高校生のための音楽療法講座


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好評をいただいている、東邦音楽大学の「高校生のための音楽療法入門」
次回は10月21日(日)です。

  

高校生以外の方でも、音楽療法に興味のある方、レスナーの方、音楽教育にかかわる方、どなたでも歓迎です。この日は、東邦音楽大学准教授・精神科医・ピアニスト・作曲家・音楽療法士である馬場存先生がお話いただきます。もちろん参加は無料です。場所は、東邦音楽大学川越キャンパスです。

2012年10月21日(日) 13:00~14:30(東邦音楽大学川越キャンパス)

  

今回、お話しされる馬場先生は、9月にニューアルバム「Silence」(ブックリッジレコーズ)をリリースされました。全曲、ホール録音のピアノソロの美しい作品です。

卒業生の仕事場:石森由祐さん


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今回は、音楽療法専攻を卒業して3年目になる、石森由祐さんにお話を伺いました。

 

――大学を卒業後、どのような進路に進まれたのですか?

 卒業後すぐは東京都の調布市や昭島市で、障害児・者の音楽療法に携わっていました。その後地元の仙台に戻っていたのですが、昨年の3月に東日本大震災があり、地元も大きな被害を受けました。震災後は、移動式入浴サービスなどの生活支援の一員として、避難所で2ヶ月ほど仕事をしていました。

震災から約1年経った今年の春から、埼玉県で現在の仕事を始めました。現在は、高齢者のためのリハビリテーションを中心とした小規模デイサービスで生活支援員として働いています。

 

――現在のお仕事は、どのようなことをしているのですか?

 送迎や清掃など施設職員としての業務をしながら、リハビリテーションの一環として12回音楽療法セッションを担当しています。入職当初は音楽療法は行なっていませんでしたが、大学で音楽療法を学んでいたことがきっかけで取り入れてもらえるようになりました。他の職員の方と意見交換をしたり、利用者さんからリクエストをいただいたりして、日々のセッションに生かしています。現在の職場での音楽療法に関しては、自分に一任していただいています。

 

――仕事をしていてやりがいを感じること・嬉しく感じることはどんなことですか?

 音楽療法を取り入れる前から施設を利用している方に「今は音楽療法が1番楽しみ」と言っていただけたり、体験入所をされた方から「音楽療法があると聞いたからここに来た」と聞いたりしたときです。

ある認知症の男性は、はじめは反応があまり見られなかったのですが、今では一緒に歌ってくださるようになったり、音楽療法の時間に歌った曲を「家に帰ったら奥さんに歌う」と意気込んで帰っていったりしています。このような利用者さんのよい変化が実感できると嬉しいです。利用者さん同士の雰囲気も良くなったように感じます。

 

――大学で学んだことで役に立っていることはありますか?

 人間関係のスキルを学んだことが大きいと思います。3年生になると臨床実習が始まりますが、(対象者を相手にした)実習の場だけでなく、(実習のチームメートや先生などを相手にした)学生生活全般で人との関わりを学ぶ機会が多かったように感じます。そのおかげで、音楽療法の技能面だけでなく人として成長できたと思います。

 また、現在の仕事をするまで高齢者の音楽療法の仕事の経験はほとんどありませんでしたが、高齢者施設で実習をした経験を参考にセッションを組み立てることができました。

 

――今後やっていきたいことはありますか?

現在の職場での音楽療法はまだ始まったばかりで探り探りの部分が多いですが、これから発展させていきたいと思っています。リハビリテーション中心の施設ですから利用者さんも比較的機能の高い人が多いので、音楽療法での成果を発表する機会を作りたいと考えています。また現在の音楽療法セッションは歌唱活動中心ですが、楽器活動などを通してより効果的なリハビリテーションに繋げていけたらと思っています。

高齢者領域の音楽療法も興味深くておもしろいですが、以前携わっていた障害児・者の領域にも関わっていきたいです。

(インタビュー・構成:飯島千佳)

高校生のための音楽療法入門講座

好評の、東邦音楽大学の「高校生のための音楽療法入門講座」、

今後の開催のお知らせです。
8月25日(土) 14時~15時30分 川越キャンパス

(この日は、川越キャンパスでオープン・キャンパスも開催されています。ご興味のあります方は、こちらもどうぞ)

10月21日(日) 13時~14時30分 川越キャンパス
11月17日(土) 15時~16時30分 文京キャンパス

日程によって、開催場所が異なりますので、ご注意ください。
いずれも、音楽療法専攻の教員が、音楽療法の概要、仕事の状況、実際例などをわかりやすくお伝えします。

卒業生の仕事場:宮間敦子さん


今回は、特別支援学校の教員として勤めて1年目(取材当時)になる、宮間敦子さんにお話を伺いました。

 

――普段のお仕事の様子は?

