ご卒業おめでとうございます

振り返れば2020年は未曾有のコロナ禍で右往左往し、この先いったいどうなってしまうのだろう?と思った一年でした。その中で新型コロナウイルスに対する知識も少しずつ理解されるようになり、学生と教職員の徹底した感染対策によって何とか今年度を終わらせることが出来ほっとしております。
2021年も3ヶ月が過ぎ、気付けば春風が心地の良い季節となりました。桜の便りも届きつつあります。
この時期は卒業式や入学式など学生にとって大切なイベントがあります。
別れと出会いの季節。
特に卒業式は4年間一緒に過ごしてきた学生と共に私自身、色々なことが思い出されとても感慨深い日になりました。

私から卒業生へエールを送りたいと思います。
卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。これまで以上に、色んな人々と出会うと思います。どんな出会いも、一つとして無駄なものはありません。人を大切にできるそんな大人になってください。皆様のご活躍をお祈り致します。

専任講師 中島剛

ソルフェージュの授業から

後期実技試験、修士演奏審査が無事終了し、激動の2020年度もいよいよ終わりが見えてまいりました。
この1年は、何というか、大きな力に為すすべもなく巻き込まれていたかのような年でした。その様な状況下、学生・教員が一丸となってとにかく乗り切った!という印象を強く持っております。

さて今回のピアノダイアリーは、前々回のダイアリーで触れておりました大学2年のソルフェージュの授業について、さらにご紹介してまいります。

大学2年次のソルフェージュでは「初見視奏」を行い、加えて「移調奏」も学修します。
「移調奏」においてまず必要なことは調性感。長調、短調全ての調性の音組織を把握すること、各調性の響きの感覚を身につけることが学びの軸となります。
そして移調では、原調を基準として音程を2度上げる(もしくは下げる)、3度上げる(もしくは下げる)といったように、楽譜をずらして読む、ある意味特殊な読譜力が必須なものとなります。そのためかなり多くの時間をその技術の修得に費やします。
その内容は、例えば複数種類の音部記号を最初は1種類から、最終的にはミックスされた楽譜を読むといったものです。
授業ではト音記号、ヘ音記号のみならず、ハ音記号(アルト譜表、テノール譜表、ソプラノ譜表)も用いています。
また、さらにそれをグレードアップした内容として、大譜表に書かれた異なる音部記号を読み、演奏することも実施しています。
これは正しくスコア・リーディングの初歩段階でもあります。

「初見視奏」+「移調奏」において学生たちは徹底的に「楽譜を読む」ということを繰り返します。
学生たちは、始めはかなり苦労するようですが、半年、1年と時間を重ねるとともに皆しっかりと修得していきます。その姿には毎年感心させられます。

来年度がどうか平穏な日々でありますように。
心配や気兼ねなどなく、人が集える日常となります様に。その日を心待ちにしつつ、皆様、どうぞ健康に留意されてお過ごし下さい。

コロナ禍における教育活動~ピアノ指導者コースの授業から

2021年最初のピアノダイアリーをお読みくださりありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、本学においても厳重な感染防止策を講じ授業を進めております。
今回は、東邦音楽短期大学器楽専攻ピアノ指導者コースでの取り組みについてご紹介します。

人と人とのコンタクトが思うように取れない中、様々な場面でオンラインコミュニケーションが活用されるようになりました。ピアノレッスンの現場においても、多くのピアノ指導者の方々が遠隔レッスンの工夫をされています。
そこで、本学ピアノ指導者コースにおいてもオンラインレッスンのスキルアップを学修に取り入れています。

先日は、学内の2つの教室をオンラインで繋ぎ、学生が先生役と生徒役に分かれて模擬レッスンを行いました。
ピアノ指導者コースの授業では、ピアノを学ぶ生徒に対するコミュニケーションスキルの向上を目指していますが、対面レッスンでのコミュニケーションとオンラインでのそれは異なる点が多々あります。
これは実際に体験してみないと分からないことも多いです。学生たちは、オンラインで自分がレッスンする立場を体験することで様々な発見をしていました。

