東邦音楽大学 ピアノ専攻 中村さん

研修期間2013年11月4日(月・祝)~11月17日(日)

11月4日(月・祝) 曇り
お昼の便で成田空港から12時間かけてオーストリアのウィーンに向かう。16時ごろに到着。
空気がピーンと冷たいけれど、とても澄んでいて心地よい。
バスで東邦ウィーンアカデミーに移動すると、林千尋先生が笑顔で出迎えてくださった。
ベーゼンドルファーのピアノや各部屋の様子を見て、胸が弾んだ。
なんと隣のお宅は、オペレッタ『こうもり』の作曲家ヨハン・シュトラウス2世が住んでいたお宅だそう。ドキドキしながら眠りについた。
【写真:アカデミー外観】


11月5日(火) 曇り
午前中は林先生のオリエンテーション。公共交通機関の利用について、オペラチケットの買い方、オーストリアの歴史や政治的な話までたっぷり教えていただいた。
午後からウィーン市内の見学。世界遺産にも登録されているシェーンブルン宮殿や中央墓地へ。
解説していただきながら、宮殿内部を見学。
「Schön brunn」とは「美しい泉」という意味。その名の通り、床、壁、天井の全てが芸術的で、特に最近2年かけて修復されたという、大ホール天井のフレスコ画は素晴らしかった。
【写真:(上)シェーンブルン宮殿 /(下)中央墓地のベートーヴェンの墓】


11月6日(水) 晴れ
午前中は林先生の授業。林先生の授業の中で何度も登場するキーワードが「サウンド」。
倍音の響き、仕組みについての内容が印象深い。
そして午後はツァブナー先生のピアノレッスン。笑顔と力強い眼が素敵な方。
弾く時の姿勢、椅子の座り方、背中やお腹の筋肉、肩甲骨を意識するだけで音が変わることに驚いた。
私が見ていただいたのはドビュッシーの曲。テンポや和音のバランス、ペダルなど細やかな所がまだまだできていなくて悔しい思いをした。


11月7日(木) 晴れ
この日は全員でベートーヴェンゆかりの地へ。ベートーヴェンが毎日散歩していたという道を歩いたが、鳥のさえずりや、落ち葉を踏む自分の足音が聞こえる、とても静かで優しい場所だった。
途中訪れた、「ベートーヴェン教会」と呼ばれる教会には有名なエピソードがある。
彼の部屋の窓からちょうど教会が見えるのだが、動く鐘が目に入った時に音が聞こえないことを悲しみ、遺書を書く決意をしたそう。
午後は美術史博物館へ。入ってすぐエントランスの彫刻や壁画に驚き、美術品の中に入った感覚だった。
【写真:ベートーヴェンの散歩道】


11月8日(金) 晴れ
午前中、近所の公園へ…と思ったらシェーンブルン宮殿の庭の一部だそう。びっくり。
その後シュテファン寺院、ペーター教会へ。ペーター教会ではちょうどパイプオルガンの演奏を聴く事ができた。体中にずしんと伝わってくるような壮大な響きだった。
夜は初めてのオペラ座へ。ドニゼッティの『愛の妙薬』を立ち見で観た。もちろん足は疲れるけれど、早く並んだおかげか良い席が確保できてとても楽しめた。
【写真:(上)アカデミー近所のシェーンブルンの庭/(下)シュテファン寺院外観】


今日は初めて朝食のパンを買いに行く係になった。朝の冷たい空気の中、6時半ごろ家を出ると、朝焼けで空がピンク色だった。
この日は小雨が降ったりして薄暗かったけれど、なんとなくイメージしていたヨーロッパの冬という感じを味わえた気がした。そんなことを考えながらベルヴェデーレ宮殿へ。ここではやはりクリムトの「接吻」が特別美しかった。
クリムト作品の中でも最高傑作と言われているこの絵は、金地背景と抱き合う男女の幸せそうな表情が素晴らしかった。
【写真:ベルヴェデ―レ宮殿外観】


11月10日(日) 晴れ時々曇り
日曜日はミサの日だ。
マリア・テレジアやエリザベートが結婚式を挙げたという、アウグスティーナ教会へ。
静かで厳かなミサの雰囲気に少し緊張した。
この日はオットー・ニコライの「Fest messe D-dur」。歌手の歌声、パイプオルガン、前にいる司教や座っている信者たちの表情、すべてが教会の中に溶け込むような時間だった。
日曜は街のお店もほとんど閉まっているので、「DEMEL」でケーキを買ってアカデミーに帰り、明日のレッスンに向けて練習をした。
【写真:DEMELのケーキ】


