ソルフェージュの授業から

後期実技試験、修士演奏審査が無事終了し、激動の2020年度もいよいよ終わりが見えてまいりました。
この1年は、何というか、大きな力に為すすべもなく巻き込まれていたかのような年でした。その様な状況下、学生・教員が一丸となってとにかく乗り切った!という印象を強く持っております。

さて今回のピアノダイアリーは、前々回のダイアリーで触れておりました大学2年のソルフェージュの授業について、さらにご紹介してまいります。

大学2年次のソルフェージュでは「初見視奏」を行い、加えて「移調奏」も学修します。
「移調奏」においてまず必要なことは調性感。長調、短調全ての調性の音組織を把握すること、各調性の響きの感覚を身につけることが学びの軸となります。
そして移調では、原調を基準として音程を2度上げる(もしくは下げる)、3度上げる(もしくは下げる)といったように、楽譜をずらして読む、ある意味特殊な読譜力が必須なものとなります。そのためかなり多くの時間をその技術の修得に費やします。
その内容は、例えば複数種類の音部記号を最初は1種類から、最終的にはミックスされた楽譜を読むといったものです。
授業ではト音記号、ヘ音記号のみならず、ハ音記号(アルト譜表、テノール譜表、ソプラノ譜表)も用いています。
また、さらにそれをグレードアップした内容として、大譜表に書かれた異なる音部記号を読み、演奏することも実施しています。
これは正しくスコア・リーディングの初歩段階でもあります。

「初見視奏」+「移調奏」において学生たちは徹底的に「楽譜を読む」ということを繰り返します。
学生たちは、始めはかなり苦労するようですが、半年、1年と時間を重ねるとともに皆しっかりと修得していきます。その姿には毎年感心させられます。

来年度がどうか平穏な日々でありますように。
心配や気兼ねなどなく、人が集える日常となります様に。その日を心待ちにしつつ、皆様、どうぞ健康に留意されてお過ごし下さい。