日本音楽療法学会学術大会(岐阜)に参加しました

第23回日本音楽療法学会学術大会が2023年9/1~9/3まで、岐阜県の長良川国際会議場で開催されました。
大会テーマは「多様性社会における音楽療法 ~いま、そしてこれから~」という現代ならではの興味深いテーマでした。
音楽療法は、その内容もアプローチ方法も多岐に渡ります。多様性あふれる現代社会において、音楽療法が人々の健康や幸福にどのように寄与していくのか、たくさんの研究発表やシンポジウムで熱気あふれる報告や討論が繰り広げられました。

本大会は、長良川での対面開催と併せてオンデマンドでも開催されました。本学の学生たちは、対面・オンデマンドの両方で参加しました。写真は、現地で参加した学生たちです。初めて学術大会に現地参加した学生もいましたが、学外の様々な音楽療法士たちの英知を目の当たりにして、とても刺激を受けたことと思います。
また、現地では卒業生たちとも再会しました。音楽療法専攻の学生と卒業生が一堂に学術大会で学ぶ姿は、とても感慨深いものでした。
 
本学教員の二俣泉先生は、複数のシンポジウムのシンポジストとして素晴らしいご発表をされました。また、私木下容子も、二俣先生との共同研究で口演発表を行わせて頂きました。

今年も大変充実した3日間でした。来年の大会は北海道で開催されます。北の大地で、本学の学生や卒業生たちが活躍してくれることを楽しみにしています!

現地参加した音楽療法専攻生たち

2023年度第1回の定例研究会を行いました

音楽療法専攻では、音楽療法の臨床等について検討する研究会を授業外で実施しています。
2023年度第1回目の定例研究会は7月21日(金)17:45から、対面とオンラインのハイブリッドで実施しました。
発表者は教員である私木下容子で、「精神科音楽療法の実際」というタイトルで発表いたしました。

コロナ禍、精神科での音楽療法実習が出来ていない現状から、精神科領域の疾患や症状、そしてそのような対象者たちへの音楽療法実践をお伝えしていきました。初めて精神疾患を学ぶ学生も、既に授業で学んだ学生たちも、疾患や症状の話を真剣に聴いていました。そして、その領域での音楽療法を想像しながら、熱心に学んでくれました。
学生たちは主に対面で参加しましたが、ハイブリッドでの開催だったため卒業生など学外の方々もオンラインで参加して頂き、盛会となりました。
質疑応答では、素朴な疑問から核心をつくような質問まで幅広く話題が上り、学生たちも実践経験のある音楽療法士たちも一同に議論に参加することが出来ました。
精神科疾患のある方々にとっての音楽は、心癒やし、自分を見つめるのに有効な媒体です。また、自己表現のために大切なツールであり、他者と繋がるためにも必要なものであるといえます。学生たちには、精神科領域でも大いに活躍する音楽療法士になって欲しいと切に願います。

音楽療法専攻の実習が2023年度も始まりました

音楽療法専攻の3・4年生は、様々な領域の音楽療法実習に取り組みます。
実習は音楽療法士になるための必須科目で、実習担当の先生方から音楽療法実践はもちろん、対象者との関わり方、目標の立て方、実践をどのように評価していくかなどを多角的に学んでいきます。
 2023年度も、対面実習とオンライン(同時双方向型)実習の2本立てでスタートいたしました。
写真は、対面実習の一場面です。

実習生は、自分たちで活動を考え、自分たちで展開していきます。実習担当の先生方は、実践方法を教授しつつも、基本的には実習生たちの自主性を尊重します。
時に困難に直面しても、実習生たちがどのように対処して乗り越えていくかをそっと見守るのです。対象者の音楽を楽しんでいる様子は、何よりも学生たちのモチベーションアップに繋がっています。音楽療法の対象者から教えて頂くことは、学生たちの一生の財産となっていくのです。

本学音楽療法専攻の2022年度卒業生たちが「認定音楽療法士資格試験」に合格しました

 本学の音楽療法専攻は、日本音楽療法学会認定音楽療法士資格取得のための「認定校」です。年に1回、認定音楽療法士になるための試験が開催されます。
2022年度に卒業した専攻生たちが受験しましたが、全員合格することが出来ました。学生一人ひとりに沿った試験対策講座を実施し、それに学生たちが真摯に取り組んだことで、無事に全員が合格することが出来ました。
2年連続で合格率100%となりましたが、これは東邦音楽大学ならではの「One to One教育」が実を結んだ結果だと感じています。また、もちろん試験対策講座だけではなく、普段の授業や音楽療法実習においても個々の状態に合った指導をおこない、学生たちの素朴で率直な疑問に常に向き合ってコミュニケーションしてきました。学生と教員に信頼関係が構築されたからこそ、今回の「合格」を得られたものと考えています。
晴れて「認定音楽療法士」となった卒業生たちは、社会の中で音楽療法を必要とする方々に対して、自分たちの良さを活かした形で実践を展開していくことと思います。音楽で人間の「健康」に寄与する、という素晴らしい仕事をしてくれることに心から期待しています!!

