西シドニー大学の大学院生、グレッグさんとの交流


MT_20160712.jpg 

写真:7月7日 音楽音楽大学 川越キャンパスにて

グレッグ・ローリーさん(オーストラリア人)は、長年のビジネスマンとしての経験をした後、50歳を過ぎてから西シドニー大学の修士課程で音楽療法士になるための学びを始め、現在、修士課程の2年目を迎えます。
 グレッグさんは親日家で、将来、日本で音楽療法の仕事をしたいと希望されています。そして、2016年の6月後半から7月前半にかけて3週間、関東各地の音楽療法の現場を訪問しました。異なった対象領域(知的障害、脳性まひ、自閉スペクトラム症、高齢者、病院、子ども、成人)で働く6人の認定音楽療法士の現場で、多くのセッションを観察したり、参加したりされました。本学音楽療法専攻の実習にも同行しました。
 7月7日には、本学音楽療法専攻学生に向けて、グレッグさんの体験を披露してもらう機会がありました。以下は、その発表の概略です。

 ・日本の音楽療法士たちは皆、非常に高い水準の音楽能力を持ち(とりわけ卓越したピアノの技術)、対象者に対して非常に繊細にかかわっていた。オーストラリアでは、ギターがより積極的に活用されている。自分は、ギターの音楽療法実践における有用性を認識しているので、今後も大いにギターを活用したいと思っているが、日本の音楽療法士の優れたピアノ技術に触れ、自分のピアノの技術をさらに高めたいと思った。

 ・音楽療法実践が終わってすぐ後、現場の他職種のスタッフと音楽療法士が直ちにその日の音楽療法について振りかえりの会議を開いていたことに感心した。こうした方法は、自身の実践にもぜひ取り入れたい。 

 ・音楽療法実践の中に、純然たる音楽療法以外の介入方法(様々のリハビリテーションの手法、ダンス、音楽教育etc.)を柔軟かつ積極的に取り入れていた。これは、対象者の持つニーズに応える意味で、とても有意義であると感じた。

 ・東邦音楽大学音楽療法専攻での授業や実習指導は、オーストラリアでの音楽療法教育よりも、個々の学生に即したものだと感じた(たとえばオーストラリアの大学での「実践的な音楽療法スキル」のクラスの人数は40名以上に及んでいたので、個々の学生に応じたフィードバックを得ることはできなかった)。日本の学生は、個々の学生の進歩に応じた高い質のサポートを受けていると感じた。

 グレッグさんの発表後、参加した学生たちとの質疑応答があり、最後にグレッグさんの歌とギターで「ワルツィング・マチルダ」(オーストラリアの有名な民謡)が演奏されました。
 社会人経験をしてからの音楽法の学び、言葉の通じない外国での臨床現場への参加など、グレッグさんの果敢な挑戦に、多くの学生が啓発されたようです。