日本音楽医療研究会

東邦音楽大学川越校舎グランツザールで、2011年11月27日(日)、10時~16時30分に、第5回日本音楽医療研究会学術集会が開催されます。
大会長を、東邦音楽大学准教授の馬場存先生がつとめられます。
プログラムは、研究発表、シンポジウム(医療と音楽―互いに求めるもの)、ジャズ歌手の鈴木重子さんの講演など、多彩で充実した内容が予定されています。
馬場先生にくわえ、研究員の佐々木先生、飯島先生、准教授で本稿の執筆者の二俣など、東邦音楽大学音楽療法専攻のスタッフが、運営にかかわっています。
どうぞふるってご参加くださいませ。

音楽療法専攻担当教員の研究・演奏活動

東邦音楽大学音楽療法専攻の担当教員は、大学での教育、現場での音楽療法実践に加えて、アクティブに活動を行っております。
近々の予定を含め、その一旦をご紹介したいと思います。

1)馬場存先生(東邦音楽大学准教授)
・CDシングル「pray」のリリース(2011年11月27日):
馬場先生は、精神科医、音楽療法士としての仕事に加え、ピアニスト・作曲家としても活躍しておられますが、シングルCD「pray」をリリースされました。
東日本大震災への復興への思いのこめられた美しい作品です。
http://bookridgerecords.com/akirababa/pray2

・第5回日本音楽医療研究会学術集会(2011年11月27日):
すでにこのブログでもお知らせしましたが、馬場先生が大会長をつとめられます。会場は東邦音大川越校舎、グランツザールです。
また、大会の最後には、宮野陽子先生(東邦音楽大学准教授)のヴァイオリン、馬場先生のピアノによる馬場先生オリジナル曲の演奏も予定されています。
http://jmmusic.umin.jp/

2)平田紀子先生(東邦音楽大学専任講師):
・日本音楽療法学会関東支部地方会・講習会での講義「「寄り道回り道、今の道」(2012年3月10日):
講義やワークショップの名手としても知られている平田先生が、上記の講義を担当されることが予定されています。
臨床での失敗や学び、そこからつかんだ独自の方向性、周囲の人々とのつながりなどを語ります。音楽療法士なら誰でも悩み、乗り越えていかなければならない専門職へのプロセスが、深い共感と示唆を与えてくれると思います。

3)二俣泉(東邦音楽大学准教授):
・書籍「音楽で育てよう子どものコミュニケーションスキル」、春秋社から出版予定(2011年12月):
この記事を執筆している二俣の近々の予定としては、年内に上記の本を出版する予定です。
日本大学芸術学部の鈴木涼子先生との共同執筆、獨協医科大学越谷病院・子どものこころ診療センター長・教授の作田亮一先生の監修です。
発達障害の子どものコミュニケーションを育てるための様々な音楽活動の例が掲載されている、”現場で使える”本になるようにがんばって作りました。現在、校正作業が進行中で、年内には出版できると思います。

卒業生の仕事場:正司侑子さんにきく

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東邦音楽大学音楽療法の卒業生たちが、多くの現場で活躍をしています。
 今回は、常勤職として音楽療法の実践に取り組んで4年目になる、卒業生の正司侑子さんに、現在のお仕事についてうかがいました。また、正司さんは、音楽療法専攻卒業生の仲間と、ボーカル2名とピアノのユニット「花うたぴあの」を結成し、ライブ活動も行っています。

Q: 現在の職場での仕事での様子を教えてください。

A: 障害者支援施設で、常勤の音楽支援員(私の職場独自の職名で、音楽療法を専門に行なう職種)として入職しました。今年で4年目になります。知的障害者・身体障害者(いずれも成人)を対象とした支援施設で、そこに住んでいる利用者と、通ってくる利用者とがいます。私の主たる仕事は、そうした利用者と音楽で関わることです。
 私の勤める施設は、音楽療法に大変力を入れていて、音楽療法専用の部屋やたくさんの楽器もあり、音楽療法士にとって、大変恵まれた職場です。
 私はほぼ毎日、午前中に小グループでの音楽療法、午後に音楽ムーブメント(音楽に合わせて体を動かす活動)を行なっています。その他、必要に応じて利用者の生活面での介護の仕事も行いますが、1日のうちの大半の仕事は利用者に音楽でかかわる時間です。

Q: 仕事の上で、一番のやりがい、よろこびは何ですか?