木下容子

ドレミ株式会社様のセッションと施設を見学させていただきました。

 ドレミ株式会社様は、日本音楽療法学会副理事長である猪之良高明先生が代表をされている会社で、「音楽でみんな笑顔になれる」を理念として掲げ、音楽療法センターや放課後等デイサービスを営まれています。群馬県太田市を中心とした地域で、子どもから高齢者までの幅広い世代の方々に対して、音楽と福祉の事業を展開されています。
 2023年2月17日(金)、音楽療法専攻4年生の学生たちがセッションと施設の見学をさせて頂きました。高齢者を対象とした音楽療法セッションは、歌あり、楽器演奏あり、体操あり、クイズや頭の体操も盛り込まれていて、参加している方々全員の心と身体が活き活きと動き出す様子がとても印象的でした。
 午後には施設を見学させて頂き、その後猪之良先生から、起業して音楽療法事業を展開されてきたご経験をお話頂きました。学生たちからは、「音楽療法士として仕事を得るために必要なことを考えるきっかけになった」「経営という視点でお話を伺えたことが非常に興味深かった」「人とのつながりの大切さを学んだ」等の声がたくさん上がりました。
 今回の見学は、学生たちの将来に大きな影響を与えて頂いたと感じています。改めて、猪之良先生はじめドレミ株式会社の皆様に心から御礼申し上げます。

木下容子

猪之良高明先生と音楽療法専攻4年生たち

学内実習発表会・卒業論文発表会を終えて

音楽療法専攻の学生は、3・4年次に音楽療法の実習に取り組みます。児童・成人・高齢者の各領域で実施される対面セッションや遠隔セッションに日々参加し、臨床の基礎を学んだり技術を高めたりしています。音楽療法専攻はこの「実践」とともに、音楽療法の「研究」にも取り組みます。「実践」と「研究」の両輪は、素晴らしい音楽療法士に近づくためにどちらも必要なものなのです。
2023年1月30日に、学内実習発表会(3年生)と卒業論文発表会(4年生)を合同で行いました。
学生たちは、音楽療法の中で興味のあるテーマを自分で探し、1年間リサーチを続けて論文を執筆していきます。テーマの探求はとても難しい作業ですが、学生たちは自分で先行研究論文を探したり質問紙調査を行ったりします。最終的にそれを論文としてまとめ上げ、専攻内で発表するという流れがあります。
今年度も、3・4年生全員が独自性のあるテーマで堂々と発表してくれました。
1・2年生は、先輩たちの発表を聞いて素朴な疑問を投げかけてくれたりと、有意義な質疑応答が行われました。後輩たちにも良い影響を与えてくれたこの発表会は、4年生が卒業後も研究を続ける礎となることでしょう。

GIMセミナー&体験会に参加して

私は今回、音楽療法の理論のひとつであるGIM(音楽イメージ誘導法)の学生向けセミナー&体験会に参加させていただきました。
GIMとは、リラックスした状態でクラシック音楽などの既成曲を聴くこと主体としている技法です。音楽を聴いている際に浮かんでくるイメージを基に、セラピストとクライエントが一緒に心の症状の改善について考えます。

私が大学2年生のときにこの理論については座学で勉強しました。ですが、言葉の説明のみではGIMという技法を今ひとつ体感出来なかったのと、純粋にどのような形式でセッションを行うのか興味があったため参加することに決めました。

