2022年度前期授業・レッスンが始まりました。

今年の4月初旬は冷え込む日が多く、暖かな日差しが待ち遠しく感じられることもありましたが、そのぶん川越キャンパスの桜は長く咲き入学式を待ってくれているかのようでした。

新入学生を迎え、2022年度の授業・レッスンが本格的にスタートしています。
学生たちの活気があふれるキャンパスの光景を目にすることは、教職員にとって大きな喜びです。

新年度オリエンテーション期間には、学生たちが順調に学びをスタートし、それぞれの目標に向かうことができるよう、様々なガイダンス授業が行われました。
ピアノ専攻のオリエンテーションでは、大学のピアノ専攻、演奏専攻(ピアノ)、教職実践専攻(ピアノ)、短期大学器楽専攻ピアノコース、同ピアノ指導者コース全学年の学生が、川越キャンパス・スタジオBに一堂に会しました。

大学では4年間、短大では2年間の学生生活について、毎週のレッスンへの取組み、実技試験、各種演奏会、図書館の活用法、ステージマナー、さらに深く学ぶための大学院での研究について等、幅広い内容について講話がありました。
また、確実に単位を修得し学びを積み上げていくための履修心得や、安全に学生生活を送るための注意点などについても学びました。

オリエンテーションの最後には、演奏専攻4年次生の2人が2台ピアノによる演奏を披露しました。華やかな雰囲気の中で今年度をスタートすることができ本当に嬉しく思います。
学生時代に経験したことは、卒業後の人生の中で様々な形で役立つに違いありません。学生ひとりひとりの人生がより充実したものになることを願い、今年度も授業・レッスンを進めてまいります。

今年度を振り返って&卒業代表演奏会

いよいよ春本番の陽気になってきました。桜も開花に向かってつぼみが一気に膨らみそうです。今年度も残りわずかとなりました。

振り返ってみますと、昨年は史上初の1年延期となった東京オリンピックが開催されました。
その期間、学事暦が重複しないように、入学式、授業開始が繰り上げられ、ゴールデンウィークの祝日も授業を実施するという特別措置を講じることになりました。例年でしたら8月の初旬までかかる学科試験や実技試験も、オリンピック開催前に終了しました。
新型コロナウィルスの収束には程遠い状況の中で日々息つく間もないスケジュールでしたが、前期が無事終えられた時はほっとしました。
今年度も感染の波が繰り返される中にあって「学び」を止めることなく学修の機会が確保されたことは、ひとえに学生、教職員が一丸となった結果でしょう。

さて、2022年3月12日(土)川越キャンパス・グランツザールにおいて、本学策定の感染防止ガイドラインを厳守しながら、「令和3年度東邦音楽大学・東邦音楽短期大学卒業代表演奏会」が開催されました。
ピアノ専攻の演奏者は大学から2名が出演し、この4年間の最後を飾るにふさわしい熱のこもった演奏を聴かせてくれました。客席からはあたたかい拍手がおくられ、学生たちも忘れがたい経験になったことでしょう。
演奏者と聴き手が同じ空間でこころを通わせる時間になりました。


小菅美穂
J.ブラームス
6つの小品 Op.118 5.ロマンス


曽根原真理
C.ドビュッシー
映像第1集より
1.水の反映 3.運動

卒業代表演奏会が終わりますと、人生の節目となる卒業式を迎えます。在学中、思いもよらない新型コロナウィルスの感染拡大によって、新しい日常の中での学生生活はさぞ大変だったことでしょう。卒業式を終えると2年間或いは4年間でのさまざまな学びの思い出を抱えて、それぞれが旅立っていきますが、学生一人ひとりには、これから向かうべく新たな道を、自分らしく精一杯歩んでいってほしいと心より応援しています。

「第15回トライアルコンサート ~オーケストラとの共演~」が開催されます。

オーディションで選ばれた学生がオーケストラと共演する「トライアルコンサート」の開催が近づいてまいりました。
今回はソプラノ、コントラバス、ピアノの3名がソリストとして選ばれました。
ピアニストとしてこのステージに立つのは、Konzertfach【演奏専攻】3年、平林大翔さんです。東邦音楽大学管弦楽団とグリーグ作曲《ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16》を共演します。

