2023年度 第2回目の定例研究会が開催されました

音楽療法専攻では、音楽療法に関するあらゆることを検討する研究会を授業外で実施しています。
7月に行われた2023年度第1回目の定例研究会に続き、9月下旬に第2回目の研究会が実施されました。
今回はオンラインのみでの開催でしたが、在学生に加えて卒業生の皆さんも参加してくれました。
発表者は、本学音楽療法専攻卒業生(5期生)の中林亜衣さんで、「好きだからやる!やりたいからやる!~音大時代のピアノ技術劣等生が、小さなNPO法人をつくったお話。なければ創ればいい!~」というタイトルで発表して下さいました。
中林さんは「NPO法人 生涯発達ケアセンター さんれんぷ」の代表をされていて、法人を立ち上げるまでの流れや、法人での活動を通しての障害や福祉、医療についての知識等を教えて下さいました。
また、タイトルにある「好きだからやる!やりたいからやる!」というような、中林さんならではの在学中の活動やエピソードについても教えて下さいました。その中でも特に印象に残った言葉があります。中林さんが大事にされている考え方で、「『できない』をどうやったら『できる』にするか考える。1人でスーパーマンにならない。周りのできる人や専門家を巻き込む」というものです。私は人に頼るのではなく、何でも1人でできるようになりたいと考えていた為、できないことがあったら、1人で抱え込まずに周りの人たちに頼った方が良いという考え方に感銘を受けました。
できないことがあったら隠さずに周りの人に相談すること、頼れる関係性の人をもっと増やせるように積極的に様々な人と関わっていくこと、この2点を実践していきたいと思いました。他にも印象に残るエピソードや言葉を教えて下さり、沢山のことを学ぶことができた定例研究会でした。

(音楽療法専攻3年生 黒田未和依)

中林亜衣さん(NPO法人 生涯発達ケアセンター さんれんぷ代表、本学音楽療法専攻卒業生)

地域で音楽療法を実施させて頂きました

音楽療法専攻は、3年生から実習に取り組みます。学内・学外において複数の教育機関・福祉施設・医療施設で、対面・遠隔の音楽療法を実施しています。
今回、実習とは別で、川越市内の高齢者入所施設と精神科通所施設において、音楽療法を実施させて頂きました。
写真は、音楽療法中に学生が演奏を披露している姿です。

学生たちの演奏に、ご参加下さった皆様は熱心に耳を傾けてくださいました。そして、活動の前後には学生に積極的に話しかけてくださる方々もいらっしゃいました。

各実習において、継続的に関わる音楽療法対象者から学ぶことは非常に多いです。
ただ、初めて会う方々への音楽療法活動において、学生たちは「この方に話しかけても大丈夫かな?」と考えたり、「音の刺激はこのくらいで伝わっているだろうか?」と音楽療法の本質に迫る検討をさせて頂いたことで、普段とは違う学びがたくさんあったことと想像します。

音楽療法活動を通して大学と地域が繋がり、たくさんの方々に喜んで頂けること。そして学生も普段とは異なる気づきを得ることが出来ること。この充実した活動は、今後も継続的に実施していきたいと考えています。

日本音楽療法学会学術大会(岐阜)に参加しました

第23回日本音楽療法学会学術大会が2023年9/1~9/3まで、岐阜県の長良川国際会議場で開催されました。
大会テーマは「多様性社会における音楽療法 ~いま、そしてこれから~」という現代ならではの興味深いテーマでした。
音楽療法は、その内容もアプローチ方法も多岐に渡ります。多様性あふれる現代社会において、音楽療法が人々の健康や幸福にどのように寄与していくのか、たくさんの研究発表やシンポジウムで熱気あふれる報告や討論が繰り広げられました。

本大会は、長良川での対面開催と併せてオンデマンドでも開催されました。本学の学生たちは、対面・オンデマンドの両方で参加しました。写真は、現地で参加した学生たちです。初めて学術大会に現地参加した学生もいましたが、学外の様々な音楽療法士たちの英知を目の当たりにして、とても刺激を受けたことと思います。
また、現地では卒業生たちとも再会しました。音楽療法専攻の学生と卒業生が一堂に学術大会で学ぶ姿は、とても感慨深いものでした。
 
本学教員の二俣泉先生は、複数のシンポジウムのシンポジストとして素晴らしいご発表をされました。また、私木下容子も、二俣先生との共同研究で口演発表を行わせて頂きました。

今年も大変充実した3日間でした。来年の大会は北海道で開催されます。北の大地で、本学の学生や卒業生たちが活躍してくれることを楽しみにしています!