特別支援学校小学部低学年の教員として、2人クラスの担任をしています。学習場面だけでなく身支度・食事・移動など、子どもの学校での日常生活場面全般に関わっています。指導に音や音楽を用いて関わることもしていますが、担任の先生としての職務がメインです。

 

――音や音楽を用いた関わりとは、どのようなものですか?

音楽が好きな子が多く、メロディの抑揚を楽しんだり歌を好んで聴いたりする子がいます。そこで、子どもが何かをできた時にごほうびとしてその子の好きな歌を歌ったり、「この歌を歌って!」と先生に伝えるための手段として発声を促したりしています。発声の練習として「♪大きくア」という曲にのせて声を出す場面を作っていて、これには長い期間取り組んでいます。

 

――お仕事をする上での喜び・やりがいはどんな所ですか?

 子どもの成長やステップアップを実感した時です。年度初めよりも待つことができるようになったり、自分のやりたいこと・伝えたいことを表せるようになったり、予定外のことにも対応する力がついたりと、成長を感じる場面が日々あります。それに、何かをできた時に「先生、褒めて!」というようなしぐさをするなど、私に対して期待をもって関わってくれるようになったことも嬉しいことです。そのような日々の成長に立ち会えるのも、担任として子どもの学校生活全般に関わってきたからこそなので、その点も良かったと思っています。

 

――大学での経験が生かされたことはありますか?

 34年生の音楽療法実習では、技術やレパートリーの面で学んだこともたくさんありましたが、実習生同士のコミュニケーションの大切さやとっさの対応など、音楽療法の技術以外でも多くのことを学べました。仕事をするようになって、実習で学んだことを改めて実感させられることがあります。そのような時に、音楽療法実習での経験は大事な経験だったなと感じます。

 

――今後の目標はありますか?

 音楽療法的な関わりの場面をこれから作っていけたらいいなと思います。現在は小学部低学年に勤めていますが、違う学年を持つことになれば必要な指導も変わりますし、子どもたちの将来の自立を見据えて、音楽での関わりや音楽で伝えられることを考えていきたいと思っています。

(インタビュー・構成 : 飯島千佳)

「高校生のための音楽療法入門講座」が開催されます

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東邦音楽大学文京キャンパスにて、「高校生のための音楽療法入門―音楽を医療・福祉の分野にいかそう」が開催されます。病院、福祉施設、教育現場で、音楽療法が行なわれることが増えてきました。諸外国では、「音楽療法士」という職業は、すでに専門職として確立しています。日本でも、ここ10年ほどで、急速に普及してきました。音楽療法士という資格制度もあり、多くの音楽療法士が活躍していますが、具体的にどんなものかは、意外と知られていませんこの講座では、音楽療法とは何か、音楽療法士になるためにはどんな方法があるのかについて、わかりやすく説明します。また、この講座は、ピアノ・レスナーの先生方、高校の先生方、あるいは中学生・高校生の保護者の方々が、生徒さん・子どもさんの進路の相談を受ける際の参考になるとも思います。

内容:ミニ講義:音楽療法とは何か、音楽療法体験ワークショップ、職業としての音楽療法…卒業後の進路音楽療法専攻入試準備のコツ

予定講師:二俣泉(東邦音楽大学准教授・音楽療法専攻チームリーダー・日本音楽療法学会常任理事・認定音楽療法士)馬場存(東邦音楽大学准教授・医学博士・精神科専門医・精神保健指定医・認定音楽療法士)平田紀子(東邦音楽大学専任講師・認定音楽療法士)ほか

場所:東邦音楽大学 文京キャンパス

日時:

617日(日)13:0014:30
7月   7日(土)15:0016:30
721日(土)13:0014:30

お問合せ:文京キャンパス 事務本部 広報担当 TEL.03-3946-9667

2012年度授業がはじまりました

2012年度の授業がはじまりました。
今日(2012年4月26日)は、2年生向けの「音楽療法理論と技法」の第2回の講義がありました。
この授業は、音楽療法とは何か、音楽療法のさまざまなアプローチについて解説していく授業です。また、音楽療法の実践場面を収録したビデオもたくさん見て、音楽療法の方法を具体的に感じながら学んでいきます。
今日は、音楽が人間にもたらす影響(コミュニケーション、リラックス、活性化、コミュニケーションなど)についての話が中心の講義でした。講義の中では、こんな話をしました。