本番と同じ会場である川越キャンパスグランツザールにて、オーケストラとの練習がスタートしました。
ピアノを志すものにとって、オーケストラとの共演は大きな目標であり、憧れでもあります。ピアノ協奏曲という分野には大作曲家たちが力を入れて書き上げた名曲がずらりと並んでおり、その多くは非常に高い表現技術と音楽性が必要とされます。また、実際にオーケストラと共演するステージに立つチャンスはめったに巡ってくるものではありません。本番に向けての練習はその一瞬一瞬がすべて貴重なものとなります。

ノルウェイを代表する作曲家エドヴァルド・グリーグ(1843~1907)は、《ピアノ協奏曲Op.16》を25歳の時に完成しました。
当時のグリーグは新婚ということもあり、生活の糧を得ることに追われて多忙かつ落ち着かない日々を過ごしていました。そんな中、1868年夏にグリーグは都会の喧騒を離れ、郊外の田舎町スレレズにて短い休暇を過ごします。共に滞在した大切な友人たちとの語らいの中から作曲へのエネルギーとインスピレーションを得たグリーグは、ほとばしるような情熱を持ってこの傑作を書き上げたと言われています。
平林さんは、本学Konzertfach【演奏専攻】の充実したカリキュラムのもとで3年間にわたって研鑽を積んできました。来るコンサートではその成果を充分に発揮し、このピアノ協奏曲に相応しいスケールの大きな演奏を聴かせてくれることでしょう。

第15回 トライアルコンサート ~オーケストラとの共演~
2022年2月26日(土)13:30開場 14:00開演
会場: 東邦音楽大学グランツザール(川越キャンパス)
チケット: 事前申込制(全席指定)

詳しくは こちら をご覧ください。
皆様のお越しをお待ち申し上げております。

※本公演は、新型コロナウィルス感染防止の観点から、政府・自治体・関係団体のガイドラインに基づいた対策を講じた上で開催いたします。ご来場のお客様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

「後期まとめ」に向けて ~短期大学「アンサンブルⅠ」の授業風景より~

新しい年が始まりました。
大学・短期大学は「後期まとめ」の時期に入り、レポート提出や様々な試験に向かうべく、学生たちの表情にもきりっとした緊張感が見てとれます。

さて今回は学科目のまとめの様子をお伝えしようと思います。
取り上げますのは短期大学で開講されている「アンサンブル(ピアノ)Ⅰ」です。
この授業は年間を通して4手連弾の演奏法を研究する演習科目です。
前期・後期各15回、課題となる作品に対してその歴史的な背景や作曲家についてはもちろん、様々なアプローチから内容を検討すると共に、4手連弾の演奏法を実際に合わせる練習を重ねる中で習得することを目標としています。
授業の最終日には文京キャンパス50周年記念館ホールで録音を行うことが恒例となっており、学生たちはそれに向けて緊張感を持って仕上げに臨み、練習にも熱が入ります。

今回の録音は、G.フォーレ作曲《組曲「ドリー」Op.56》、P.チャイコフスキー作曲《組曲「くるみ割り人形」Op.71a》、あと大変珍しい作品なのですが、R.シューマン作曲《小さな子どもと大きな子どものための12の連弾曲Op.85》、各曲からの抜粋で行いました。

学生たちは真剣そのもの、一生懸命さがひしひしと伝わる熱演を披露してくれました。
時間をかけて作品と向き合い、アンサンブルを通してパートナーとのコミュニケーションを深めながら演奏を仕上げる。
授業が終了した今、充実した達成感と満足感を得ていることを願って止みません。

なかなか安心した生活が戻ってこないもどかしさが続いておりますが、どうぞ皆様、ご自愛下さいます様に。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年をふりかえって


気が付けば今年もあとわずかになりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
昨年の暮れも、一日も早く世界が平穏を取り戻してほしいという希望を抱いていましたが、なかなか新型コロナ感染症は終息せず、不安の残る中でこの時期を迎えることになりました。

しかし、当初未知の面があまりに多かったこの感染症について、これまでに様々なことが分かってきました。社会において感染防止策が定着するとともに、音楽文化、学校教育の現場でも「新しい日常」が軌道にのりつつあります。

