東邦ピアノセミナー分科会その2


2009.8.22.jpg

東邦ピアノセミナーの分科会には、作曲家研究を題材としたものも用意されています。
今年は「シューマンからのメッセージ~楽譜から見えてくるもの」と題して、大場文惠准教授によるレクチャーが行われました。

シューマンは1810年生まれ。来年生誕200年をむかえるドイツの大作曲家ですが、彼は楽譜のみならず多くの著作を残していることでも知られています。
今回の分科会では、彼が自ら執筆、編集していた音楽雑誌「新音楽時報」をひも解きながら、シューマンの音楽観を探りました。
ちなみにこの「新音楽時報」は、なんと今でも刊行され続けているのだそうです。ヨーロッパ音楽文化の息の長さを感じさせますね。その中には東邦の図書館に収蔵されているものもあり、実際に私たちが読むこともできるのです!

大場先生のお話は、その内容に踏み込んで行きます。
例えばシューマンが記した「演奏の心得」の中には、子どもたちに対して「和声」や「和声感」を伝えることが大切である、という記述があるそうです。200年近い年月を越えて、今でも新鮮さを失わない彼の言葉が数多く紹介されました。

また、シューマンの楽譜の中には様々な記号が書かれていますが、これらを深く「読む」にはどうしたらよいのでしょうか?
例えば、「その音を特に強く奏する」という意味の記号だけをみても、横向きのアクセント、縦向きのアクセント、スフォルツァンド、フォルテピアノなど、様々な記号をシューマンは使い分けているようです。
大場先生は、これらの記号についての考えをお話ししながらシューマン作品を実際に演奏されました。

シューマンからのメッセージは、著作や楽譜のなかに数多く残されていて、今でも私たちに向かって語りかけているのですね。
楽譜をただ漫然とながめるだけでは得られない豊かな世界が広がり、受講生の方々からは「本当に楽譜をよく読むことの重要性を知りました」という感想が多く寄せられました。