パソコンの画面を通してのレッスンでは、音色の微妙な変化やペダルの響きを聴き取ることは困難です。また、対面ならではの温もりや身振り手振り等の「ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)」は通じにくくなります。
したがって、言葉はゆっくり明確な発音で伝えること、イントネーション豊かに話すことなどが大切になってきます。
指示もなるべく具体的にしたほうが伝わりやすくなります。
「8小節目の3拍目にある休符を見てみてね。ここの休符は、何分休符かな?」
「ここでは息をすって、息に合わせて腕を上げてみましょう。私がやってみるのでよく見てみてください。」
「それでは、9小節目の1拍前のアウフタクトを見つけてください。そのレの音から、右手を弾いてみましょう。」
このようにして、生徒が確実に理解しているか確認しながら進むことになります。これにより、普段のレッスンでは生徒に曖昧にしか伝わっていなかったことを、より確実な理解に繋げることができるかもしれません。

また別の授業では、本学卒業生のピアノ指導者にご協力いただき、オンラインレッスン見学を実施しました。
現在の社会状況では、学生たちと教室を訪問してレッスンを見学させていただくことは困難ですが、オンラインツールを利用すれば全国各地の先生方のレッスンを見学することが可能になります。
学生からは「実際の音楽教室の一場面を見ることができて刺激になった」「こうして他の先生のレッスンを見学できる機会はめったにないのでとても参考になった」という声が聞かれました。

一日も早く感染症の脅威が過ぎ去ることを願うことはもちろんですが、立ち止まることなく新しい可能性にチャレンジしていくことが必要です。
今回こうして学生たちと共に得た知見をもとに、さらに研究を深め本学のカリキュラムの進化に繋げていこうと考えています。


ピアノ指導者コース紹介動画を公開しておりますので、是非ご視聴ください。

2020年をふりかえって

今年は季節を味わう心の余裕もなく師走を迎えました。ふと見廻せば樹々は装いを替え、山茶花が冬の到来を告げています。丁度一年前に始まった新型コロナウイルス感染症、誰がこんなに振り回されると思ったでしょうか。立ち向かうことも出来ず、私達は感染防止に努めるしかありませんでした。

本学では「マスク着用」「手指の消毒」「毎日の検温」「部屋の換気」「距離をとる」など、万全の態勢で対策をしています。そのような中でも学生達が落ち着いて勉学に励めているのは、「ピアノ」というしっかりした柱を持っていること、そして教職員による大きなサポートがあるからに他なりません。

このような状況の中で、新たな発見がありました。私はここ数年、大学2年生のピアノ専攻の学生を対象にした「初見視奏」の授業を担当しています。これは、学生達に1ページほどの楽譜を配布し1~2分予見をした後、指名された学生が出来るだけ正確に、そしてその曲らしく弾くということを目指す授業です。1回の授業(45分)のうちに、6~8曲の楽譜を見ますから、年間170~180曲の新しい楽譜を見ることになります。昨年までは演奏する学生の傍に立って指導していたのですが、今年は近づくことができません。仕方なくピアノの後方、つまり演奏している学生の顔が真正面に見える位置に立つことになりました。そこで気づいたのが、初見の得意な学生と不得手な学生の眼の動きの違いです。得意な学生は楽譜からほとんど目を離さずに弾いています。ところが不得手な学生は楽譜を見たり鍵盤を見たり、始終目が動いているのです。そこで鍵盤を見ずに弾くことを心掛けるようアドバイスすると共に、さらに力をつけるために広い音域を鍵盤を見ずに弾くエクササイズを取り入れることにました。これは右手だけ、左手だけ、そして両手で跳躍した音を弾くのですが、とても難しく体が硬くなってしまうと大きく腕が動きません。普段とは逆に、間違うことを恐れず思い切って遊ぶ感覚で行うことにしました。回を重ねるうちに、少しずつ効果が出てきていることを実感しています。