昨年は多くの演奏会、セミナー等を中止にせざるを得ませんでしたが、今年は学園の感染防止ガイドラインを厳守しながら、その大部分を再開することができました。実技試験はもちろん、定期演奏会、学内演奏会など、学生たちは多くのステージに向けて取組み、日頃の研究の成果を発表することができました。
中でも、大学、短期大学、大学院の学生たちが力を合わせて作り上げた、東邦ミュージックフェスティバル2021での「煌めき!!ピアノコンサート」は、感動とともに長く記憶に残るものになりそうです。

ピアノダイアリー10月「煌めき!!ピアノコンサートが開催されました。」

学外との交流も再開され、夏には「第14回 東邦音楽大学 東邦ピアノセミナー」を開催することができました。ベートーヴェン生誕250年を迎えた2020年に、祝祭的な雰囲気の中で行われる予定であった内容を、その1年後に多くの参加者にお越しいただき無事終えることができました。

ピアノダイアリー8月「第14回東邦ピアノセミナーを開催しました。」

心残りなのは、夏休みに予定していた「親子のためのピアノオープンキャンパス」を開催することができなかったことです。幼児から高校生まで、親子で川越キャンパスにて音楽大学での一日を体験していただく予定でしたが、緊急事態宣言が発出される状況で、幼児、児童、生徒とそのご家族の安全を考え中止の判断をいたしました。来年こそは安全に開催することを目指して準備を進めてまいります。

今年も予想のつかない状況に相対しながら、私たちは対策と工夫を重ねて教育研究活動を続けてきました。ICTの活用など新しい試みも芽吹いています。来年も学生と教職員が力を合わせて進んでまいります。

2021年もピアノダイアリーをお読みくださりありがとうございました。
新しい年が皆さまにとって良い一年になりますように。

芸術の秋、読書の秋 ~野平一郎先生の著作より


先日まで美しく紅葉していたグランツザール周辺の桜の木が、まるで冬支度を急いでいるかのような装いになりました。

先月のミュージックフェスティバル、大学4年生の八ヶ岳での演奏ビデオ収録、そして短大2年生の沖縄への演奏旅行も無事に終わり、学生達は落ち着いて1月の試験に向けて励んでいるところです。

私には、秋になると口ずさみたくなる詩があります。

秋 (八木重吉詩)

秋になると
ふとしたことまでうれしくなる
そこいらを歩きながら
うっかり路をまちがへて気づいた時などは
なんだか ころころうれしくなる

コロナ禍の中、自然はまったくお構いなしに美しい姿を見せています。
小さなこと、ふとしたことにも心を留め、そこに喜びを持てたなら何と幸せでしょう。
そして重吉のように「なんだかころころ嬉しくなる」という軽やかな心も持ち続けたいものです。

さて、秋は読書の季節でもあります。一冊の本をご紹介しましょう。

今月30日(火)に行われる大学院生特別講座でレッスンをお願いしている野平一郎先生の著書『作曲家から見たピアノ進化論』です。野平先生は作曲家・ピアニスト・教育者として世界的に活躍していらっしゃるだけでなく、静岡音楽館AOIと東京文化会館の芸術監督などの要職も務められ、日本の音楽界を牽引していらっしゃいます。レパートリーはバッハから現代作品まで。ソロだけでなく伴奏やアンサンブルでも欠かせないピアニストです。

この本は、野平先生の途方も無い知識量と豊富な経験を通して、バロックから現在までの作曲家・作品・ピアノ(楽器)の関係が論じられています。まず「ピアノは今、どのような立ち位置にいるのだろうか? 進化の途中なのか、絶頂期なのか、それとも下降線を辿っているのか?」という投げかけから始まり、それに答えるような形で進められます。それを、野平先生は作曲家と演奏者の両方の視点からの興味深い切り口で明快に述べています。それは、私達に多くの作曲家をあらためて見直す機会を与えてくれます。さらに作品を演奏する際のヒントも、たくさん見つけることができるでしょう。
最後に、現在ホールに設置されているピアノはほとんどがスタインウェイかベーゼンドルファー、加えてヤマハかカワイと画一化されているが、この画一化は作品やピアニストにも当てはまるのではないかと危惧しています。その一方でイタリアのファツィオリが伝統と新しいテクニカルを融合した楽器を制作したように、これから新しいスタイルものが生まれてくるのではないかと将来への期待感を滲ませています。
200ページ余の本ですが、読みごたえのある一冊です。ご一読をお勧めします。