セミナーでは授業で学んだことに加えてより詳細にGIMという技法の成り立ち等を聞くことが出来ました。説明を聞いていく中で1番印象に残ったのは、「答えは個人の中にある」という言葉でした。
普段生活していて、ストレスが溜まったり、無意味に不安になったり等、様々な心の症状を抱えることは誰にでもあると思います。
それを解決するために自分なりに対処してしまいますが、その症状や問題の根底は心の奥底にあり、それは他人にも自分でも意識できていない部分だということ。
それを、GIMを通して浮き彫りにし、その原因に対しての意識や見方を変化させ、日常生活をよりよく生きようというものでした。
音楽療法の対象となる方は、高齢者・精神化・児童と大まかに枠組みが出来ているイメージがありましたが、我々のような健常者と呼ばれるような人間でも日常生活で少し生きづらいと思うことがあれば、このGIMという技法で改善できるのではないかと感じました。
また、実際のGIMのセッションを体験することもできました。
睡眠でも催眠でもない変性意識状態という不思議な状態になり、目をつぶって音楽を聴くと自分が体験しているようなイメージも出てきました。
そのイメージを先生に読み取っていただき、今の自分に何が必要なのか、そのイメージから何が連想されるのか話していただいて体験会は終わりました。
夢とは違った不思議な感覚を経験することが出来ました。

今回のセミナーを通して、音楽療法の理解を少し深められたと思います。
実践だけではなく、このような勉強会を通し知見を増やして、今後の自分に生かしていきたいです。

(4年生 中村凜)

コロナ後、初のボランティアに参加して

新型コロナウイルスの感染拡大以前は盛んに行われていた音楽療法専攻学生のボランティアですが、感染症対策のために外部の立ち入りに対する規制が厳しい施設が多くなり、当面の間、ボランティア活動ができずにいました。
今回、卒業された先輩からお誘いがあり、コロナ以前にもボランティアに行かせていただいていた高齢者のデイサービスにボランティアに行くことができました。
昨年度から音楽療法実習で高齢者のデイサービス施設と遠隔でのセッションはさせていただいていましたが、実際に対面してセッションを行うという経験は私にとってほぼ初めての経験でした。緊張ももちろんありましたが、「やっと直接対象者の方々と会ってセッションができる」という期待が大きかったです。
実際にセッションをやってみて、Zoom越しでは感じ取れなかった対象者の表情や目線、その場の空気を感じることができ、同じ空間で同じ音楽を楽しめることの喜びを改めて感じました。
またセッション以外の普段の様子を見ることができたり、セッション後にほんの少し直接お話することができた時間が、遠隔では作りにくい時間であるためもどかしくも感じますが、対象者の方を知るきっかけになる大切な時間だと思いました。
今後も感染症対策を充分に行いながら、積極的にボランティアに参加し、経験を積んでいきたいです。

(4年生 木村紗彩)

音楽療法専攻の実習が2022年度も始まりました

 音楽療法専攻の実習は、コロナ禍のため今年度も対面実習と遠隔実習(オンライン形式・オンデマンド形式)の両方で実施することとなりました。それぞれのチームでの実習がはじまり、3、4年生は複数の実習に入って頑張っています。
 対面・遠隔での実習は、形態は違えど学ぶことは多く、学生たちは対象者や目の前の課題に日々真剣に取り組んでいます。
 写真は、対面実習の練習風景です。

卒業論文の執筆を通して感じたこと(新山広花・音楽療法専攻4年生)

 私が卒業論文執筆を通して感じたことは、他人の視点の大切さです。
 研究を進めていく中で他者、特に同級生2人には意見をもらいながら進めることが多々ありました。他者からの意見には自分にはない着眼点や気づきも多くあり、毎回沢山の学びがありました。しかし、本格的にそれぞれが文章を書く頃は個人で作業することが増えたため、2人から意見を聞く機会は減ってしまいました。ゼミ担当の先生とは作業を進める過程で意見を頂くことがあり、そこで気づくことも多々ありました。しかし、もっと多くの人に意見を求めていれば他にも沢山の知見を得られたのではないかと思っています。今後は、積極的に他者に意見をいただく機会を設けていきたいと感じています。

 また、私は研究の中で質問紙調査を行いました。その結果を集計する中で、1つのことでも様々な方法や意見があるのだと改めて感じました。普段物事を考えたりするうえで、自分自身が知っている方法等にとらわれがちですが、研究をし、他人の意見を知ることで新しい知識を得ることができ、とても興味深いと思いました。今後は、得た研究結果を留めず、発表等で他の人へも広げていきたいです。

 約1年間、研究をする中で上手くいかない部分や後悔したこと、大変だったことも多々ありましたが、改めて新しいことを知ることや研究の面白さを感じた1年だったと思います。私の今年度の研究は、まだ最終的なゴールにはたどり着いていません。そのため、今後も研究を続け、ゴールにたどりつけるようにしたいです。そして、それが音楽療法の発展や、音楽療法に関わる人の新しい知識に繋がれば幸いです。