第14回東邦ピアノセミナーを開催しました。

2021年7月18日、文京キャンパスにて「第14回 東邦音楽大学 東邦ピアノセミナー」を開催しました。
昨年度は新型コロナウィルス感染拡大のため開催を断念せざるを得ませんでしたが、今年度は受講人数を制限した上で、厳重な感染防止対策を講じた上で開催することができました。
申し込み期間が始まると間もなく受講可能定員いっぱいとなり、多くの方々がこのセミナーに期待をお寄せくださっていることに感激いたしました。

50周年記念館ホールで行われたオープニングでは、学長、ピアノ主任教授のご挨拶に続き、本学学生による演奏が披露されました。

今回演奏してくれたのは東邦音楽短期大学2年次在学の社会人学生、田所理央さんです。
チャイコフスキーとプロコフィエフの作品を演奏した後、インタビューでは社会人学生としての有意義な学びの日々についてお話くださり、セミナー開講に向けての熱気を大いに高めてくれました。

中島裕紀教授による講座1「心に響く演奏表現をめざして ~表現を高めるテクニック・その3」は、2018年の東邦ピアノセミナーを皮切りに、テクニック面からピアノ演奏に斬り込んできたシリーズの第3回目です。
身体と楽器、そして音色に対して合理的な奏法とはどのようなものであるか、前回の講座からさらに発展し考察されました。
身近でありながら非常に奥深く複雑なこのテーマについて、国内外の多くの音楽家の言葉、著作、演奏、そして巷に溢れる膨大な情報を、中島教授自身のピアニスト、教育者としての経験をもとに体系的に整理し、その様々な観点を可視化した資料をもとに明快に解説されました。

小林律子准教授による講座2「ベートーヴェンを弾く ~初期の作品から見えてくるもの~」は、昨年ベートーヴェン生誕250年であったことを記念して企画した講座を、今回改めて行うこととなりました。
幼少期のベートーヴェンがどのような困難な日々を経て音楽家の道を歩み始めたか、また、若きベートーヴェンが出会った人々とその影響について生き生きと語られました。そして、ピアノソナタ第1番へ短調Op.2-1を題材に、初期作品の特徴について具体的に解説されました。

受講された方々は、メモを取りながら終始熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

そして、2つの講座のほかに恒例の本学教員によるレッスンも実施しました。
限られた定員、かつ様々な制約の中での開催でしたが、受講生の皆様とともに熱気溢れるセミナーの一日を過ごすことができました。
ご来場の皆様はもちろん、当日お越しになれなかった方々も含めて、本学の教育活動を支えてくださる全ての方々に心より感謝申し上げます。

猛威をふるう新型コロナウィルスによって世界中で芸術文化が試練にさらされる中、多くの人々が様々な方法でそれを乗り越えようと努めています。
このような状況下、いま感染症の本が注目されているようです。
セミナー開催のご報告に添えて、その中の一つをご紹介したいと思います。

イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660~1731)の『ペストの記憶』 は、人々を脅かしたペストによる異常な事態を、観察記録のようにリアルな描写で小説化しています。
その中で、ロンドン市長が「すべての芝居や歌舞音曲など、雑踏を招くような催物はいっさい禁止する。
違犯した者はその区の区長によって厳重に処罰する」と告示しています。
ペストの大流行は、芸術の世界にも大きな影響を与えたようです。
芸術家たちは時代を写す鏡として、見えざる脅威を様々な形で作品に残しました。
音楽では、フランスの作曲家サン=サーンスが ペストの惨禍を題材にした交響詩『死の舞踏 』を作曲します。
それをフランツ・リストはピアノのソロ用に編曲をしています。
ヨーロッパ全土を揺るがした感染症禍において、芸術家たちは何を感じ、何を表現したかったのでしょう。
興味のある方は、ぜひご自分の目と耳で確かめてください。