「東邦ミュージック・フェスティバル2021」にて「煌めき!!ピアノコンサート ~Konzertfach & ピアノアンサンブル~」が開催されました。

2019年度より装い新たにスタートした「東邦ミュージック・フェスティバル」。
しかし、その初回である2019年は台風に見舞われ、2日間の予定のうち第1日のプログラムが中止となってしまいました。
そして昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中で芸術文化活動が大きな困難にさらされる状況となりました。
本学でもフェスティバル全体を中止とせざるを得ませんでした。

今年も9月まで首都圏に緊急事態宣言が発令されており、果たして開催できるのか不安な中で私たちは準備を進めてきました。
幸い、感染は収束に向かい緊急事態宣言が解除されることとなり、感染拡大防止のための対策を講じながら、初めて東邦ミュージックフェスティバル2日間の全日程を開催することができました。

フェスティバル第1日の2021年10月9日(土)「煌めき!!ピアノコンサート ~Konzertfach & ピアノアンサンブル~」が開催されました。
本学短期大学、大学、大学院のピアノ学生が集い、バラエティに富んだプログラムを披露しました。
会場のグランツザールには、感染拡大防止のための入場制限の範囲内ではありますが多くのお客様にお越しいただき、華やかな雰囲気の中でコンサートを進めることができました。

まず第1部は、Konzertfach(演奏専攻)学生によるコンサートです。
現在Konzertfach(演奏専攻)に在学する3名の学生がソロ演奏を披露しました。
1年生は、今後の可能性を期待させる創造力に富んだ演奏を、3年生は、これまでに培った力を存分に発揮した豊かな響きを聴かせてくれました。
また、この部ではピアノリサイタルのスタイルに則り、曲間のアナウンス等は入れずにじっくりと演奏をお聴きいただくこととしました。

清原 一龍(大学1年)
L.v.ベートーヴェン ソナタ第2番 イ長調 Op.2-2

平林 大翔(大学3年)
F.リスト バラード第2番 ロ短調

宮本 有紗(大学3年)
R.シューマン 幻想曲 ハ長調 Op.17 第1楽章

第2部はピアノアンサンブルコンサートです。2台ピアノによる演奏を中心に、フルート専攻学生の賛助出演も得て、さまざまな時代様式の作品が演奏されました。
今回このコンサートにエントリーした短期大学、大学、大学院の学生たちは、一人ひとりの個性を生かしながら息の合った華麗な音の競演を披露、ピアノアンサンブルの魅力を存分に楽しませてくれました。


1st Pf.野口 満理奈(大学1年)、2nd Pf.田中 摩音(大学1年)
D.ショスタコーヴィチ 2台のピアノのための小協奏曲 イ短調 Op.94


1st Pf.新井 詩織(大学2年)、2nd Pf.松本 佑希乃(大学1年)
C.ドビュッシー 『白と黒で』より 第1曲


1st Pf.石田 りさ(大学2年)、2nd Pf.劉 音嬋(大学2年)
S.ラフマニノフ 組曲第1番『幻想的絵画』 Op.5より 第1曲『舟歌』


1st Pf.亀岡 沙有(短大2年)、2nd Pf. 田所 理央(短大2年)
C.グアスタヴィーノ 『3つのアルゼンチンロマンス』より 第1曲『サンタフェの娘たち』
A.ピアソラ 『天使の死』


Pf.後藤 暦(大学3年)、Fl.伊藤 明香(大学3年・賛助出演)
H.デュティユー フルートとピアノのためのソナチネ


1st Pf.曽根原 真理(大学4年)、2nd Pf.川端 まひろ(大学3年)
C.サン=サーンス ベートーヴェンの主題による変奏曲 Op.35 変ホ長調


1st Pf.宇佐川 真由(大学院1年)、2nd Pf.新井 あやの(大学3年)
W.ルトスワフスキ パガニーニの主題による変奏曲
S.ラフマニノフ 組曲第2番 Op.17より 第4曲『タランテラ』

コンサートを成功させるためには、事前の準備と当日の運営が極めて重要です。
今回のコンサートでは、学生たちが運営スタッフを担い各所で活躍しました。

司会は大学1年生の藤魁人さんと、大学3年の齋藤尚輝さんが担当しました。
コンサート全体をスムーズに進行し、舞台上セッティングの時間には出演者へのインタヴューも行いいました。

