるはずです。 次回ソロコンテストで、成長した皆さんとお会いできることをとても楽しみにしています。

本選審査結果のご報告

全部門審査統括委員長ご挨拶~本選を終えて~

ファゴット奏者
東邦音楽大学特任教授 演奏部長

Kouei Asano
浅野 高瑛

中学生·高校生のための第19回日本管弦打楽器ソロ・コンテストの本選が東邦音楽大学川越キャンパス グランツザールにて滞りなく終了致しました。 本コンテストに関わるすべての皆様に、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
本選を終え、審査員からの講評をまとめてみますと、部門は違えど皆さんが一様に同じ感覚を抱いていることに驚きました。 それは中高生全体に演奏技術が大変高くなっているということです。 その一端は楽器の品質向上も担っているかもしれませんが、それ以上に皆さんの与えられた課題を忠実に練習し、習得する能力が向上しているのではないかと見受けられます。これはもちろんすばらしいことです。 ただその一方では、この能力が上回ることで個々の音楽を引き出すことを妨げているのではないかという懸念も出されました。その人自身の言葉や感情が楽器演奏を通して表れてこないのがとても残念なところです。
また、演奏とは「演じて奏でる」と書くように、音だけでなく身体の動きや腕の上げ下げまでが皆さんの音楽を表現しています。音楽の流れと違う動きや、その人にとって不自然な「作られた」動きは分かってしまいますし、聴いていてもとても違和感を感じます。こうした意見は打楽器に限らず、すべての楽器に共通するものです。
私たちは一人ひとり、顔や姿が違うように感じ方も違い、それが楽器を通してその人の音楽となって表現されるからこそ音楽はおもしろいのではないでしょうか。 皆さんには様々な曲や演奏表現に挑戦して、自分の可能性をどんどん広げていってほしいと願ってやみません。
このソロ・コンテストも、来年は第20回を数える節目の年にあたります。 振り返りますと、このコンテストから音楽の世界で活躍するプレイヤーも数多く輩出してきました。 音楽界がより多様性にとみ、発展していくことを祈りつつ、その一助になれたらとの思いも強くしております。 次回も中高生の皆さんの音楽性豊かな演奏を聴かせて頂けることを楽しみにしております。
来る1月22日には、文部科学大臣賞の選考会を兼ねた受賞記念演奏会が、東邦音楽大学川越キャンパス グランツザールにて開催されます。 参加される皆さんには、さらに磨き上げられたエネルギッシュな演奏を期待しております。 皆様のご来場をお待ちしております。

受賞記念演奏会・文部科学大臣賞選考会

本選において各特別賞を受賞された方は、受賞記念演奏会に出演することができます。また、各部門の「グランプリ/クリスタルミューズ賞」受賞者を対象に、演奏審査を行い、中学生部門、高校生部門各1名に文部科学大臣賞が授与されます。

日時 2023年1月22日(日)12:30開場 13:00開演
会場 東邦音楽大学 グランツザール

「文部科学大臣賞」受賞者

中学生部門
石川 葉菜 さん(フルート)
福岡市立柏原中学校 3年
♪演奏曲 ファンタジー G.ユー Pf.塩川 正和


高校生部門
川原 潤 さん(チェロ)
東邦音楽大学附属東邦第二高等学校 1年
♪演奏曲 チェロ協奏曲 ホ短調 作品85 第4楽章 E.エルガー Pf.岩澤 ことね


トロフィーを手に記念撮影


記念演奏会終演後、出演者と審査員で記念撮影

東邦音楽大学 日本管弦打楽器ソロ・コンテスト事務局