ピアノデュオ ドゥオールの先生方によるピアノ公開講座を開催しました。

朝晩には虫の音も聴こえ秋の気配を感じられるようになってきましたが、まだまだ蒸し暑い日が続いています。名残り惜しい気持ちの夏休みも終わり、いよいよ後期がスタートしました。

2024年9月9日(月)川越キャンパス・スタジオBにて、ピアノデュオ ドゥオールの藤井隆史先生、白水芳枝先生をお迎えして2台ピアノの公開講座が開催されました。
藤井隆史先生、白水芳枝先生は2004年ドイツでデュオを結成され、国際的な賞を数多く受賞、ピアノデュオを中心とした活発な演奏活動を国内外でされていらっしゃいます。また近年ではピアノデュオの道を切り拓く指導者として後進の指導にも力を注いでいらっしゃいます。
来月開催される「東邦ミュージック・フェスティバル」ではピアノを専門とする学生によるアンサンブルコンサートの企画を準備しており、その前には出演者の選考会も控えています。目前の今回の公開講座は学生にとって絶好のタイミングとなりました。

学内に張り出された講座のポスターでは、ターコイズブルーというのでしょうか、あざやかな青の衣装の先生方を拝見していたので、講座ではどんなお召し物なのかも楽しみにしておりました。そして当日、予想通りおふたりがゴージャスな衣装でスタジオBに登場されると会場の空気も変わりました。ファッショナブルな装いは視覚的にも心躍ります。

講座では6曲ものバラエティに富んだプログラムを用意して下さいました。

・ドビュッシー=デュティユー
 月の光 (ドゥオール使用楽譜:Jobert)
・モーツァルト=グリーグ
 ソナタ C-Dur KV545 第1楽章 (同: Peters)
・ブルグミュラー=フランク
 2台ピアノのための25の練習曲より 「アラベスク」「せきれい」 (同: 全音)
・シューマン=ドビュッシー
 6つのカノン形式による練習曲より第1番 (同: International)
・ミヨー
 スカラムーシュより  1.Vif 3.Brazileira (同: Salabert)
・ルトスワフスキ
 2台のピアノのためのパガニーニの主題による変奏曲 (同: Chester Music)

先ずはソロ曲として有名な《月の光》をデュティユーが妻のために2台ピアノ用に編曲した作品からスタートです。
音の会話のような繊細で華麗でそして迫力のある演奏を存分に聴かせていただきながら、ご夫妻の見事なキャチボールの話術が聴き手をぐいぐい引き込みます。
プログラムに従って作曲家や作品の背景、また演奏する上でのポイントやアイデアをきめ細かく具体的に示してくださいました。デュオ奏者ならではのなかなか伺えないワザやコツも惜しげなくお話くださり、これから選考会に挑む学生やアンサンブルをより深く学びたい人達にとって大変有意義な時間となりました。

【2台ピアノの理解を深められる演奏上のポイント】
■どこの音を聴いていますか?
2台のピアノの中で反響するひとつの空間を見つけてソロとは違う対面の響きを聴いてみましょう。

■どこを見て合わせますか?
吐く息 吸う息は嘘をつきません。目ではなく、肩を見て相手の呼吸を信じましょう。

■音を重ね合わせる感覚を大切に。
単に音と音を合わせるのではなく 相手の音をよく聴き、気持ちを合わせていくイメージで。音楽を一つのものにしていく感覚をもちましょう。

■意見を交わしながら相手を深く知っていきましょう。

■2台ピアノや連弾は音で弾いてみないと分からないことがたくさんあります。ただ話だけや理論で理解するということは難しいのでたくさんの曲に触れてみましょう。

 
6曲のプログラムの中には入門編の紹介もありました。

■シューマン=ドビュッシー
6つのカノン形式による練習曲より第1番

この曲でシューマンが、ペダルピアノという楽器をこよなく愛したことを知りました。写真も見せていただきましたが、不思議な足鍵盤付きピアノです。

■ブルグミュラー=フランク
2台のための25の練習曲より
「アラベスク」「せきれい」
編曲したハンス・フランクはドイツ人ではなく日本人の方でペンネームなのだそうです。

掛け合い、拍感が学べる曲で小さなお子さんと合わせる時の音のバランスに注意が必要と説明がありました。
せきれいってどんな鳥なんでしょう?と藤井先生。すかさず國谷先生が この辺の田圃にいっぱいいますよ! さすが國谷先生です。因みに川越キャンパスには絶滅危惧種のキンランも生息しているようです。

ピアノアンサンブルにはソロではなかなか味わえない新たな音楽を生みだす喜びや魅力があります。
この度の学びから刺激をうけた学生たちには、意見を交わしながらコミュニケーションを深めてお互いが影響しあい、ひとつの音楽を作り上げていくことを楽しんでほしいと思います。
ピアノデュオ ドゥオールの藤井先生、白水先生、ありがとうございました。