そのほか、受付、会場、舞台、影アナウンスなど、ピアノの学生たちが様々な係を分担しました。
多くの学生は演奏会運営の経験は豊富ではありませんでしたが、地域連携・演奏センター職員の方々の丁寧な指導を受けながら無事に役割を果たすことができました。

こうして、お越しいただいた皆様とともにコンサートを無事に終えることができ、本当に嬉しく思っております。
出演者のみならず、演奏会を作り上げる様々な役割を担った学生たちが、このコンサートを通じて成長した姿を見せてくれました。
支えてくださった多くの方々に深く感謝申し上げます。
来年度には世界が平穏を取り戻し、入場者数や内容の制限がない完全な形で「東邦ミュージックフェスティバル」が開催されることを願って止みません。

学内演奏会「ピアノの部」

秋の空気が感じられる季節となりました。
東邦音楽大学川越キャンパスの木立ちや芝生も陽光に映え、穏やかな気分をもたらしてくれます。
そのような中、令和3年度後期が無事に始まり、全10回からなる学内演奏会もスタートしています。

学内演奏会とは大学3年次カリキュラムの一つです。
東邦音楽大学グランツザールを会場として、学生たちはそれぞれの専攻毎に舞台上で日頃の勉強の成果を発表し、また観客として客席から仲間たちの演奏を応援し、あるいはスタッフとして演奏会の裏方を支えるというものです。
また、立会いの審査員3名による講評用紙が、後日、各出演学生の手元に配布されます。
講評にドキドキワクワクする一瞬もおそらくあることでしょう。

さて、去る9月24日には第3回「ピアノの部」が開催され、熱演が繰り広げられました。
既に数回の定期試験を経験して成長してきた3年次生たちが、さらなる大きな飛躍を遂げている様子を目の当たりにして、聴き手の胸にも熱く迫り来るものがありました。
出演者全員がそれぞれの演奏後、グランツザールに響き渡る大きな拍手に包まれて、晴れやかな表情を浮かべていたことが何より嬉しく感じました。
今後も引き続き、学内演奏会第4回・第10回にて「ピアノの部」が開催されます。
学生の皆さんの活躍に期待したいと思います。

ところで、コロナ禍という誰もがかつて経験したことのない状況下では、演奏と「ワクチン接種後の副反応」との兼ね合いも新たな懸念材料となり得ます。
今年の夏以降、大学関係者や学生たちもワクチン接種の様々な機会に恵まれていますが、残念ながら必ずしも都合の良い日程が自由に選べるというわけではありません。
少なからず何かしらに支障のある日程を選択せざるを得ない場合に、不安や焦りを覚える人もあろうかと思われますが、何よりもまず日々体調を整えて自分の持てる力を存分に発揮していくことが大切でありましょう。

第14回東邦ピアノセミナーを開催しました。

2021年7月18日、文京キャンパスにて「第14回 東邦音楽大学 東邦ピアノセミナー」を開催しました。
昨年度は新型コロナウィルス感染拡大のため開催を断念せざるを得ませんでしたが、今年度は受講人数を制限した上で、厳重な感染防止対策を講じた上で開催することができました。
申し込み期間が始まると間もなく受講可能定員いっぱいとなり、多くの方々がこのセミナーに期待をお寄せくださっていることに感激いたしました。

50周年記念館ホールで行われたオープニングでは、学長、ピアノ主任教授のご挨拶に続き、本学学生による演奏が披露されました。

今回演奏してくれたのは東邦音楽短期大学2年次在学の社会人学生、田所理央さんです。
チャイコフスキーとプロコフィエフの作品を演奏した後、インタビューでは社会人学生としての有意義な学びの日々についてお話くださり、セミナー開講に向けての熱気を大いに高めてくれました。

中島裕紀教授による講座1「心に響く演奏表現をめざして ~表現を高めるテクニック・その3」は、2018年の東邦ピアノセミナーを皮切りに、テクニック面からピアノ演奏に斬り込んできたシリーズの第3回目です。
身体と楽器、そして音色に対して合理的な奏法とはどのようなものであるか、前回の講座からさらに発展し考察されました。
身近でありながら非常に奥深く複雑なこのテーマについて、国内外の多くの音楽家の言葉、著作、演奏、そして巷に溢れる膨大な情報を、中島教授自身のピアニスト、教育者としての経験をもとに体系的に整理し、その様々な観点を可視化した資料をもとに明快に解説されました。