A;掃除や着替えなど、生活面でのケア、音楽療法の部屋への誘導なども私の仕事の一部です――つまり、私は利用者の生活全体をみることになるわけですが、そのことは、仕事をする上での喜びや楽しさにかかわっています。
 音楽以外の場面と比べて、音楽療法では利用者がとても生き生きしていることが多いのは確かです。あるいは、音楽の場面で、それまでスタッフが考えていたよりも理解力があるのを見つけた利用者もいます。最初は音楽療法の部屋に入れなったのが段々入れるようになり、次第に笑顔が増えていった、そんな利用者もいます。そうした利用者の変化に立ち会えることは、とてもうれしいことです。

Q: 他の職種のスタッフとの連携はいかがですか?

A;生活支援を担当している同僚は、ありがたいことに、音楽療法の中での利用者の変化を同僚が見て、”音楽があってこそ変化が生じた”と言ってくれています。
 私も、音楽の中で見つけた利用者の新たな面や、行動の変化についての情報を、生活支援をしている同僚に伝えています。そうすることで音楽での支援と生活支援とが連携ができています。私の前任者が、生活支援のスタッフとの関係の土台を築いてくれたおかげで、今は、私と同僚たちとは何でも言い合えるいい関係ができています。

Q: 仕事をするのが楽しそうですね!

A: 私は利用者の人たちが大好きですし、彼らと音楽をやるのは本当に楽しいです。また、音楽療法に理解のある職場と同僚に恵まれてもいると感じています。
 幸いなことに、入職してから今まで、職場を辞めたいとか、今日は仕事に行きたくないとか思ったことは全くありません。もちろん、色々な悩みはその時々にありますが、たとえ嫌なことがあっても、セッションの中で利用者の人たちがたくさんのものを返してくれるので、ああ、今日も仕事に来てよかったな、といつも思います。

(インタビュー・構成:二俣泉)

第11回日本音楽療法学会学術大会

2011年9月9日から11日まで、富山県富山市で、第11回日本音楽療法学会学術大会が開催されています。

毎年1回行われる、日本の音楽療法士、音楽療法の研究者が集まる学会です。毎年、1000名をこえる参加者が集います。9日は様々な講義が、10日と11日は、研究発表、講演、ワークショップなどが行われます。

東邦音楽大学の音楽療法専攻の学生、卒業生も多数参加しています。また、何名かの卒業生が研究発表も行います。

写真は、メインの会場になっている富山国際会議場です。

学会1年生
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音楽療法専攻「夏フェス」報告(2)

「夏フェス」報告の続きです。

この「夏フェス」には、多くの卒業生が研究発表・シンポジウムの話題提供者・演奏者として協力してくれました。

いずれの卒業生も、音楽療法士として、また研究者として第一線で活躍している人たちばかりで、在校生にとっても大きな刺激になったようです。

今回の「夏フェス」の大トリは、第4期の卒業生3名からなる、2名のボーカルとピアノによるユニット「花うたぴあの」でした。3名は、東邦音大音楽療法専攻在学中の音楽ボランティアの活動がきっかけとなってこのユニットを結成し、多くのオリジナル曲を生み出してきました。ライブハウス、イヴェント、病院、施設、教会などで演奏活動を行なっています。

3名とも、音楽療法・心理臨床・発達臨床の最前線で活躍する有能な音楽療法士であると同時に、たいへん才能豊かなミュージシャンでもあります。

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音楽療法専攻「夏フェス」報告(1)

2011年8月27日、学生たちが準備してきた、音楽療法「夏フェス」が開催されました。
研究発表、シンポジウム、演奏と、バラエティに富んだ内容で、多くの方たち(多くの卒業生、他大学で音楽療法を学ぶ学生の方々、近隣の福祉施設のスタッフの方、同日に開催されていたオープンキャンパスにいらしていた高校生とその保護者、これから音楽療法を学びたいと思っている方々など)が集まり、大変盛況でした。
学生たちそれぞれが、自由に楽しくふるまいながらきちんと責任をもって動いて自分の役割を果たしていて、お見事でした。
上の写真は教員・学生によるジャズ演奏、下の写真は研究発表の風景です(撮影:徳富政樹先生)。

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エクステンションセンターでの音楽療法関連講座(1)

東邦音楽大学エクステンションセンターでは、音楽療法関連の講座が複数開講される予定です。

詳しくは、以下のホームページをご覧いただきたいと思います。

http://www.toho-music.ac.jp/extension/course/

この記事では、10月から開講される講座をひとつ、ご紹介したいと思います。

2011年10月15日(土)の13時~15時

「平田紀子の生き生き歌える!歌唱伴奏法」

音楽療法やそのほかの機会で役立つ、ピアノによる歌唱伴奏の技術やセンスを高める講座です。

講師の平田紀子先生(東邦音楽大学専任講師)は、音楽療法の世界では「歌唱伴奏の名手」として名高い上に、講義やワークショップが、ユーモアあふれる語り口でとにかく面白い!と評判の先生です。

