公開講座・コンサート開催のご報告

師走とは思えない暖かな日が続きましたが、キャンパス内の樹々の足元には日毎に落ち葉が積み重なっています。
11月末から12月にかけて、ピアノ専攻では重要なイベントが相次いで開催されました。
先ず11月29日(水)には川越キャンパスグランツザールにて、下田幸二先生による公開講座《マズルカ〜ショパンの魂》が開催されました。
下田先生は、ピアニスト・ショパンの研究者・指導者としてご活躍の方です。

マズルカは美しく魅力的な作品でありながら、日本ではあまり演奏されません。それはリズムの難しさばかりが言われてきたからかもしれません。
3拍子の曲と言えば「ワルツ」「メヌエット」「レントラー」「ポロネーズ」「マズルカ」などがありますが、同じ3拍子の舞曲でもそれぞれに特徴があります。
中でもマズルカは、「クヤヴィアク」「マズル」「オベレク」という異なった性格を持った舞曲に分類されます。
下田先生は、それらの舞曲が実際に現地で踊られている様子を映像で見せてくださり、私達はマズルカのリズムを生きたものとして理解することができました。
ショパンのマズルカはそれらが組み合わされて作品となっています。
またマズルカ以外のショパンの曲の中にも部分的にマズルカが存在していることを知り、祖国を愛したショパンの心情にも触れた思いがしました。
実際の演奏と映像を挟みながらの先生のレクチャーは明快で分かりやすく、興味が益々湧いてきました。

そして最後には二人の学生の公開レッスンもして頂き、どのように演奏すれば良いかも実際に教えて頂きました。
終わった後、学生達からは「マズルカを演奏してみたい」「今まで弾いた曲の中にもマズルカがあって驚いた」という声が多数聞かれました。

12月4日(土)には《東邦音楽大学大学院1年生コンサート》が、川越キャンパスグランツザールで開催されました。
ピアノの出演は、本学学部から進学した2名、社会人1名、中国からの留学生1名の計4名でした。
大学院生にとっては初めての公開での演奏。
曲目はクープラン、バッハ、モーツァルト、ショパン、リスト、ドビュッシー、プロコフィエフ、メシアンと多彩で、それぞれが個性溢れる演奏を繰り広げました。
才能を持った学生達の今後益々の成長が楽しみです。

12月8日(金)はドイツからA.ヴァルドマ先生をお招きして、ピアノの大学院生全員にレッスン(公開)をして頂きました。
先生はケルン音楽大学の名誉教授で、演奏は勿論のこと指導者としても高く評価されています。
レッスンでは学生が弾き終わりますと、「今の演奏で最も良かった所は?」と質問され、学生が答えますと「ではもう一度」と二度ほど弾かせて「どの演奏が最も良かったか」と質問されました。
そして学ぶとは比較すること、自分の演奏を聴くことが大切と終始一貫仰っていました。
ピアノを弾くこと=自分を聴くこと、また曲の最後の音は感謝とお礼の気持ちを込めて演奏する、鍵盤上で音を出さずに(打鍵せずに)弾くことも良い練習になるなど、示唆に富んだ貴重なアドバイスも沢山頂きました。
大学院生だけでなく聴講した学部生も、これからの勉強に役立てて欲しいと思います。

このように多くの学びがあった11月・12月でした。
今年も残り少なくなりました。学生達は来年も勢い良く龍のように高みを目指していくことでしょう。楽しみに見守りたいと思います。

皆様もどうぞ良いお年をお迎えください。

(大場 文惠 記)