小林律子准教授による講座2「ベートーヴェンを弾く ~初期の作品から見えてくるもの~」は、昨年ベートーヴェン生誕250年であったことを記念して企画した講座を、今回改めて行うこととなりました。
幼少期のベートーヴェンがどのような困難な日々を経て音楽家の道を歩み始めたか、また、若きベートーヴェンが出会った人々とその影響について生き生きと語られました。そして、ピアノソナタ第1番へ短調Op.2-1を題材に、初期作品の特徴について具体的に解説されました。

受講された方々は、メモを取りながら終始熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

そして、2つの講座のほかに恒例の本学教員によるレッスンも実施しました。
限られた定員、かつ様々な制約の中での開催でしたが、受講生の皆様とともに熱気溢れるセミナーの一日を過ごすことができました。
ご来場の皆様はもちろん、当日お越しになれなかった方々も含めて、本学の教育活動を支えてくださる全ての方々に心より感謝申し上げます。

猛威をふるう新型コロナウィルスによって世界中で芸術文化が試練にさらされる中、多くの人々が様々な方法でそれを乗り越えようと努めています。
このような状況下、いま感染症の本が注目されているようです。
セミナー開催のご報告に添えて、その中の一つをご紹介したいと思います。

イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660~1731)の『ペストの記憶』 は、人々を脅かしたペストによる異常な事態を、観察記録のようにリアルな描写で小説化しています。
その中で、ロンドン市長が「すべての芝居や歌舞音曲など、雑踏を招くような催物はいっさい禁止する。
違犯した者はその区の区長によって厳重に処罰する」と告示しています。
ペストの大流行は、芸術の世界にも大きな影響を与えたようです。
芸術家たちは時代を写す鏡として、見えざる脅威を様々な形で作品に残しました。
音楽では、フランスの作曲家サン=サーンスが ペストの惨禍を題材にした交響詩『死の舞踏 』を作曲します。
それをフランツ・リストはピアノのソロ用に編曲をしています。
ヨーロッパ全土を揺るがした感染症禍において、芸術家たちは何を感じ、何を表現したかったのでしょう。
興味のある方は、ぜひご自分の目と耳で確かめてください。

定期研究発表演奏会【ソロの部】が開催されました。

キャンパスの木々の葉は、降りしきる雨と真夏の日差しを浴びて、一段と色濃くなってきました。
各地では切り札とするワクチン接種が加速していますが、出口が見えるのはいつになるでしょう。東京五輪の開幕も目の前に控えています。

本学では昨年来、感染防止対策を講じながら学びを止めず、対面での授業やレッスンに工夫を重ねて継続しています。
制限された環境の中で模索していく営みから、今まで何も考えず当たり前と思っていたことが、実はそうではなかったということに気付かされます。学生の皆さんの息づかいと共に、空間に響く生の音を、耳や肌で感じられるのは何とありがたいことでしょう。

7月11日(日)、川越キャンパス・東邦音楽大学グランツザールにおきまして、『第217回定期研究発表会~ソロの部~』が開催されました。
当日は本学策定のガイドラインに従い感染拡大防止対策を厳重に行っています。
この難しい状況下で、日々の研鑽の成果を発表できることは、学生生徒にとって忘れられない経験でしょう。グランツザールまで足をお運びくださいました皆様には、誠にありがとうございました。


鷹巣 章伍 (中学3年) 
D.カバレフスキー: 6つの前奏曲とフーガ Op.61 6.『労働祭』


岩澤 ことね (第二高校3年)
C.ドビュッシー: 喜びの島


軽部 千葵 (高校3年)
S.ラフマニノフ: エチュード『音の絵』Op.39 第5番 変ホ短調


植松 姫菜 (第二高校3年)
F.リスト: 超絶技巧練習曲 第10番 へ短調


遠藤 乙彩 (高校3年)
M.ラヴェル: 『夜のガスパール』より 1.オンディーヌ


田所 理央 (短期大学2年)
S.プロコフィエフ: ソナタ第2番 ニ短調 Op.14 第4楽章


曽根原 真理 (大学4年)
L.v.ベートーヴェン: ソナタ第30番 ホ長調 Op.109 第3楽章