誰しも子供の頃は鍵盤で遊んだ経験があると思いますが、成長してからはその感覚を忘れていないでしょうか? 見方を変え、それを思い出させてくれたのが新型コロナウイルスでした。
感染の拡大が毎日報じられ、Go to キャンペーンも停止になりました。
皆さま、健康にご留意の上、新しい年をお迎えください。

大場 文惠

文京キャンパス入口ホワイエのクリスマスツリー

Konzertfach(演奏専攻)学生による演奏会「奏」が行われました。

キャンパスを吹き抜ける風の軽やかさと木々の佇まいの変化に、日々季節の移り変わりを感じます。
「芸術の秋」の訪れとともに、本学でも様々な演奏会が行われています。
どの演奏会も、出演者および来場者の検温・消毒実施、座席の限定的な使用、常時換気の実施など、様々な感染症拡大防止対策を行いながらの開催です。このような中で学生も教職員も、改めて音楽が傍にある生活の貴重さ、素晴らしさをかみしめています。

2020年11月7日(土)東邦音楽大学川越キャンパスグランツザールにて、「奏」と銘打たれたKonzertfach(演奏専攻)学生による演奏会が開催されました。
この演奏会は、Konzertfach(演奏専攻)学生が各年度に2回、音楽ホールで日頃のレッスンと練習・研究の成果を披露するもので、この専攻の重要なカリキュラムの一つに位置付けられています。
今回、ピアノでは4名の学生が出演しました。

平林 大翔(大学2年)
L.v.ベートーヴェン:ソナタ第24番 嬰へ長調 Op.78 第1楽章
F.ショパン: エチュード イ短調 Op.10-2
F.ショパン: 舟歌 嬰へ長調 Op.60

ベートーヴェンとショパンの円熟期の名曲に加えて、ショパンのエチュードの中でも難曲の一つであるOp.10-2を組み込んだプログラムを、それぞれの曲想に合わせ、深い音色と豊かなイントネーションで演奏してくださいました。

宮本 有紗(大学2年)
W.A.モーツアルト:ソナタ ハ短調 KV457

モーツァルトのピアノソナタは大半が長調で書かれていますが、これは数少ない短調のソナタの一つ。しばしば同時に出版された「幻想曲KV475」と組み合わせて演奏されます。宮本さんもこれまでにその幻想曲を演奏しており、今回ソナタKV457全楽章を演奏することで大きなレパートリーが完成しました。

宇佐川 真由(大学4年)
P.I.チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23

演奏専攻では、卒業までに必ずピアノ協奏曲も履修することとしています。今回は、ピアノ編曲版によるオーケストラパートを本学大学院修了のピアニスト・浅井和音さんが担当し、2台ピアノにより演奏されました。ロシアピアノ音楽を代表する大曲を、集中力を持って力強く弾き切り、ピアノ協奏曲の醍醐味を味わうことのできる時間となりました。

長谷川 芽唯(大学4年)
J.ブラームス:6つの小品 Op.118より
1.間奏曲 イ短調  2.間奏曲 イ長調
C.ドビュッシー:前奏曲第1集より
5.アナカプリの丘  7.西風の見たもの  8.亜麻色の髪の乙女  12.吟遊詩人
前奏曲第2集より
1.霧  5.ヒースの草むら  6.風変わりなラヴィーヌ将軍 11.交代する3度

ドイツロマン派とフランス近現代という、スタイルの大きく異なる二人の大作曲家による小品集より、計10曲を組み合わせてのプログラムでした。長谷川さんは、それぞれの曲が内包する多様な世界を、想像力豊かに柔らかな美しい響きで表現してくださいました。

定期研究発表会【ソロの部】が開催されました

10月10日(土)、東邦音楽大学グランツザール(川越キャンパス)におきまして、附属中高と第二高校、大学と短期大学の学生生徒たちによる、第213回定期研究発表会【ソロの部】が開催され、演奏が披露されました。第1部は中高二高、第2部は短大および大学という2部構成での演奏会でした。

