「東邦ミュージック・フェスティバル2021」にて「煌めき!!ピアノコンサート ~Konzertfach & ピアノアンサンブル~」が開催されました。

2019年度より装い新たにスタートした「東邦ミュージック・フェスティバル」。
しかし、その初回である2019年は台風に見舞われ、2日間の予定のうち第1日のプログラムが中止となってしまいました。
そして昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中で芸術文化活動が大きな困難にさらされる状況となりました。
本学でもフェスティバル全体を中止とせざるを得ませんでした。

今年も9月まで首都圏に緊急事態宣言が発令されており、果たして開催できるのか不安な中で私たちは準備を進めてきました。
幸い、感染は収束に向かい緊急事態宣言が解除されることとなり、感染拡大防止のための対策を講じながら、初めて東邦ミュージックフェスティバル2日間の全日程を開催することができました。

フェスティバル第1日の2021年10月9日(土)「煌めき!!ピアノコンサート ~Konzertfach & ピアノアンサンブル~」が開催されました。
本学短期大学、大学、大学院のピアノ学生が集い、バラエティに富んだプログラムを披露しました。
会場のグランツザールには、感染拡大防止のための入場制限の範囲内ではありますが多くのお客様にお越しいただき、華やかな雰囲気の中でコンサートを進めることができました。

まず第1部は、Konzertfach(演奏専攻)学生によるコンサートです。
現在Konzertfach(演奏専攻)に在学する3名の学生がソロ演奏を披露しました。
1年生は、今後の可能性を期待させる創造力に富んだ演奏を、3年生は、これまでに培った力を存分に発揮した豊かな響きを聴かせてくれました。
また、この部ではピアノリサイタルのスタイルに則り、曲間のアナウンス等は入れずにじっくりと演奏をお聴きいただくこととしました。

清原 一龍(大学1年)
L.v.ベートーヴェン ソナタ第2番 イ長調 Op.2-2

平林 大翔(大学3年)
F.リスト バラード第2番 ロ短調

宮本 有紗(大学3年)
R.シューマン 幻想曲 ハ長調 Op.17 第1楽章

第2部はピアノアンサンブルコンサートです。2台ピアノによる演奏を中心に、フルート専攻学生の賛助出演も得て、さまざまな時代様式の作品が演奏されました。
今回このコンサートにエントリーした短期大学、大学、大学院の学生たちは、一人ひとりの個性を生かしながら息の合った華麗な音の競演を披露、ピアノアンサンブルの魅力を存分に楽しませてくれました。


1st Pf.野口 満理奈(大学1年)、2nd Pf.田中 摩音(大学1年)
D.ショスタコーヴィチ 2台のピアノのための小協奏曲 イ短調 Op.94


1st Pf.新井 詩織(大学2年)、2nd Pf.松本 佑希乃(大学1年)
C.ドビュッシー 『白と黒で』より 第1曲


1st Pf.石田 りさ(大学2年)、2nd Pf.劉 音嬋(大学2年)
S.ラフマニノフ 組曲第1番『幻想的絵画』 Op.5より 第1曲『舟歌』


1st Pf.亀岡 沙有(短大2年)、2nd Pf. 田所 理央(短大2年)
C.グアスタヴィーノ 『3つのアルゼンチンロマンス』より 第1曲『サンタフェの娘たち』
A.ピアソラ 『天使の死』


Pf.後藤 暦(大学3年)、Fl.伊藤 明香(大学3年・賛助出演)
H.デュティユー フルートとピアノのためのソナチネ


1st Pf.曽根原 真理(大学4年)、2nd Pf.川端 まひろ(大学3年)
C.サン=サーンス ベートーヴェンの主題による変奏曲 Op.35 変ホ長調


1st Pf.宇佐川 真由(大学院1年)、2nd Pf.新井 あやの(大学3年)
W.ルトスワフスキ パガニーニの主題による変奏曲
S.ラフマニノフ 組曲第2番 Op.17より 第4曲『タランテラ』

コンサートを成功させるためには、事前の準備と当日の運営が極めて重要です。
今回のコンサートでは、学生たちが運営スタッフを担い各所で活躍しました。

司会は大学1年生の藤魁人さんと、大学3年の齋藤尚輝さんが担当しました。
コンサート全体をスムーズに進行し、舞台上セッティングの時間には出演者へのインタヴューも行いいました。