現地参加した音楽療法専攻生たち

2023年度第1回の定例研究会を行いました

音楽療法専攻では、音楽療法の臨床等について検討する研究会を授業外で実施しています。
2023年度第1回目の定例研究会は7月21日(金)17:45から、対面とオンラインのハイブリッドで実施しました。
発表者は教員である私木下容子で、「精神科音楽療法の実際」というタイトルで発表いたしました。

コロナ禍、精神科での音楽療法実習が出来ていない現状から、精神科領域の疾患や症状、そしてそのような対象者たちへの音楽療法実践をお伝えしていきました。初めて精神疾患を学ぶ学生も、既に授業で学んだ学生たちも、疾患や症状の話を真剣に聴いていました。そして、その領域での音楽療法を想像しながら、熱心に学んでくれました。
学生たちは主に対面で参加しましたが、ハイブリッドでの開催だったため卒業生など学外の方々もオンラインで参加して頂き、盛会となりました。
質疑応答では、素朴な疑問から核心をつくような質問まで幅広く話題が上り、学生たちも実践経験のある音楽療法士たちも一同に議論に参加することが出来ました。
精神科疾患のある方々にとっての音楽は、心癒やし、自分を見つめるのに有効な媒体です。また、自己表現のために大切なツールであり、他者と繋がるためにも必要なものであるといえます。学生たちには、精神科領域でも大いに活躍する音楽療法士になって欲しいと切に願います。

音楽療法専攻の実習が2023年度も始まりました

音楽療法専攻の3・4年生は、様々な領域の音楽療法実習に取り組みます。
実習は音楽療法士になるための必須科目で、実習担当の先生方から音楽療法実践はもちろん、対象者との関わり方、目標の立て方、実践をどのように評価していくかなどを多角的に学んでいきます。
 2023年度も、対面実習とオンライン(同時双方向型)実習の2本立てでスタートいたしました。
写真は、対面実習の一場面です。

実習生は、自分たちで活動を考え、自分たちで展開していきます。実習担当の先生方は、実践方法を教授しつつも、基本的には実習生たちの自主性を尊重します。
時に困難に直面しても、実習生たちがどのように対処して乗り越えていくかをそっと見守るのです。対象者の音楽を楽しんでいる様子は、何よりも学生たちのモチベーションアップに繋がっています。音楽療法の対象者から教えて頂くことは、学生たちの一生の財産となっていくのです。

本学音楽療法専攻の2022年度卒業生たちが「認定音楽療法士資格試験」に合格しました

 本学の音楽療法専攻は、日本音楽療法学会認定音楽療法士資格取得のための「認定校」です。年に1回、認定音楽療法士になるための試験が開催されます。
2022年度に卒業した専攻生たちが受験しましたが、全員合格することが出来ました。学生一人ひとりに沿った試験対策講座を実施し、それに学生たちが真摯に取り組んだことで、無事に全員が合格することが出来ました。
2年連続で合格率100%となりましたが、これは東邦音楽大学ならではの「One to One教育」が実を結んだ結果だと感じています。また、もちろん試験対策講座だけではなく、普段の授業や音楽療法実習においても個々の状態に合った指導をおこない、学生たちの素朴で率直な疑問に常に向き合ってコミュニケーションしてきました。学生と教員に信頼関係が構築されたからこそ、今回の「合格」を得られたものと考えています。
晴れて「認定音楽療法士」となった卒業生たちは、社会の中で音楽療法を必要とする方々に対して、自分たちの良さを活かした形で実践を展開していくことと思います。音楽で人間の「健康」に寄与する、という素晴らしい仕事をしてくれることに心から期待しています!!

木下容子

ドレミ株式会社様のセッションと施設を見学させていただきました。

 ドレミ株式会社様は、日本音楽療法学会副理事長である猪之良高明先生が代表をされている会社で、「音楽でみんな笑顔になれる」を理念として掲げ、音楽療法センターや放課後等デイサービスを営まれています。群馬県太田市を中心とした地域で、子どもから高齢者までの幅広い世代の方々に対して、音楽と福祉の事業を展開されています。
 2023年2月17日(金)、音楽療法専攻4年生の学生たちがセッションと施設の見学をさせて頂きました。高齢者を対象とした音楽療法セッションは、歌あり、楽器演奏あり、体操あり、クイズや頭の体操も盛り込まれていて、参加している方々全員の心と身体が活き活きと動き出す様子がとても印象的でした。
 午後には施設を見学させて頂き、その後猪之良先生から、起業して音楽療法事業を展開されてきたご経験をお話頂きました。学生たちからは、「音楽療法士として仕事を得るために必要なことを考えるきっかけになった」「経営という視点でお話を伺えたことが非常に興味深かった」「人とのつながりの大切さを学んだ」等の声がたくさん上がりました。
 今回の見学は、学生たちの将来に大きな影響を与えて頂いたと感じています。改めて、猪之良先生はじめドレミ株式会社の皆様に心から御礼申し上げます。

