第5回『東邦声楽セミナー』を開催しました
平成29年8月26日(土)、文京キャンパスで第5回東邦声楽セミナーを開催しました。
このセミナーは声楽指導者や合唱に興味がある方などを対象に毎年夏の終わりに開催しています。本学声楽教員による個人レッスンと講座から構成されており、個人レッスンでは
毎年同じ先生に見てもらうことで1年間の成長を確認している方も多くいらっしゃいます。
今回の講座では初めて「オペラ」をテーマに取り上げ、舞台でも活躍中の佐藤泰弘教授が担当いたしました。
個人レッスンで指導する大島洋子声楽主任教授
■講座「オペラの現代事情とアンサンブル体験」
第一部「オペラの成り立ちからオペラ事情」では、受講者の方にも考えて発表していただく形で話を進めました。「オペラ制作にはどれくらいの人が関わっているでしょう?」「劇場支配人→芸術監督→音楽監督→演出家(演出助手2~3人)、指揮者・・・・・」。
本番中のアクシデントなどを救う役割がある「プロンプター」は、欧米では非常に重要とされていることを、実際にミラノで会った凄腕のプロンプターを例に説明しました。
受講者の皆さんと一緒に考えていきました
講座の中で、佐藤先生おススメのオペラをDVD映像で紹介しました。
お金をかければ天井知らずといわれるオペラの例として、1998年に原作の舞台である中国北京の紫禁城で中国政府文化省協力のもと公演されたプッチーニ作曲《トゥーランドット》を挙げました。城内の宮殿にステージが組まれ、その前に作られた観客席は5000席、手縫いの出演者衣裳が1500着とまさに豪華絢爛。映像からもその壮大さが伝わり、見ていた受講者からもため息がもれました。
お金をかけなくても工夫次第で舞台が面白くなる例としてドニゼッティ作曲《劇場における都合と不都合》を紹介しました。佐藤先生と旧知の仲というヴィート・クレメンテ氏が指揮をした2009年、イタリア・ファーノにあるフォルトゥーナ歌劇場でのライヴ映像。佐藤先生は‘12年にヴィート・クレメンテ氏とオペラ彩公演ドニゼッティ作曲《マリア・ストゥアルダ》で初めて共演し、三菱UFJ信託音楽賞を受賞しています。
喜劇のような演出に受講者から思わず笑い声が・・・
第ニ部「オペラの重唱・合唱を歌う」
G.ヴェルディ作曲オペラ《ナブッコ》より“行け我が想いよ”、
M.P.ムソルグスキー作曲オペラ《ボリス・ゴドゥノフ》より“泣け泣け人民よ”、
G.ヴェルディ作曲《椿姫》より“乾杯の歌”、
オペレッタ《メリー・ウィドウ》よりワルツ“唇は語らずとも”
の4曲を楽しく合唱しました。
まずは、いい声が出るように準備体操!
ロシア語は佐藤先生が一語ずつ読み、受講者は一生懸命メモを取っていました
山崎明美先生がドイツ語の発音を丁寧に指導しました
オペレッタ《メリー・ウィドウ》よりワルツ“唇は語らずとも”は、発音が難しいとされるドイツ語。最初に日本語で歌ってメロディをつかみ、ドイツ語の発音練習もしたため、受講者の皆さんは迷いなく大きな声で歌っていました。発音練習を指導した山崎先生は受講者の方たちの仕上がりに「素晴らしい!奇跡かと思います!」と大絶賛していました。
佐藤先生は、「受講者の方が興味を持って大いに笑いながら楽しんでくださって、私も嬉しい」と話していました。
講座終了後は、声楽教員と受講者の皆さんで懇親会を行い、大好きなオペラの話を存分に楽しみました。
講座を担当した佐藤先生には次々に質問が寄せられました
熱く語り合う姿があちらこちらで・・・
東邦声楽セミナーに参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました。