東邦ピアノセミナー分科会その2


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東邦ピアノセミナーの分科会には、作曲家研究を題材としたものも用意されています。
今年は「シューマンからのメッセージ~楽譜から見えてくるもの」と題して、大場文惠准教授によるレクチャーが行われました。

シューマンは1810年生まれ。来年生誕200年をむかえるドイツの大作曲家ですが、彼は楽譜のみならず多くの著作を残していることでも知られています。
今回の分科会では、彼が自ら執筆、編集していた音楽雑誌「新音楽時報」をひも解きながら、シューマンの音楽観を探りました。
ちなみにこの「新音楽時報」は、なんと今でも刊行され続けているのだそうです。ヨーロッパ音楽文化の息の長さを感じさせますね。その中には東邦の図書館に収蔵されているものもあり、実際に私たちが読むこともできるのです!

大場先生のお話は、その内容に踏み込んで行きます。
例えばシューマンが記した「演奏の心得」の中には、子どもたちに対して「和声」や「和声感」を伝えることが大切である、という記述があるそうです。200年近い年月を越えて、今でも新鮮さを失わない彼の言葉が数多く紹介されました。

また、シューマンの楽譜の中には様々な記号が書かれていますが、これらを深く「読む」にはどうしたらよいのでしょうか?
例えば、「その音を特に強く奏する」という意味の記号だけをみても、横向きのアクセント、縦向きのアクセント、スフォルツァンド、フォルテピアノなど、様々な記号をシューマンは使い分けているようです。
大場先生は、これらの記号についての考えをお話ししながらシューマン作品を実際に演奏されました。

シューマンからのメッセージは、著作や楽譜のなかに数多く残されていて、今でも私たちに向かって語りかけているのですね。
楽譜をただ漫然とながめるだけでは得られない豊かな世界が広がり、受講生の方々からは「本当に楽譜をよく読むことの重要性を知りました」という感想が多く寄せられました。

東邦ピアノセミナー分科会その1


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東邦ピアノセミナーでは、午前中の全体会に引き続き、午後はテーマ別に3つの分科会が開催されました。

分科会のひとつは、ピアノ指導に携わっている方々にとっては特に関心の深い、ピアノ指導法や教材に関するセミナーです。
今年は「児童期におけるピアノ指導教材の研究~音楽性と表現技術を育てるレパートリー」と題して、國谷尊之専任講師が担当しました。

この分科会は、多くの資料を参照しながら進められていくため、机のある講義室が会場となりました。受講者には様々なピアノ指導教材に関する資料が配布され、レクチャーを聞きながら熱心にメモを書き込んでいる方が大勢いらっしゃいました。

日本の旧来のピアノ指導教材は古典期の曲(たとえば「ソナチネ・アルバム」等)が支配的です。

かし今では、古典期のみならず、ポリフォニーに特徴のあるバロック期の曲や、ピアノの機能が飛躍的に発達したロマン期の曲、良質な教育的作品が多数書かれ
た近現代期の曲を有機的に組み合わせて行く「四期別指導」が世界の主流となっており、日本でも近年その良さが広く認められるようになってきました。

また、古典期の作品を集めた「ソナチネ・アルバム」も、長らく使われてきた版は古典期のスタイルに全く合わないスラーや強弱記号などが多数書き加えられているのに対し、最近は古典期のスタイルそのものの魅力を伝えてくれる良い版が容易に手に入るようになってきました。
今回はこの2種類の版の指示に従ってクレメンティのソナチネが比較・演奏されましたが、受講生の中からはそのあまりのキャラクターの違いに驚きの声が上がっていました。

昨年の「導入期指導教材の研究」に引き続き、大勢の受講生の皆様にお越しいただき深く感謝申し上げます。
次回も分科会のレポートを続けます。

東邦ピアノセミナー全体会


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去る7月26日(日)に行われた第3回東邦音楽大学・東邦ピアノセミナー。今回は、午前中に行われた全体会のレポートです。

今年の全体会は、上田京専任講師による「時代様式に基づくピアノ演奏とは~作曲者が調性に託した想いとその時代背景」と題し、楽曲の調性やさまざまな音律について興味深い話が展開しました。

会場にはごらんのように2台のピアノが置かれていました。2台のピアノをどんなことに使うのかと思いましたが、実はこの2台は異なる方法によって調律されたものだったのです!

1台は、現代において一般的な「12平均律」によって調律されたもの。そしてもう1台は、バッハの時代に行われていた古典調律のひとつ「ヴェルクマイスターの調律法」によって調律されたもの。
上田先生の実演で、さまざまな調の楽曲が古典調律によって演奏されました。まさに調が変わるたびに、異なる性格の響きが生まれます。
会場を見わたすと、なるほどという表情で頷きながら聴いていらっしゃる受講生が大勢いらっしゃいました。

他にも、ルネサンス期の調律法「ミーントーン」で演奏されたショパンの曲の音源などが紹介され、聴きなれない歪んだ響きに会場がどよめく場面もありました。

J.マッテゾン、C.F.D.シューバルト(シューベルト、ではありません。)、E.T.A.ホフマンらの調性格についての研究も、とても面白いですね。例えばシューバルトによれば、変ロ長調は「陽気な愛、善良な道徳意識、希望、よりより世界への憧憬。」ト短調は「不機嫌、不愉快、失敗しそうな計画の強行、不満げな歯軋り、憤りと億劫な気持ち。」など、ずいぶん印象的な言葉が並んでいます。

最後は、上田先生の実演でJ.S.バッハ作曲「平均律クラヴィーア曲集」のさまざまな作品が、調性格に言及しながら演奏されました。また、実はこの曲集は12平均律を想定した楽曲ではなく、日本で「平均律」と翻訳したのは誤訳であるということも紹介され、まさに情報満載、とても濃厚な1時間半でした。

次回は午後の分科会についてレポートします!