そのほか、受付、会場、舞台、影アナウンスなど、ピアノの学生たちが様々な係を分担しました。
多くの学生は演奏会運営の経験は豊富ではありませんでしたが、地域連携・演奏センター職員の方々の丁寧な指導を受けながら無事に役割を果たすことができました。

こうして、お越しいただいた皆様とともにコンサートを無事に終えることができ、本当に嬉しく思っております。
出演者のみならず、演奏会を作り上げる様々な役割を担った学生たちが、このコンサートを通じて成長した姿を見せてくれました。
支えてくださった多くの方々に深く感謝申し上げます。
来年度には世界が平穏を取り戻し、入場者数や内容の制限がない完全な形で「東邦ミュージックフェスティバル」が開催されることを願って止みません。

学内演奏会「ピアノの部」

秋の空気が感じられる季節となりました。
東邦音楽大学川越キャンパスの木立ちや芝生も陽光に映え、穏やかな気分をもたらしてくれます。
そのような中、令和3年度後期が無事に始まり、全10回からなる学内演奏会もスタートしています。

学内演奏会とは大学3年次カリキュラムの一つです。
東邦音楽大学グランツザールを会場として、学生たちはそれぞれの専攻毎に舞台上で日頃の勉強の成果を発表し、また観客として客席から仲間たちの演奏を応援し、あるいはスタッフとして演奏会の裏方を支えるというものです。
また、立会いの審査員3名による講評用紙が、後日、各出演学生の手元に配布されます。
講評にドキドキワクワクする一瞬もおそらくあることでしょう。

さて、去る9月24日には第3回「ピアノの部」が開催され、熱演が繰り広げられました。
既に数回の定期試験を経験して成長してきた3年次生たちが、さらなる大きな飛躍を遂げている様子を目の当たりにして、聴き手の胸にも熱く迫り来るものがありました。
出演者全員がそれぞれの演奏後、グランツザールに響き渡る大きな拍手に包まれて、晴れやかな表情を浮かべていたことが何より嬉しく感じました。
今後も引き続き、学内演奏会第4回・第10回にて「ピアノの部」が開催されます。
学生の皆さんの活躍に期待したいと思います。

ところで、コロナ禍という誰もがかつて経験したことのない状況下では、演奏と「ワクチン接種後の副反応」との兼ね合いも新たな懸念材料となり得ます。
今年の夏以降、大学関係者や学生たちもワクチン接種の様々な機会に恵まれていますが、残念ながら必ずしも都合の良い日程が自由に選べるというわけではありません。
少なからず何かしらに支障のある日程を選択せざるを得ない場合に、不安や焦りを覚える人もあろうかと思われますが、何よりもまず日々体調を整えて自分の持てる力を存分に発揮していくことが大切でありましょう。

第14回東邦ピアノセミナーを開催しました。

2021年7月18日、文京キャンパスにて「第14回 東邦音楽大学 東邦ピアノセミナー」を開催しました。
昨年度は新型コロナウィルス感染拡大のため開催を断念せざるを得ませんでしたが、今年度は受講人数を制限した上で、厳重な感染防止対策を講じた上で開催することができました。
申し込み期間が始まると間もなく受講可能定員いっぱいとなり、多くの方々がこのセミナーに期待をお寄せくださっていることに感激いたしました。

50周年記念館ホールで行われたオープニングでは、学長、ピアノ主任教授のご挨拶に続き、本学学生による演奏が披露されました。

今回演奏してくれたのは東邦音楽短期大学2年次在学の社会人学生、田所理央さんです。
チャイコフスキーとプロコフィエフの作品を演奏した後、インタビューでは社会人学生としての有意義な学びの日々についてお話くださり、セミナー開講に向けての熱気を大いに高めてくれました。

中島裕紀教授による講座1「心に響く演奏表現をめざして ~表現を高めるテクニック・その3」は、2018年の東邦ピアノセミナーを皮切りに、テクニック面からピアノ演奏に斬り込んできたシリーズの第3回目です。
身体と楽器、そして音色に対して合理的な奏法とはどのようなものであるか、前回の講座からさらに発展し考察されました。
身近でありながら非常に奥深く複雑なこのテーマについて、国内外の多くの音楽家の言葉、著作、演奏、そして巷に溢れる膨大な情報を、中島教授自身のピアニスト、教育者としての経験をもとに体系的に整理し、その様々な観点を可視化した資料をもとに明快に解説されました。