今春以降のコロナ禍による難しい状況の中、入場者数の制限など感染症拡大防止のための様々な対策を行っての実施となりましたが、無事に演奏会当日を迎えられ、学生生徒たちはさぞかし安堵したことでしょう。
音楽を奏でる喜び、音楽を聴く幸せ。会場全体が期待に満ち、素晴らしい熱演が感動へと導いてくれました。観客の拍手の温かさも格別でした。私たちに音楽と共に生きる希望と未来をあらためて感じさせてくれる、貴重な機会となりました。

ピアノ専攻生たちも多数出演しました。当日のプログラムから、ピアノ独奏の出演者と曲目を以下にご紹介します。

第1部より

本多愛華(中3) ワルツ第5番イ長調 作品42/F.ショパン


野口満理奈(高3) 3つの演奏会練習曲より 3.ため息/F.リスト


廣澤青空(二高3) ソナタ第23番ヘ短調 作品57 熱情 終楽章/L.v.ベートーヴェン


菅井あゆむ(高3) ソナタ第3番ヘ短調 作品5 第一楽章/J.ブラームス

第2部より


瀬戸凛々花(短2) シャブリエ風に
          〜グノーのアリアによるパラフレーズ/M.ラヴェル


高橋沙果(大4) メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」よりスケルツォ/S.ラフマニノフ


谷嶋望友(大4) ピアノソナタ第26番変ホ長調 作品81a 第一楽章/L.v.ベートーヴェン

このような意欲的なプログラムとなりました。出演者の方々、本当にお疲れさまでした。

今回もピアノダイアリーをご覧いただき、ありがとうございました。
ぜひ引き続き応援くださいますよう、心よりお願い申し上げます。

ごあいさつ

はじめまして。今年度から専任講師に就任いたしました中島剛でございます。微力ではございますが東邦音楽大学の卒業生として貢献出来るよう、皆様のご助言のもとお役に立ちたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。

2ヶ月近く続いた長い梅雨も8月に入ると嘘のように連日猛暑が続き、本来であれば東京2020オリンピック・パラリンピック開催、夏の音楽祭、花火等様々な夏の風物詩を感じられる季節だったのですが、周知の通り猛暑の中マスクもしながらという今までに経験したことのない生活が続いています。試行錯誤しながらのオンラインレッスンでは音楽をするうえでは様々な問題があり、今後模索しながらベストな方法を見つけて行きたいと思います。
対面レッスンでは3密を避け、感染症対策に万全を期しております。学生、教員も血が通ったレッスンの喜びを改めて実感いたしました。
with コロナの時代、例年とは違いスケジュールも不規則になりますが、教員一同、細心の注意をしながら学生が音楽と向き合える環境を全力でサポートしていきたいと思います。

「明けない夜はない」「止まない雨はない」
一日も早い収束を心より願っております。

専任講師 中島剛

本学YouTubeチャンネルにて、中島剛先生によるレッスンアドバイス動画を公開中です。是非ご覧ください。


東邦音楽大学・ピアノ専攻 教員メッセージ&レッスンアドバイス vol.1


東邦音楽大学・ピアノ専攻 教員メッセージ&レッスンアドバイス vol.2

東邦音楽大学のYouTubeチャンネルは こちら

夏の日と、バッハのフーガ

長い梅雨が明けると一転して猛暑となりました。
新型コロナウイルス感染拡大への懸念から、自由に旅行や外出を楽しむこともままならない中、改めて音楽に親しむことのできる日常というものの貴重さに思いを寄せる今日このごろです。

そんな中、学生たちは前期実技試験に向けて練習にますます熱が入っています。

本学では様々な角度から、ピアノにおける「時代様式に基づく演奏」への追求を行っています。
ピアノ実技試験では、大学1、2年と短期大学1年において演奏する時代様式を指定し、それぞれの時代の音楽の特徴やその背景について理解を深めることとしています。

例えば大学2年前期の課題は「バロック期」です。
バロック期はヨーロッパにおいて鍵盤音楽の花が大きく開いた時代。同じ1685年生まれの大バッハ、ヘンデル、スカルラッティら、多くの大作曲家たちが活躍しました。