木下容子

猪之良高明先生と音楽療法専攻4年生たち

学内実習発表会・卒業論文発表会を終えて

音楽療法専攻の学生は、3・4年次に音楽療法の実習に取り組みます。児童・成人・高齢者の各領域で実施される対面セッションや遠隔セッションに日々参加し、臨床の基礎を学んだり技術を高めたりしています。音楽療法専攻はこの「実践」とともに、音楽療法の「研究」にも取り組みます。「実践」と「研究」の両輪は、素晴らしい音楽療法士に近づくためにどちらも必要なものなのです。
2023年1月30日に、学内実習発表会(3年生)と卒業論文発表会(4年生)を合同で行いました。
学生たちは、音楽療法の中で興味のあるテーマを自分で探し、1年間リサーチを続けて論文を執筆していきます。テーマの探求はとても難しい作業ですが、学生たちは自分で先行研究論文を探したり質問紙調査を行ったりします。最終的にそれを論文としてまとめ上げ、専攻内で発表するという流れがあります。
今年度も、3・4年生全員が独自性のあるテーマで堂々と発表してくれました。
1・2年生は、先輩たちの発表を聞いて素朴な疑問を投げかけてくれたりと、有意義な質疑応答が行われました。後輩たちにも良い影響を与えてくれたこの発表会は、4年生が卒業後も研究を続ける礎となることでしょう。

GIMセミナー&体験会に参加して

私は今回、音楽療法の理論のひとつであるGIM(音楽イメージ誘導法)の学生向けセミナー&体験会に参加させていただきました。
GIMとは、リラックスした状態でクラシック音楽などの既成曲を聴くこと主体としている技法です。音楽を聴いている際に浮かんでくるイメージを基に、セラピストとクライエントが一緒に心の症状の改善について考えます。

私が大学2年生のときにこの理論については座学で勉強しました。ですが、言葉の説明のみではGIMという技法を今ひとつ体感出来なかったのと、純粋にどのような形式でセッションを行うのか興味があったため参加することに決めました。

セミナーでは授業で学んだことに加えてより詳細にGIMという技法の成り立ち等を聞くことが出来ました。説明を聞いていく中で1番印象に残ったのは、「答えは個人の中にある」という言葉でした。
普段生活していて、ストレスが溜まったり、無意味に不安になったり等、様々な心の症状を抱えることは誰にでもあると思います。
それを解決するために自分なりに対処してしまいますが、その症状や問題の根底は心の奥底にあり、それは他人にも自分でも意識できていない部分だということ。
それを、GIMを通して浮き彫りにし、その原因に対しての意識や見方を変化させ、日常生活をよりよく生きようというものでした。
音楽療法の対象となる方は、高齢者・精神化・児童と大まかに枠組みが出来ているイメージがありましたが、我々のような健常者と呼ばれるような人間でも日常生活で少し生きづらいと思うことがあれば、このGIMという技法で改善できるのではないかと感じました。
また、実際のGIMのセッションを体験することもできました。
睡眠でも催眠でもない変性意識状態という不思議な状態になり、目をつぶって音楽を聴くと自分が体験しているようなイメージも出てきました。
そのイメージを先生に読み取っていただき、今の自分に何が必要なのか、そのイメージから何が連想されるのか話していただいて体験会は終わりました。
夢とは違った不思議な感覚を経験することが出来ました。

今回のセミナーを通して、音楽療法の理解を少し深められたと思います。
実践だけではなく、このような勉強会を通し知見を増やして、今後の自分に生かしていきたいです。

(4年生 中村凜)

コロナ後、初のボランティアに参加して

新型コロナウイルスの感染拡大以前は盛んに行われていた音楽療法専攻学生のボランティアですが、感染症対策のために外部の立ち入りに対する規制が厳しい施設が多くなり、当面の間、ボランティア活動ができずにいました。
今回、卒業された先輩からお誘いがあり、コロナ以前にもボランティアに行かせていただいていた高齢者のデイサービスにボランティアに行くことができました。
昨年度から音楽療法実習で高齢者のデイサービス施設と遠隔でのセッションはさせていただいていましたが、実際に対面してセッションを行うという経験は私にとってほぼ初めての経験でした。緊張ももちろんありましたが、「やっと直接対象者の方々と会ってセッションができる」という期待が大きかったです。
実際にセッションをやってみて、Zoom越しでは感じ取れなかった対象者の表情や目線、その場の空気を感じることができ、同じ空間で同じ音楽を楽しめることの喜びを改めて感じました。
またセッション以外の普段の様子を見ることができたり、セッション後にほんの少し直接お話することができた時間が、遠隔では作りにくい時間であるためもどかしくも感じますが、対象者の方を知るきっかけになる大切な時間だと思いました。
今後も感染症対策を充分に行いながら、積極的にボランティアに参加し、経験を積んでいきたいです。

(4年生 木村紗彩)