A.ミュールベック博士による公開講座が開催されました。
7月4日(木)文京キャンパス創立50周年記念館ホールにおいて、アルベルト・ミュールベック博士による公開講座「現代ピアニストのためのクラヴィコード 再発見」が開催されました。(通訳:中島裕紀教授)
クラヴィコード というと、ピアノの前身いわゆる「過去の楽器」というイメージがありますが、19世紀ロマン派の時代においても、チェンバロが音楽界から忘れられた存在になってしまったのに対し、クラヴィコード は、ドイツや北欧、スペインやポルトガルなど、ヨーロッパ各地で愛用され続けていたそうです。
本学では、2台のクラヴィコード を所有しており、折しもこの2台のレストレーションが完成したばかりで、講座の中で、お披露目をしていただきました。また、当日は、クラヴィコード 製作者の山野辺暁彦氏のご厚意により立派な楽器もお借りすることができ、ステージ上には写真のように3台のクラヴィコード が並べられ、贅沢な環境で、講座が進められました。
クラヴィコード は構造上、指先の感覚がダイレクトに音色に影響を与えるため、指先のコントロールと響きをよく聴くことが不可欠となります。講座では、このようなクラヴィコード演奏時の注意深い意識が、ピアノを弾く上でとても有効であるということについて、演奏を交え、奏法の例を挙げながらお話くださいました。
クラヴィコード の音は、とても小さいので、空調をオフにして、音に集中しました。普段、様々な雑音に囲まれて生活している私たちにとって、耳を開いて、音一つ一つを聴くことは、とても新鮮で嬉しい感覚でした。
これをきっかけに、学生たちの楽器と音色への関心が高まることを期待したいと思います。