小林律子准教授による講座2「ベートーヴェンを弾く ~初期の作品から見えてくるもの~」は、昨年ベートーヴェン生誕250年であったことを記念して企画した講座を、今回改めて行うこととなりました。
幼少期のベートーヴェンがどのような困難な日々を経て音楽家の道を歩み始めたか、また、若きベートーヴェンが出会った人々とその影響について生き生きと語られました。そして、ピアノソナタ第1番へ短調Op.2-1を題材に、初期作品の特徴について具体的に解説されました。

受講された方々は、メモを取りながら終始熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

そして、2つの講座のほかに恒例の本学教員によるレッスンも実施しました。
限られた定員、かつ様々な制約の中での開催でしたが、受講生の皆様とともに熱気溢れるセミナーの一日を過ごすことができました。
ご来場の皆様はもちろん、当日お越しになれなかった方々も含めて、本学の教育活動を支えてくださる全ての方々に心より感謝申し上げます。

猛威をふるう新型コロナウィルスによって世界中で芸術文化が試練にさらされる中、多くの人々が様々な方法でそれを乗り越えようと努めています。
このような状況下、いま感染症の本が注目されているようです。
セミナー開催のご報告に添えて、その中の一つをご紹介したいと思います。

イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660~1731)の『ペストの記憶』 は、人々を脅かしたペストによる異常な事態を、観察記録のようにリアルな描写で小説化しています。
その中で、ロンドン市長が「すべての芝居や歌舞音曲など、雑踏を招くような催物はいっさい禁止する。
違犯した者はその区の区長によって厳重に処罰する」と告示しています。
ペストの大流行は、芸術の世界にも大きな影響を与えたようです。
芸術家たちは時代を写す鏡として、見えざる脅威を様々な形で作品に残しました。
音楽では、フランスの作曲家サン=サーンスが ペストの惨禍を題材にした交響詩『死の舞踏 』を作曲します。
それをフランツ・リストはピアノのソロ用に編曲をしています。
ヨーロッパ全土を揺るがした感染症禍において、芸術家たちは何を感じ、何を表現したかったのでしょう。
興味のある方は、ぜひご自分の目と耳で確かめてください。

定期研究発表演奏会【ソロの部】が開催されました。

キャンパスの木々の葉は、降りしきる雨と真夏の日差しを浴びて、一段と色濃くなってきました。
各地では切り札とするワクチン接種が加速していますが、出口が見えるのはいつになるでしょう。東京五輪の開幕も目の前に控えています。

本学では昨年来、感染防止対策を講じながら学びを止めず、対面での授業やレッスンに工夫を重ねて継続しています。
制限された環境の中で模索していく営みから、今まで何も考えず当たり前と思っていたことが、実はそうではなかったということに気付かされます。学生の皆さんの息づかいと共に、空間に響く生の音を、耳や肌で感じられるのは何とありがたいことでしょう。

7月11日(日)、川越キャンパス・東邦音楽大学グランツザールにおきまして、『第217回定期研究発表会~ソロの部~』が開催されました。
当日は本学策定のガイドラインに従い感染拡大防止対策を厳重に行っています。
この難しい状況下で、日々の研鑽の成果を発表できることは、学生生徒にとって忘れられない経験でしょう。グランツザールまで足をお運びくださいました皆様には、誠にありがとうございました。


鷹巣 章伍 (中学3年) 
D.カバレフスキー: 6つの前奏曲とフーガ Op.61 6.『労働祭』


岩澤 ことね (第二高校3年)
C.ドビュッシー: 喜びの島


軽部 千葵 (高校3年)
S.ラフマニノフ: エチュード『音の絵』Op.39 第5番 変ホ短調


植松 姫菜 (第二高校3年)
F.リスト: 超絶技巧練習曲 第10番 へ短調


遠藤 乙彩 (高校3年)
M.ラヴェル: 『夜のガスパール』より 1.オンディーヌ


田所 理央 (短期大学2年)
S.プロコフィエフ: ソナタ第2番 ニ短調 Op.14 第4楽章


曽根原 真理 (大学4年)
L.v.ベートーヴェン: ソナタ第30番 ホ長調 Op.109 第3楽章

本学卒業生による特別講義を行いました。

本学では、在学生が卒業生とコミュニケーションを深め、その活動から刺激を受けることができるよう、さまざまな機会を設けています。
東邦はアットホームな校風が特徴。多くの卒業生が後輩たちへの応援に駆けつけてくれます。

6月22日、短期大学「ピアノ指導法」講義に、東邦音楽大学卒業生の軽部忍(かるべ しのぶ)先生をお招きして特別講義を開催しました。
軽部先生は足立区にて音楽教室を主宰するとともに、『NPO法人 あだち音楽文化の会』理事長として地域の音楽文化発展のために活躍していらっしゃいます。

今回お話しいただいたテーマは、音楽のレッスンにおける「言語化」についてです。
しばしば「音楽は世界共通の言語」と言われるように、住む国や時代が違っても、音楽はその垣根を乗り越えて多くの人々の心をつなぐことができる素晴らしい力を持っています。一方で、音楽の素晴らしさを感じ、その魅力が聴き手に伝わる演奏をするためには、曲に対する豊かなイメージを持つことが必要です。

生徒の音楽的イメージ力を育て自発的な表現へと導いていくために、レッスンの中で「言葉」の持つ役割はとても大きなものがあります。豊富な指導経験をお持ちの軽部先生のお話しから、レッスンする生徒ひとりひとりの年齢や個性に応じた言葉がけ、コミュニケーション等、生徒から豊かな想像力を引き出す様々な方法を知ることができました。

講義の後半はディスカッションを行いました。学生からの質問、卒業後の音楽との関わり方など、講義のテーマを超えてさらに話が広がり有意義で楽しい時間となりました。

今回の講義を通じて様々な指導手法を具体的に学ぶことができたのはもちろん、その根幹にあるものとして、音楽の指導に関わる私たち自身が音楽を愛し、それを生徒に伝える熱量を持ち続けることが何よりも大切であるという言葉が深く印象に残りました。


軽部忍先生(東邦音楽大学卒業生)

「想像力を膨らませて」

 川越キャンパスの芝生も緑が眩しく、爽やかな季節になってまいりました。7月18日に開催される第14回東邦ピアノセミナーの申し込みも始まりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。



ピアノセミナーの詳細はこちらからご確認ください。

 さて、この一年余りの間、私たちの行動範囲は限定的になってしまい、ふと何か楽しいことはないだろうかと考えてしまうことがあります。そんな中で音楽は、私たちの心を豊かにしてくれ、ほんの一瞬かもしれませんが、夢を抱かせてくれます。そして、音楽のある環境に身をおける幸せを感じます。そこで、お家で少しでも楽しい時間を過ごすために、音楽と一緒に出かける、脳内世界旅行はいかがでしょうか?心の翼を広げ、音から自由に映像を描いてみると、イメージを無限に展開することができるかもしれません。

 今年2021年に没後100年を迎えるカミーユ・サン=サーンス(1835〜1921)は、旅行好きで、30代後半にアルジェリアを訪れたのをきっかけに、度々アフリカに足を伸ばしています。彼は、ベートーヴェンと同様に5つのピアノ協奏曲を残していますが、中でも第5番Op.103は「エジプト風」として有名です。この曲は、エジプトの首都カイロで作曲され、その後パリで彼のデビュー50周年を祝う記念コンサートで、自身のソロで初演されました。サン=サーンス61歳の作品です。
 特に第2楽章では、彼がナイル川で聞いた歌や、虫の声なども聞こえてきます。エキゾチックで絵画的な表現が、聴き手に空気感まで伝えてくれます。目を閉じれば、そこはもうエジプト・・・。

 サン=サーンスの評価は、近年になって改めて高まっています。彼の作品の魅力は、何と言っても構成の緻密さの中にある音の扱いの美しさでしょう。この作品の他に、美しさで人気の高い「ピアノ協奏曲第2番Op.22」や比較的手軽に弾ける「アレグロ・アパッショナートOp.70」など、彼の作品に親しんでみるのはいかがでしょう?

