卒業生の仕事場:石森由祐さん


DSC_0901.JPG

今回は、音楽療法専攻を卒業して3年目になる、石森由祐さんにお話を伺いました。

 

――大学を卒業後、どのような進路に進まれたのですか?

 卒業後すぐは東京都の調布市や昭島市で、障害児・者の音楽療法に携わっていました。その後地元の仙台に戻っていたのですが、昨年の3月に東日本大震災があり、地元も大きな被害を受けました。震災後は、移動式入浴サービスなどの生活支援の一員として、避難所で2ヶ月ほど仕事をしていました。

震災から約1年経った今年の春から、埼玉県で現在の仕事を始めました。現在は、高齢者のためのリハビリテーションを中心とした小規模デイサービスで生活支援員として働いています。

 

――現在のお仕事は、どのようなことをしているのですか?

 送迎や清掃など施設職員としての業務をしながら、リハビリテーションの一環として12回音楽療法セッションを担当しています。入職当初は音楽療法は行なっていませんでしたが、大学で音楽療法を学んでいたことがきっかけで取り入れてもらえるようになりました。他の職員の方と意見交換をしたり、利用者さんからリクエストをいただいたりして、日々のセッションに生かしています。現在の職場での音楽療法に関しては、自分に一任していただいています。

 

――仕事をしていてやりがいを感じること・嬉しく感じることはどんなことですか?

 音楽療法を取り入れる前から施設を利用している方に「今は音楽療法が1番楽しみ」と言っていただけたり、体験入所をされた方から「音楽療法があると聞いたからここに来た」と聞いたりしたときです。

ある認知症の男性は、はじめは反応があまり見られなかったのですが、今では一緒に歌ってくださるようになったり、音楽療法の時間に歌った曲を「家に帰ったら奥さんに歌う」と意気込んで帰っていったりしています。このような利用者さんのよい変化が実感できると嬉しいです。利用者さん同士の雰囲気も良くなったように感じます。

 

――大学で学んだことで役に立っていることはありますか?

 人間関係のスキルを学んだことが大きいと思います。3年生になると臨床実習が始まりますが、(対象者を相手にした)実習の場だけでなく、(実習のチームメートや先生などを相手にした)学生生活全般で人との関わりを学ぶ機会が多かったように感じます。そのおかげで、音楽療法の技能面だけでなく人として成長できたと思います。

 また、現在の仕事をするまで高齢者の音楽療法の仕事の経験はほとんどありませんでしたが、高齢者施設で実習をした経験を参考にセッションを組み立てることができました。

 

――今後やっていきたいことはありますか?

現在の職場での音楽療法はまだ始まったばかりで探り探りの部分が多いですが、これから発展させていきたいと思っています。リハビリテーション中心の施設ですから利用者さんも比較的機能の高い人が多いので、音楽療法での成果を発表する機会を作りたいと考えています。また現在の音楽療法セッションは歌唱活動中心ですが、楽器活動などを通してより効果的なリハビリテーションに繋げていけたらと思っています。

高齢者領域の音楽療法も興味深くておもしろいですが、以前携わっていた障害児・者の領域にも関わっていきたいです。

(インタビュー・構成:飯島千佳)