音楽療法に興味のある方、すでに実践されていて伴奏をスキルアップしたいと思っている方には、最適の講座です。

場所は、文京キャンパス(東京都文京区、最寄駅はJR山手線大塚駅か、東京メトロ丸ノ内線の新大塚駅です。

どうぞふるってご参加くださいませ。

・・・ところで、東邦音楽大学音楽療法専攻の「夏フェス」の本番がだんだん迫ってきました。

(2011年8月27日、場所は東邦音楽大学川越キャンパスです)

こちらも、どうぞふるってご参加ください。

学会での研究発表にむけて

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医師や臨床心理士は、臨床実践を行なうものであると同時に科学者である専門職、「サイエンス・プラクティショナー」です。そして、音楽療法士もまた、そうした専門職のひとつです。研究活動は、音楽療法士に課せられた仕事のひとつだと言えます。

今日は、音楽療法専攻の卒業生の一人から、その人のおこなう研究発表に向けての相談をうけ、その助言と指導を行ないました。

2011年9月9日~11日まで、富山県富山市で、第11回日本音楽療法学会学術大会が開催されますが、今日相談に来た卒業生は、その研究発表に応募したところ、口頭発表で採択されたのです。

取り組んでいる研究は、発達障害児のグループ音楽療法におけるグループ編成に関するものです。音楽療法実践においてとても重要なテーマなのですが、これまできちんと研究されてこなかった内容で、とても面白い視点の研究になっています。

今日は、その研究発表で使用する予定のパワーポイントのスライドを見せてもらいながら、発表原稿を読み上げてもらい、内容について検討しました。

卒業生が、研究者としても着々と活躍しているのをみると、とても頼もしく感じます。

8月27日(土)に川越キャンパスで開催される音楽療法「夏フェス」では、新進気鋭の研究者として活躍する卒業生が、自分の取り組んでいる研究について発表をします。ご期待ください!

8月27日の音楽療法「夏フェス」当日予定

先にも告知いたいました、東邦音楽大学音楽療法専攻「夏フェス」の予定が大分かたまってきました。

学生、研究員が中心となり、何度もミーティングを重ね、現時点で以下のようなプログラムが予定されています(変更がありましたら、随時、このブログでお知らせいたします)。

日時:2011年8月27日(土)、13時10分~18時

場所:東邦音楽大学川越キャンパス16号館、1階C103教室

当日プログラム(予定、変更の可能性あり)

13時10分~  開会、オープニング・アクト

13時15分~  研究発表3題(教員、卒業生による)

14時25分~  演奏発表(学生、研究員、教員によるバンド、ユニットによる)

16時05分~  シンポジウム「職業としての音楽療法について」

17時00分~  演奏発表(学生・教員のバンド)

17時30分~  ユニット「花うたぴあの」(音楽療法専攻卒業生)の演奏

入場は無料です。

当日は、東邦音楽大学のオープンキャンパスも開催されています。オープンキャンパスに訪れた方も、どうぞご自由にご参加ください。

音楽療法に興味のある高校生、地域の方、音楽療法を専攻している他大学の学生、音楽療法を実践していらっしゃる方、福祉関係の仕事をしていらっしゃる皆様・・・誰にでもオープンな会です。

どうぞふるってご参加くださいませ。

7月の定例研究会報告

7月21日は、大勢のお客様が、東邦音楽大学川越キャンパスの音楽療法研究室に来室され、にぎやかな1日になりました。

朝は、共同研究のプロジェクトのお話をご提案いただいた、音楽療法士・音楽療法研究者の先生がが来室され、打ち合わせをいたしました。

午後には、日本で音楽大学を卒業されたのち、米国で音楽療法を学ばれた先生が来室され、日本と米国の音楽療法の状況などについて、いろいろなお話をさせていただきました。

夕方には、定例研究会のゲストスピーカーである木下先生が来室され、定例研究会でお話いただきました。

定例研究会後には、恒例となっている会食(飲み会?)を、南古谷駅近くの居酒屋で行いました。研究会には卒業生も参加しましたので、木下先生、卒業生、研究員、学生交えて、とても楽しい会食となりました。

ただ、音楽療法関係者の「飲み会」は、どういうわけか、いつも話題は音楽療法になってしまいます。音楽療法という職業は、仕事もプライベートも、いつでも話題が音楽療法になってしまう…そんなとても魅力的な領域なのであります。