東邦音楽大学 管弦打楽器(打楽器)専攻 佐藤さん

研修期間2009年5月5日(火)~5月19日(火)

 私はヨーロッパは勿論、海外旅行の経験が無く、長時間のフライトや時差などに多少の不安がありました。ウィーンに到着すると、天候に恵まれカラッとした晴天で、日本と違い湿度が低いので過ごしやすさに驚いたのが印象に残っています。空港の外に出て思い切り空気を吸うとウィーンに着いた!と実感し、長旅の疲れも吹き飛びこれからの研修への期待で一杯になりました。

ウィーンで一番驚いたことは市街地の景観の素晴らしさです。日本と違い、近代的な高層ビルなどはなく、歴史ある建物が多く残っていました。市庁舎でさえ、まるでギリシャ神殿のような建物で古いものを大切にするヨーロッパの文化に感動しました。生活文化の違いで戸惑ったのはチップ制度です。日本には無い文化ですので、慣れるまでに時間がかかりました。「感謝の気持ちでいいですよ」と事前に教えて頂いていたのですが、いざカフェなどに行くと「少なすぎないかな…多すぎないかな…」と具体的な金額が分からないので悩んでしまいスマートにチップを渡せずよく失敗していました。私はウィーンに行ったら語学のスキルアップも図りたいと思っていたので、買い物もジェスチャーだけではなく、積極的にドイツ語を使うようにしました。英語もだいたい通じるのですが、やはりウィーンに来たからにはドイツ語を…と思い大学で勉強していた日常会話などを使い受け答えするようにしました。そんな私の拙いドイツ語に、現地のお店の方が「お上手ですよ」と言ってくれたことがとても嬉しく、益々積極的に話しかけるようになりました。ヨーロッパは日本のようにお店に黙って入ることはありません。お店に入った時には挨拶をするのが普通です。出て行く時も黙って出ないで「さようなら」と言ってお店を後にします。お会計の時も「ありがとう」や「どうも」と必ず言います。相手が自分の為にしてくれたことに対して、小さなことでも「ありがとう」と言う、そんな素敵な文化を日本に帰っても見習いたいと思いました。

実技のレッスンでは、ミッターマイヤー先生が熱心にレッスンをして下さいました。先生は、アカデミーに来ると挨拶をしながら毎回面白いことを言って私たちを楽しませてリラックスさせて下さる優しい先生でした。レッスンではバッハを見て頂いたのですが、リズムと発音を重点的に指導して頂きました。音楽の構成をアウフタクト的に全て弾くようにとアドバイスを頂き、その為フレージングもより立体的に変化して行きました。ティンパニのレッスンでは先生がティンパニストですのでリズムや音色で更に細かい指導をして頂きました。特に熱心に教えて頂いたのは、ベートーヴェンの交響曲第七番に出てくるティンパニのリズムです。「日本人はこのリズムが苦手だね」と言いながら先生と一緒に手順も直し、とても勉強になりました。その他にもワルツのティンパニの叩き方もダンスの動きと交えてより分かりやすくポイントを教えて頂きました。先生のレッスンで一番参考になったことはやはり、西洋的なリズムの感じ方です。私たちには無いもので、先生のものは体に染みついた拍の感じ方だな…と肌で感じました。

私にとってウィーン研修は音楽や文化を実際に体感することのできる素晴らしい機会となりました。また、ミッターマイヤー先生にお会いして先生の演奏を生で聞けたことも、私の音楽にとって、いい”栄養”になり、外の世界への視野も広がりました。日本ではなかなか学ぶことができない体験をさせて頂いたので、演奏の面は勿論のこと、指導の面でも生かしていきたいと思っています。

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