Vol.09 石川 彩音

石川 彩音
石川 彩音

 母の親友であるソプラノ歌手の石井真由美さんが東邦の総合芸術研究所に在籍されていたことがきっかけで本学を知り、附属中学校のピアノ科を受験しました。 中学に入学した頃、初めは新曲視唱や聴音などでも一番下のクラスだったことを覚えています。 そんな私に東邦の先生方は根気よくご指導下さり、のびのびと成長していくことが出来ました。この時に学んだ音楽の基礎的知識は、確実に私の土台となっています。 その後、附属高等学校にもピアノ科で進学し、高校二年生の時に声楽を音楽学校の武藤直美先生の下で習い始めました。 これが声楽を更に専門的に学びたいと思うきっかけとなり、大学では声楽科として入学し、日比啓子先生に師事しました。 日比先生の下では基本のイタリア古典歌曲から始まり、焦らずにじっくりと育てて頂きました。こうして地道に基礎を積み重ねていくことは声楽を学ぶ者にとって必要不可欠なのです。

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 学園主催のオペラ公演では二年次に「魔笛」の合唱で、四年次には「フィガロの結婚」の花娘役で出演しました。オペラ界の第一線で活躍されている先生方、ソリストの方々と同じ舞台に立たせて頂いたことは非常に貴重な経験でした。
 ウィーン研修は日々がカルチャーショックの連続でした。ウィーンでは日常の中で偉大な音楽家たちを身近に感じさせられることが多々あります。実際に作曲家が住んでいた住居、演奏していた場所など、当時の建物がそのまま残っているので「彼らも私たちと同じようにこの街で生きていた」ということを実感させられるのです。レッスンからも沢山のことを吸収し、とても充実した研修期間でした。

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 大学卒業後はウィーンに渡欧しました。 現在は音楽院に在学する傍ら、東邦ウィーンアカデミーの教授であるポレット・ヘルビッヒ先生からもプライベートレッスンを受けています。 2015年の秋から今に至るまで、150年以上もの歴史を誇るウィーン・シューベルトブント男声合唱団のソリストを務めています。 過去の団員にはリヒャルト・シュトラウスの名前もあり、ヨハン・ボータ氏など数々の大歌手とも共演を重ねている合唱団です。 こうしてソリストとして歌わせて頂くチャンスを得られたことは本当にラッキーでした。今日までウィーン市庁舎大ホール、シューベルト生家、そしてシューベルト教会をはじめとする数々の教会で演奏してきました。 当合唱団ソリストとしての活動以外では、オーストリア内で行われるパーティーやコンサート等で歌わせて頂いています。クラシック音楽が暮らしに根付いているウィーンでは、常に街中で様々なコンサートが行われています。 規模の大小を問わず、色々な場所で歌わせて頂けることに感謝しています。 今後はこちらでオーディションを受けていく予定です。 心に届く歌声を目指して、これからも日々精進していきたいです。

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