医師が薬を患者に投与する場合は、「症状」に合わせて薬を選びます。音楽療法は、薬のように音楽を使うわけではありません。
頭痛にはモーツァルト、腹痛にはベートーヴェン、というように、症状に合わせて曲があるわけではありません。同じモーツァルトの曲を聴いても、リラックスする人もいれば、退屈だと思う人もいます。ですから、音楽療法の場合、症状に合わせて音楽を選ぶのではなく、対象となる人個人にあわせて(好みやそれまでの音楽歴など)音楽を選ぶことになります。ここが、音楽療法の難しいところでもあり、また、仕事として面白く、やりがいのあるところでもあります。

さて、4月29日、30日と、東邦音楽大学文京キャンパスにおいて、東邦祭が開催されます。音楽療法専攻でもさまざまな催しを企画しています。皆様、どうぞふるってご参加ください。

智田邦徳先生来訪

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2011年11月14日、岩手県から智田邦徳先生(岩手清和病院音楽療法士、日本音楽療法学会東北支部長、日本音楽療法学会災害対策特別委員会委員長)が川越校舎に来訪されました。

東邦音楽大学エクステンションセンターで講義をしていただき、そのまま東京に数日滞在されて、この日、川越校舎に遊びに来てくれたのです。

智田先生と、この日に勤務していた3名の教員、平田紀子先生、高畑敦子先生、そして二俣(この記事の執筆者)とは、同世代の音楽療法士として共に成長してきた20年来の音楽療法仲間であります。

智田先生は、東日本大震災が発生して、程なく被災者のための音楽療法活動を開始されました(その報告が、日本音楽療法学会のHPにあります)。
http://www.jmta.jp/disaster/disa201104_02.pdf

智田先生は、ユーモアのセンス、見事な音楽技術、そして卓越した人間関係の術をもった、素晴らしい音楽療法士です。今日、智田先生と交流させていただいた学生たちには、きっと大きな影響があったのではないでしょうか。

写真は、音楽療法の研究室で、お昼を食べているスナップです。

東京音楽療法協会第22回講習会

音楽療法の実践者の集団である「東京音楽療法協会」の第22回講習会が、11月12日、13日に開催されます。

東京音楽療法協会は、20年以上の歴史のある団体です。東邦音楽大学音楽療法専攻の教員、複数の卒業生が運営にかかわっています。
(詳細はHPをご覧くださいhttp://www.k3.dion.ne.jp/~tamt/workshop.html

講習会の1日目には、「”あたり前”であること~被災者支援のあり方を考える~」と題する儀賀理暁先生(埼玉医科大学総合医療センター)の講演があります。

儀賀先生は、毎年、東邦音楽大学音楽療法専攻で、緩和ケアに関する特別講義をしていただいています(受講した学生が皆、とても心動かされる講義です)。

他にも、多くの講義やワークショップがあり、大変充実した講習会です。

東邦音楽大学エクステンションセンター音楽療法関係講座――GIMの体験ができる!

東邦音楽大学エクステンションセンターの公開講座で、音楽療法関連の素晴らしい講座が予定されているので、お知らせします。

「働く女性のためのグループ・セラピー」(講師:吉原奈美先生)

自分の悩みや、「自分の人生をどう生きていきたいか」などの問いを話し合い、その後、音楽とイメージを使って自分の内側に答えを求めていく講座です。

この講座で用いられる技法は、音楽イメージ療法(GIM)です。これは、アメリカで研究された心理療法で、リラックスした状態で、プログラムされた音楽を聴きながら自然に浮かぶイメージによって心の中を探っていきます。

担当される講師は、アメリカでこのGIMを学ばれた吉原奈美先生です。吉原先生には、以前、東邦音楽大学の学生にもワークショップをしていただいたことがありましたが、とても素晴らしい時間でした。

貴重な機会です。ご興味のある方は、ぜひぜひご参加くださいませ。

詳しくはHPをご覧ください。
東邦音楽大学エクステンションセンター 働く女性のためのグループ・セラピー

11月の定例研究会のお知らせ

東邦音楽大学音楽療法専攻の定例研究会が、11月17日(木)の17時45分から、行なわれます。

今回の研究会の内容は、心理学の講義をご担当されている非常勤講師の徳富政樹先生による調査研究に関するレクチャーと、平田紀子先生による、東日本大震災被災者への音楽療法の報告です。

東邦音楽大学川越校舎、16号館で行います(部屋は、当日、16号館1階の音楽療法研究室前の掲示板でお知らせします)。

誰でも参加可能のたいへんオープンな研究会であるところが、この研究会の魅力だと思います。発表者と参加者が、とても気楽に議論できる、臨床活動・研究活動の「面白さ」が味わえる素敵な時間です。

皆様、どうぞふるってご参加ください!