 人間の想像力は、芸術的な創造力となり、それは、時に目の前に広がる世界以上の体験をもたらしてくれます。しかも自由で安全です。伸びやかな世界に戻るのは、もう少し先になるかもしれませんが、音楽とともに想像力を上手に使いながら、脳内世界旅行など、楽しい時間を過ごしてみましょう。

新年度スタート。安全・安心な学生生活のために

4月も下旬に入り、前期レッスン・講義が本格的にスタートしています。
新型コロナウイルス感染症は未だ終息が見えず、今年度も様々な感染防止対策を行いながらの学生生活ですが、キャンパスではあちこちから音楽が聴こえ、行き交う学生たちの姿は生き生きしています。

気を付けなければいけないのは感染症だけではありません。今回のピアノダイアリーでは、ピアノそのものからは少し離れますが、安全・安心な学生生活のための本学の取組みをご紹介します。

大学生、短期大学生になると高校より通学距離も長くなり、活動範囲も広がります。世界が広がることにより新たな出会いや発見があれば素晴らしいことですが、その中で安全に学生生活を送るためには様々な知識も必要です。本学では、そのための様々な機会を設けています。

たとえば必修科目「東邦スタンダード」においては、成人を迎える学生たちが消費者トラブル等を回避し、万が一トラブルに巻き込まれた際には適切に問題を解決するための「消費生活講座」、在学中や卒業後に安全に仕事・活動を続けていくために必要とされる知識を得る「労働法講座」、通学や日常生活の安全のための「防犯講座」などを、全ての学生が受講します。
思う存分練習や研究に打ち込み、学生時代ならではの充実した楽しい時間を過ごすために、安全に学生生活を送るための知識と心得を身に付けることがその基盤であると私たちは考えています。

先日は文京キャンパスにて避難訓練と防災講話が行われました。人々の注意が感染症対策に向いている日々においても、いつどんな自然災害が起きるか分かりません。コロナ禍で活動に制約がある中でも本学では避難訓練と防災教育を引き続き行っています。

また、若い学生たちは、大規模な自然災害が発生した際の地域防災の担い手としての役割も期待されています。東邦音楽大学も参加している「埼玉東上地域大学教育プラットフォーム(TJUP)では、教育に関わる大学間連携とともに、地域交流の取組みのひとつに「地域の防災活動、環境保全活動」を挙げています。本学在学生・卒業生が、地域の担い手として音楽を通じて貢献するのはもちろんのこと、人々の安全・安心にも貢献できることを願って教育活動を進めて行きます。

『埼玉東上地域大学教育プラットフォーム(TJUP)』
https://www.tjup.taibokudo.jp/

ご卒業おめでとうございます

振り返れば2020年は未曾有のコロナ禍で右往左往し、この先いったいどうなってしまうのだろう?と思った一年でした。その中で新型コロナウイルスに対する知識も少しずつ理解されるようになり、学生と教職員の徹底した感染対策によって何とか今年度を終わらせることが出来ほっとしております。
2021年も3ヶ月が過ぎ、気付けば春風が心地の良い季節となりました。桜の便りも届きつつあります。
この時期は卒業式や入学式など学生にとって大切なイベントがあります。
別れと出会いの季節。
特に卒業式は4年間一緒に過ごしてきた学生と共に私自身、色々なことが思い出されとても感慨深い日になりました。

私から卒業生へエールを送りたいと思います。
卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。これまで以上に、色んな人々と出会うと思います。どんな出会いも、一つとして無駄なものはありません。人を大切にできるそんな大人になってください。皆様のご活躍をお祈り致します。

専任講師 中島剛

ソルフェージュの授業から

後期実技試験、修士演奏審査が無事終了し、激動の2020年度もいよいよ終わりが見えてまいりました。
この1年は、何というか、大きな力に為すすべもなく巻き込まれていたかのような年でした。その様な状況下、学生・教員が一丸となってとにかく乗り切った!という印象を強く持っております。