バロック期を代表する「音楽の父」J.S.バッハ。その偉大さは誰しもが知るところですが、これを試験で演奏するとなると気が進まないと感じる人も多いのではないでしょうか。特に、多声部音楽の象徴ともいえる「フーガ」は非常に譜読みや暗譜が難しいものです。
この暑い夏の日々、じっくりと時間をかけてバッハのフーガに取り組んでいる学生たちも多いです。

フーガに取り組むことは、音楽家としての能力と教養を高めることにつながります。
「和声法」と並んで西洋音楽の重要な技法のひとつである「対位法」は、それぞれの旋律の独立性を生かしながらそれらを重ね合わせ、調和させるというもので、フーガにおいてはこれが精密な時計のように進行していきます。

譜読みを始めたころは捉えどころがないように思えた音が、曲を分析、理解し、イメージを作り上げていくことによって、徐々に各声部それぞれの魅力が浮かび上がり、調和していきます。それは何か地球の自然界の調和のようでもあり、宇宙の天体が醸し出すハーモニーにも似ています。

当時の社会、文化や、親しまれていた楽器について研究してみることも、演奏表現に役立つだけでなく、そのこと自体がとても興味深いものです。本学には、当時幅広く親しまれていた楽器である「クラヴィコード」が2台あります。普段ピアノで練習している曲をクラヴィコードで弾いてみると、モーターもエンジンもなかった時代、人々が聴いていた音の世界がどのようなものであったかを思い浮かべることができます。

東邦ピアノセミナーについて ~講座2担当予定の小林律子准教授よりごあいさつ~

 いつも東邦ピアノセミナーにご参加、ご声援をいただきありがとうございます。
今年は「ベートーヴェン・イヤー」として、世界中で彼にまつわる様々なコンサートやイベントが盛大に行われるはずでした。ところが、それらは新型コロナ感染症拡大のために次々と中止や延期を強いられています。
まさに音楽界にとっては火の消えた様な日々。本当に残念でなりません。
私たちの「東邦ピアノセミナー」についても、今回は開催を中止せざるを得ないという判断に至りました。すでに講座にお申込みいただいた方もいらっしゃる中、このような決定をするのは大変心苦しいことでした。
来年度はベートーヴェン生誕251年目となりますが、東邦ピアノセミナー講座2「ベートーヴェンを弾く ~初期の作品から見えてくるもの~」を必ず行いたいと考えております。時が過ぎて、また屈託なく音楽を楽しむことができる日常が戻り、皆さまとお会いできることを心待ちにしています。

東邦ピアノセミナー 講座2講師
小林律子

東邦ピアノセミナーについて ~講座1担当予定の中島裕紀教授よりごあいさつ~

 みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 毎年この時期に開催しております東邦ピアノセミナーは、今年度で14回目を迎える予定でございましたが、今般の感染症の状況を鑑み、今年度の開催を見合わせ、来年度改めて第14回東邦ピアノセミナーとして開催する運びとなりました。
 この東邦ピアノセミナーは、これまでご参加くださるみなさまと、私たちがともに育ててきました研究の歩みのようなものであり、私たちは常にピアノに関わる最先端の情報をお届けできるように尽力してまいりました。今年度開催できないことは非常に残念ではございますが、来年度に向け、さらに良い内容、新たな内容を目指して、研究を進めていく所存でおります。それまでしばらくの間、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。
 かのアルトゥール・ルービンシュタインが40代半ば過ぎに、演奏を一時中断してテクニックの見直しに取り組んだ話は有名です。ピアノを演奏する者、そしてピアノを指導する者にとって、自らのテクニック、指導すべきテクニックの方向性を見つめていくことは、ある意味永遠の命題のようなものかもしれません。来年改めて開催いたします講座1「心に響く演奏をめざして〜表現を高めるためのテクニック・その3〜」にどうかご期待ください。
 そして何よりも、みなさまと健康で、笑顔でまたお会いできますことを心から願っております。

東邦ピアノセミナー 講座1講師
中島裕紀