本学園は、建学以来これまでの間、音楽芸術研鑽の一貫教育を通じ、音楽を身に付けた文化人として有能なる音楽家・演奏家、指導者などを育成するとともに、幅広い教育を通してバランスの取れた心豊かな人間を育て、社会のニーズに応え活躍できる優れた人材を送り出すという使命・目的をもって教育活動を行ってまいりました。
しかし、昨今の若年人口の減少や進学者の志向・価値観の多様化など、学園を取り巻く社会環境が大きく変動していて、学園全体で入学者を十分確保できずに厳しい経営が続いています。このため、文部科学省の指導もあり、昨年来、改めて本学園の経営状況について詳しく調査・分析し、危機感をもって経営改善計画の策定に取り組んでまいりました。
この度、令和6年6月12日理事会におきまして、学園の継続的な発展を目指した、新たな経営改善計画の決定がなされ、その計画の中で、学園全体の川越キャンパスへの集約が決定いたしました。結果として、大変残念なことではありますが、令和7年度からの附属東邦中学校・東邦高等学校の生徒募集停止、及び令和9年3月末の文京キャンパス閉鎖が決定された次第です。
学園としては、70有余年続いた中学校・高等学校の灯を消さないように、計画策定の最終段階まで、様々なシミュレーションを行い、検討を重ねてまいりましたが、このまま文京キャンパスで附属学校を継続していくことは、学園の将来的な財政見通しでは困難であるとの判断に至りました。
このような結論となり、現役生徒及びそのご家族の皆さまはもとより、卒業生の皆さま、中学生・高校生をご推薦いただいた学園卒業者等のステークホルダーの皆さまに対して、心よりお詫び申し上げます。
在校生の皆さまに対しては、中学校、高等学校それぞれご卒業まで、一人ひとりに寄り添って精一杯教育活動を継続してまいります。特に、教育の質が低下することがないように、また、演奏会やコンサート等の行事の実施に支障が出ないように、学園全体を挙げて取り組んでまいります。
今回の経営改善計画に基づき川越キャンパスに教育資源を集約することにより、経営基盤、とりわけ財政基盤は安定したものとなります。今後は、この基盤の上に立ち、東邦音楽大学以下の高等教育機関及び東邦第二高等学校の教育改革を進めるとともに、新校舎建設など時代に則した施設・設備の一層の充実を図り、教職員一同力を合わせて創立90周年、創立100周年と学園の更なる発展を目指してまいります。
令和6年8月
学校法人三室戸学園
経営改善計画の概要(令和6年6月12日 学校法人三室戸学園 理事会決定)
●二つあるキャンパスを川越キャンパス一か所に集約し、教育資源をまとめて経営基盤の再構築を図る。
●文京キャンパスの東邦音楽大学附属東邦中学校・東邦高等学校については、令和7年度から生徒募集を停止する。
ただし、在校生の学習の機会を保障するため、卒業するまで文京キャンパスでの教育活動は継続し、生徒に不利益が及ばないよう教育機関としての責任を全うする。
●令和9年度から、文京キャンパスにある大学院、東邦音楽短期大学及び東邦音楽大学パフォーマンス総合芸術文化専攻(P.A.C.S)を川越キャンパスに移転する。
●教育改革を進めて学生生徒確保の戦略を強化することにより、本学園のブランド力を向上させ、定員充足を図る。