「想像力を膨らませて」
川越キャンパスの芝生も緑が眩しく、爽やかな季節になってまいりました。7月18日に開催される第14回東邦ピアノセミナーの申し込みも始まりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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さて、この一年余りの間、私たちの行動範囲は限定的になってしまい、ふと何か楽しいことはないだろうかと考えてしまうことがあります。そんな中で音楽は、私たちの心を豊かにしてくれ、ほんの一瞬かもしれませんが、夢を抱かせてくれます。そして、音楽のある環境に身をおける幸せを感じます。そこで、お家で少しでも楽しい時間を過ごすために、音楽と一緒に出かける、脳内世界旅行はいかがでしょうか?心の翼を広げ、音から自由に映像を描いてみると、イメージを無限に展開することができるかもしれません。
今年2021年に没後100年を迎えるカミーユ・サン=サーンス(1835〜1921)は、旅行好きで、30代後半にアルジェリアを訪れたのをきっかけに、度々アフリカに足を伸ばしています。彼は、ベートーヴェンと同様に5つのピアノ協奏曲を残していますが、中でも第5番Op.103は「エジプト風」として有名です。この曲は、エジプトの首都カイロで作曲され、その後パリで彼のデビュー50周年を祝う記念コンサートで、自身のソロで初演されました。サン=サーンス61歳の作品です。
特に第2楽章では、彼がナイル川で聞いた歌や、虫の声なども聞こえてきます。エキゾチックで絵画的な表現が、聴き手に空気感まで伝えてくれます。目を閉じれば、そこはもうエジプト・・・。
サン=サーンスの評価は、近年になって改めて高まっています。彼の作品の魅力は、何と言っても構成の緻密さの中にある音の扱いの美しさでしょう。この作品の他に、美しさで人気の高い「ピアノ協奏曲第2番Op.22」や比較的手軽に弾ける「アレグロ・アパッショナートOp.70」など、彼の作品に親しんでみるのはいかがでしょう?
人間の想像力は、芸術的な創造力となり、それは、時に目の前に広がる世界以上の体験をもたらしてくれます。しかも自由で安全です。伸びやかな世界に戻るのは、もう少し先になるかもしれませんが、音楽とともに想像力を上手に使いながら、脳内世界旅行など、楽しい時間を過ごしてみましょう。