第3回東邦音楽大学・東邦ピアノセミナー終了!


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全国的に天候が不安定な中、幸運にも晴天にめぐまれた7月26日(日)、文京キャンパスにて「第3回東邦音楽大学・東邦ピアノセミナー」が開催されました。

全国各地から200名以上の方々にお越しいただき、文京キャンパスは受講生のみなさまで一日中活気に溢れていました。ほんとうにありがとうございました!!

写真は、朝10:00から行われた「開講式」の様子です。学長挨拶に続き、春日洋子ピアノ主任教授のレクチャーがあり、受講生の方々は皆真剣な表情で耳をかたむけていました。

これから何回かに分けて、このセミナーの様子をご紹介していきます!

トライアルコンサートのポスターが出来ました!


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オーディションで選ばれた学生がオーケストラとコンチェルトを共演する「トライアルコンサート」。
毎年一回の開催となり定例化されてから、今年で第4回を迎えます。

今年も全専攻のオーディションが終わり、作曲家の新曲作品発表も含めて4人の出演者が出揃いました。
ピアノは大学3年生のSさんが、末廣誠先生指揮東邦音楽大学管弦楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調を演奏します!

先日いよいよチラシとポスターが出来上がり、教務のカウンターにどっさりと積みあがりました!当日が楽しみですね。

第4回トライアルコンサート~オーケストラとの共演~
2009年10月1日(木)18:00開場 18:30開演
東邦音楽大学グランツザール
入場料500円(グランツザール友の会会員400円)全席自由

詳細は学園ウェブサイト演奏会・コンサート案内のページにも掲載されていますので、ご覧いただけると幸いです。なお、ウェブからチケットのお申込みも可能です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

続・学内演奏会


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東邦の学内演奏会の特徴のひとつは、学生全員が役割を分担して演奏会を作り上げて行くことです。

演奏会は、演奏する人だけでは成り立ちません。そこには多くのスタッフが必要です。
お客様にプログラムをお渡ししたり、客席へとご案内する係、舞台袖に待機してステージ上の楽器のセッティングなどを担当する係、会場への案内放送を担当する係・・コンサートの規模が大きくなるとスタッフの人数も増え、チームワークがとても大切になります。

学内演奏会は、学生たちにとって自分の演奏のみならず、演奏会運営の貴重な体験の場ともなっているのです。

今回もホール入り口の受付には、笑顔でお客様をご案内する学生の姿がありました。ヤル気十分ですね!

学内演奏会


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今年度も「学内演奏会」が始まっています!
短期大学は2年次、大学は3年次全員が出演するコンサートです。

短期大学生は文京キャンパスの50周年記念館ホール、大学生は川越キャンパスの東邦音楽大学グランツザールが会場です。一人当たり15分の持ち時間で、自由にプログラムを組んで演奏します。

今日は大学での第3回学内演奏会が開催されました。ご参考にプログラムをご紹介しましょう。

シューマン: 森の情景 作品82より
ショパン: ポロネーズ 変イ長調 作品53
ラヴェル:「鏡」より 道化師の朝の歌
シューマン: ソナタ第2番 ト短調 作品22 第1楽章
ショパン: バラード第4番 ヘ短調 作品52
スクリャービン: ソナタ第3番 嬰へ短調 作品23 第3,4楽章
J.S.バッハ=ブゾーニ: シャコンヌ ニ短調 BWV1004
ブラームス: ソナタ第1番 ハ短調 作品1 第1楽章

写真は、前半と後半の間の休憩中のショットです。演奏を終えた学生たちの爽やかな笑顔を見つけたので記念写真をお願いしました。気持ちよく演奏できたみたいですね!

東邦祭の風景から~その4


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東邦祭随一の人気店「餃子屋おみつ」。
砂原悟先生監修の水餃子のお店です。

監修、というのは大げさではありませんよ。砂原先生秘伝のレシピにしたがって、門下生がひとつひとつ皮から手作りしているのです。
音楽に向かう姿勢と同じこだわりが、しっかりとこの餃子に込められています!

ここでも砂原先生自ら店頭に立って調理中です。あまりおいしすぎるので、すぐに売り切れになります(笑)。私も並んでゲットしました!

東邦祭の風景から~その3


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今年の東邦祭はお天気にも恵まれ、ほんとうに大勢のみなさまにご来場いただきました。
どの演奏会場も満員御礼!この日のために準備してきた学生たちにとっては、これ以上うれしいことはありません。

定期試験の会場でもあるスタジオB。試験の時には緊張感のただよう会場ですが、この日は満席のお客様で熱気にあふれていました。

写真は「中島門下with國谷門下ピアノデュオコンサート」の様子です。学生たちも、客席をうめつくしたお客様を前に大いにやりがいを感じた様子でした。きっとこの経験は将来への大きな財産になることでしょう。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました!

東邦祭の風景から~その2


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東邦祭の模擬店は食べ物のお店だけではありません。
こちらは岡本明子先生門下生による「ヨーヨーつり」のお店です。

うまく釣り上げられると、もうひとつ挑戦できます。
ひとつも釣り上げられなくても、ひとつ記念にもらえます。うれしいですネ。

ここでも岡本先生が店頭で活躍中です!
私事ながら、我が家の子供たちも岡本先生にお相手していただきました。ありがとうございました!