さて今回のピアノダイアリーは、前々回のダイアリーで触れておりました大学2年のソルフェージュの授業について、さらにご紹介してまいります。

大学2年次のソルフェージュでは「初見視奏」を行い、加えて「移調奏」も学修します。
「移調奏」においてまず必要なことは調性感。長調、短調全ての調性の音組織を把握すること、各調性の響きの感覚を身につけることが学びの軸となります。
そして移調では、原調を基準として音程を2度上げる(もしくは下げる)、3度上げる(もしくは下げる)といったように、楽譜をずらして読む、ある意味特殊な読譜力が必須なものとなります。そのためかなり多くの時間をその技術の修得に費やします。
その内容は、例えば複数種類の音部記号を最初は1種類から、最終的にはミックスされた楽譜を読むといったものです。
授業ではト音記号、ヘ音記号のみならず、ハ音記号(アルト譜表、テノール譜表、ソプラノ譜表)も用いています。
また、さらにそれをグレードアップした内容として、大譜表に書かれた異なる音部記号を読み、演奏することも実施しています。
これは正しくスコア・リーディングの初歩段階でもあります。

「初見視奏」+「移調奏」において学生たちは徹底的に「楽譜を読む」ということを繰り返します。
学生たちは、始めはかなり苦労するようですが、半年、1年と時間を重ねるとともに皆しっかりと修得していきます。その姿には毎年感心させられます。

来年度がどうか平穏な日々でありますように。
心配や気兼ねなどなく、人が集える日常となります様に。その日を心待ちにしつつ、皆様、どうぞ健康に留意されてお過ごし下さい。

コロナ禍における教育活動~ピアノ指導者コースの授業から

2021年最初のピアノダイアリーをお読みくださりありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、本学においても厳重な感染防止策を講じ授業を進めております。
今回は、東邦音楽短期大学器楽専攻ピアノ指導者コースでの取り組みについてご紹介します。

人と人とのコンタクトが思うように取れない中、様々な場面でオンラインコミュニケーションが活用されるようになりました。ピアノレッスンの現場においても、多くのピアノ指導者の方々が遠隔レッスンの工夫をされています。
そこで、本学ピアノ指導者コースにおいてもオンラインレッスンのスキルアップを学修に取り入れています。

先日は、学内の2つの教室をオンラインで繋ぎ、学生が先生役と生徒役に分かれて模擬レッスンを行いました。
ピアノ指導者コースの授業では、ピアノを学ぶ生徒に対するコミュニケーションスキルの向上を目指していますが、対面レッスンでのコミュニケーションとオンラインでのそれは異なる点が多々あります。
これは実際に体験してみないと分からないことも多いです。学生たちは、オンラインで自分がレッスンする立場を体験することで様々な発見をしていました。

パソコンの画面を通してのレッスンでは、音色の微妙な変化やペダルの響きを聴き取ることは困難です。また、対面ならではの温もりや身振り手振り等の「ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)」は通じにくくなります。
したがって、言葉はゆっくり明確な発音で伝えること、イントネーション豊かに話すことなどが大切になってきます。
指示もなるべく具体的にしたほうが伝わりやすくなります。
「8小節目の3拍目にある休符を見てみてね。ここの休符は、何分休符かな?」
「ここでは息をすって、息に合わせて腕を上げてみましょう。私がやってみるのでよく見てみてください。」
「それでは、9小節目の1拍前のアウフタクトを見つけてください。そのレの音から、右手を弾いてみましょう。」
このようにして、生徒が確実に理解しているか確認しながら進むことになります。これにより、普段のレッスンでは生徒に曖昧にしか伝わっていなかったことを、より確実な理解に繋げることができるかもしれません。

また別の授業では、本学卒業生のピアノ指導者にご協力いただき、オンラインレッスン見学を実施しました。
現在の社会状況では、学生たちと教室を訪問してレッスンを見学させていただくことは困難ですが、オンラインツールを利用すれば全国各地の先生方のレッスンを見学することが可能になります。
学生からは「実際の音楽教室の一場面を見ることができて刺激になった」「こうして他の先生のレッスンを見学できる機会はめったにないのでとても参考になった」という声が聞かれました。

一日も早く感染症の脅威が過ぎ去ることを願うことはもちろんですが、立ち止まることなく新しい可能性にチャレンジしていくことが必要です。
今回こうして学生たちと共に得た知見をもとに、さらに研究を深め本学のカリキュラムの進化に繋げていこうと考えています。


ピアノ指導者コース紹介動画を公開しておりますので、是非ご視聴ください。