11月11日(月) 晴れ時々曇り
今日はマリアン先生の授業。練習方法について話している中で、「論理的に練習する」という言葉があった。何が問題か、どう解決すべきか、今何をするべきか書き出してから練習することで、むやみに弾くより数倍も充実した練習ができるということに共感した。
夜は再びオペラ座へ行き、『蝶々夫人』を立ち見で楽しんだ。なんと指揮者はドミンゴ!
立ち見席はジーンズにスニーカーでも気楽に楽しめるのが魅力。ウィーンの人々にとって、クラシック音楽が身近なものだという表れかもしれない。
【写真:蝶々夫人キャスト紹介】


11月12日(火) 晴れ
今日はツァブナー先生の「子供のためのピアノ指導法」という授業。
なんとト音記号もヘ音記号もない楽譜を使用するのだとか! 楽譜を全体のシルエットで読むことで、フレーズの捉え方や初見、移調にも強くなるのだ。
夜はコンツェルトハウスへ。曲はメンデルスゾーンの『スコットランド』と、ブラームスの『ピアノ協奏曲第2番』。ピアニストは若い華奢な女性だったが、オケに全く引けを取らない素晴らしい音の響きだった。


11月13日(水) 曇りのち晴れ
明日にひかえた修了演奏会に向けて、ゲネプロを行う。
良い音を出す、的確なペダルで響きを作る、言葉にするのは容易いだけれどとても奥深く、やっぱり難しい。
夜はみんなでオペラ座へ『仮面舞踏会』を観に行く。
なんと前から4列目で、オケも指揮者の姿も見られる席だった。アメーリアとリッカルドの二重唱がうっとりするほど美しく、感動の夜だった。


11月14日(木) 晴れ
今日は修了演奏会。声楽専攻、ピアノ専攻の友人たちみんなが、それぞれの魅力を存分に出していた。
自分自身の演奏はというと、集中した演奏ができたけれどやっぱりたくさんの課題がまだまだある。けれど友人たちが見守る、良い雰囲気の中演奏ができて嬉しかった。
夜は、近所のレストランへ。巨大なスペアリブや、ステーキ、シュニッツェル…演奏会が無事終わった解放感もあり、楽しい肉パーティとなった。
【写真:夜ご飯のスペアリブ】


11月15日(金) 雨のち曇り 
今日は一日ザルツブルク研修。バスに3時間程乗り、到着する。
空気が凛としていて冷たいけれど、湖や霧がかった山など自然が綺麗な町だった。
ザルツブルクと言えば、モーツァルトの生まれた地である。モーツァルトの生家、資料館や、洗礼を受けたという大聖堂などを訪れた。大聖堂には、モーツァルトが17歳の時に演奏したというパイプオルガンもあり、今もこの地の誇りである事がうかがえた。
【写真:ザルツブルグの湖】


11月16日(土) 曇り
午前中最後の自由時間ということで、カールスプラッツにあるWien museum(ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ)へ。
ここにはクリムトの絵が4枚ほどあるのですが、その中でも“Liebe”というロマンチックな絵にはジャポニズムの影響も見られ、とても気に入った。
午後は全員でアカデミー内を大掃除! 各部屋、お風呂、お手洗い、レッスン室や階段などなどを協力して行う。
そして夜は全員で市庁舎前のクリスマス市へ。ちょうど初日で、驚くほど大勢の人で賑わっていた。この時期にしか味わえない華やかなヨーロッパのクリスマス! 幸せな時間だった。
【写真:市庁舎前クリスマス市の様子】


11月17日(日) 曇り
林千尋先生、林敏子先生に見送っていただきながらアカデミーを出る。
ウィーンには生活の中に音楽がある。教会の鐘の音や、日曜日のミサ、毎日どこかでコンサートが開かれていて、仕事を終えた人々が気軽に楽しんでいる。
クラシック音楽の在り方そのものがとても自然だと感じた。
お世話になった先生方やグループの仲間たちとの思い出を大切にし、2週間ウィーンで味わってきた全ての事を、これからの音楽づくりの糧にしたいと思う。
【写真:飛行機からの写真】


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