「第9回横浜国際音楽コンクール」声楽部門第1位を受賞された本学大学院生・近野桂介さんにお話をお伺いしました。

昨年8月に本選が行われた「第9回横浜国際音楽コンクール」の声楽部門[一般A]において、本学大学院音楽研究科声楽表現コース(声楽領域)1年・近野桂介さんが、1位及び「ハンナ賞」、さらに各部門1位受賞者から選考される「パリ・エコール・ノルマル音楽院奨学金」を受賞しました。

近野さんは、高校(本学附属第二高等学校)でピアノを、大学で声楽を専攻され、その後、本学大学院に入学。現在1年次生で、バロック音楽を主に研究されています。近野さんにコンクール応募のきっかけ、大学院での学び、今後の目標などをお聞きしました。

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「横浜国際音楽コンクール」は自由曲で応募できます。現在研究をしているバロック音楽の楽曲で自身の力、レパートリーがどこまで通用するかを試してみたいと思ったことが、このコンクールに応募したきっかけでした。

大学院で学び始めてから、楽曲の選び方がそれまでと大きく変わりました。大学院で師事している日比啓子先生、またそのほかの先生方からも、「あなたにはバロックが合うのでは。あなたにしか歌えないものを歌ったほうがいい」とアドバイスをいただいたことで、それまではあまり選ぶことのなかったバロック期の作品を研究対象とするようになりました。

今回のコンクール用にと選んだ楽曲も、大学院の先生方に推薦していただいたものです。その結果、1位という評価をいただくことができ、先生方には心から感謝しています。

楽曲の選び方が変わったことも含めて、大学院での学びでは、それまで気づかなかった新しい発見をすることが多くあります。また、新しい発見があるからこそ、よりステップアップできるのだと思います。

特に、「アンサンブル表現研究(声楽)」の授業から学べることは非常に多くあります。試演会に向けて演目を定めることから始まり、演目の研究・練習を重ね、試演会の舞台で研究成果を発表します。担当されている複数の先生方にさまざまなアドバイスをいただきながら、各自、演目の研究・練習を続けていくのですが、先生方の実践的なアドバイスのおかげで、自分がどんどん変化していくことを実感できます。

大学院入学前もコンクールには何度も挑戦してきましたが、1位という評価をいただいたのは今回が初めて。大学院の先生方のご指導がいまの私を導いてくれたと感じています。

生の声で、言葉とともに伝える音楽。それが声楽の大きな魅力だと思います。オペラではさらに体も使い、聴いてくださるお客様に全力で伝えなければなりません。自分の体調、心の状態などがすべて舞台に影響しますから、日々の生活面で気をつけなければならないことも多くあるなど、声楽には難しさもありますが、やりがいも非常に大きいです。

個人的な考えですが、音楽を学ぶなら、自分の芯を持つこと、そして夢を追い続けることが大切だと思っています。芯を持ったうえで、周囲の方の意見もしっかりと聞き、そこからもどんどん吸収する。私自身、そのことを意識しながら学び、また、夢を抱くだけではなく、具体的な目標を設定するようにもしています。

大学院の先生方のご指導を信じ、全力で音楽と向き合う日々を送っているいまは、まだまだ学ばなければならないことがたくさんありますが、その先に、海外、やはりヨーロッパのオペラの舞台をめざしたいという目標があります。今回のコンクールで賞をいただけたことは、将来の目標への出発点。そう考えています。

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今回の受賞によるパリ・エコール・ノルマル音楽院への留学は、今年の秋を予定しているという近野さん。留学先でもさまざまなことを吸収しながら、夢の実現、目標達成に向けて、研鑽を積まれることでしょう。近野さんの今後の活躍に、この記事をご覧いただいている皆様にもぜひご注目いただきたいと思います!

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12月川越キャンパス・グランツザールにて行われた
「東邦音楽大学大学院1年次 演奏会」の舞台に立つ近野さん。
美しい響きが会場を包み込みました。

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インタビューに朗らかに、ご丁寧にお答えくださいました。
近野さん、ありがとうございました!